発売日: 2021年10月22日
ジャンル: ポップロック、ニューウェーブ、エレクトロポップ
アルバム全体の印象
『Future Past』は、Duran Duranの15枚目のスタジオアルバムであり、彼らのキャリアの中で新旧の要素が巧みに融合された作品だ。バンドのデビューから40年以上経った現在も、彼らは進化し続け、過去の栄光を振り返るだけでなく、未来に向かう意欲を見せている。本作には、彼らの特徴であるエレガントなポップセンスとダンサブルなビート、そして現代的なプロダクションが織り交ぜられている。
プロデューサーには、現代のトップクリエイターであるErol Alkanや、かつてのコラボレーターであるGiorgio Moroderを迎え、バンドのクラシックなサウンドとモダンな感覚が融合したアルバムとなっている。また、Tove Lo、Ivorian Doll、Mike Garson（デヴィッド・ボウイのピアニスト）といったゲストアーティストも参加し、多彩な音楽性を持つ一枚に仕上がっている。
『Future Past』は、Duran Duranの新たな章を開くアルバムであり、長年のファンだけでなく、初めて彼らの音楽に触れるリスナーにも新鮮に響く作品だ。
トラックごとの解説
1. Invisible
アルバムのリードシングルで、幻想的なシンセサウンドとリズミカルなドラムが特徴。歌詞は自己認識や孤立感をテーマにしており、Simon Le Bonのエモーショナルなボーカルが印象的だ。
2. All of You
力強いリズムとキャッチーなメロディが際立つ楽曲。シンセとギターが調和し、バンドのクラシックなサウンドとモダンなエネルギーが融合している。
3. Give It All Up (feat. Tove Lo)
Tove Loとのコラボレーションで、柔らかなメロディとエレクトロニカの要素が際立つ楽曲。感情的な歌詞と二人のボーカルのハーモニーが美しい。
4. Anniversary
バンドの40周年を記念するかのような楽曲で、Duran Duranのエネルギッシュな側面が全開。キラキラしたシンセとダンサブルなリズムが、彼らの過去と現在を繋いでいる。
5. Future Past
アルバムタイトル曲で、内省的な雰囲気とノスタルジアが漂う楽曲。静かに展開するメロディと控えめなアレンジが、歌詞の感傷的なテーマを引き立てている。
6. Beautiful Lies
Giorgio Moroderのプロデュースが光るエレクトロポップトラック。ディスコ調のリズムと現代的なサウンドが融合し、軽快な雰囲気を作り出している。
7. Tonight United
アップビートで陽気なトラックで、ポップな魅力が全面に押し出されている。歌詞には、団結や希望のメッセージが込められている。
8. Wing
アルバムの中でも特にドラマチックな楽曲。流れるようなメロディと空間を感じさせるアレンジが心地よく、リスナーを引き込む。
9. Nothing Less
メランコリックな雰囲気を持つトラックで、繊細なアコースティックアレンジが印象的。感情的な歌詞が深い余韻を残す一曲。
10. Hammerhead (feat. Ivorian Doll)
現代的なラップとバンドサウンドが融合した実験的な楽曲。Ivorian Dollのパフォーマンスが楽曲にスパイスを加えている。
11. More Joy! (feat. CHAI)
日本のバンドCHAIをフィーチャーした楽曲で、遊び心あふれるエネルギッシュなサウンドが魅力的。異文化間の融合が新鮮で刺激的。
12. Falling (feat. Mike Garson)
アルバムのラストを飾る叙情的なトラック。Mike Garsonの美しいピアノが楽曲をドラマチックに彩り、深い感動を与える。
アルバム総評
『Future Past』は、Duran Duranのキャリアにおいて重要な位置を占める作品であり、バンドの過去の遺産を尊重しつつ、未来への展望を示している。洗練されたプロダクションと多様なゲストの参加がアルバムを彩り、クラシックなサウンドとモダンな感覚が絶妙に融合している。
「Invisible」や「Anniversary」などのダンサブルなトラックから、「Falling」のような感情的な楽曲まで、幅広い音楽性が楽しめる一枚だ。『Future Past』は、Duran Duranが今なお音楽の最前線で進化を続けていることを証明するアルバムである。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Rio by Duran Duran
バンドの代表作で、エネルギッシュでキャッチーな楽曲が詰まった一枚。
Blackstar by David Bowie
Mike Garsonのピアノが印象的な作品で、実験的な要素と深い感情が共通する。
A Celebration of Endings by Biffy Clyro
モダンなロックサウンドとドラマチックな展開が魅力のアルバム。
Electric by Pet Shop Boys
洗練されたエレクトロポップが楽しめる一枚で、『Future Past』との共通点が多い。
Hunting High and Low by a-ha
叙情的なメロディと華やかなポップサウンドが魅力の名盤。
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