アルバムレビュー:Forever Neverland by MØ

発売日: 2018年10月19日
ジャンル: エレクトロポップ、オルタナティブポップ、ダンスポップ


エレクトロポップの進化—MØが見せた夢と現実の間の世界Forever Neverland

2018年にリリースされたForever Neverlandは、デンマーク出身のシンガーソングライターMØの2作目のスタジオアルバムであり、彼女が世界的な成功を収めた後にリリースした待望の作品である。

本作では、エレクトロポップを基盤としつつ、トロピカルハウス、ヒップホップ、ダンスミュージックの要素を取り入れた洗練されたサウンドが特徴的。Major Lazerとのコラボ「Lean On」(2015年)をはじめとするグローバルヒットを経て、彼女の音楽性がより大衆的かつ実験的な方向へと進化したことが伺える作品となっている。

また、アルバムのテーマは「夢と現実の狭間」「成長とノスタルジア」であり、MØの特徴的なボーカルとメロディアスな楽曲が、幻想的かつエモーショナルな世界観を作り上げている。


全曲レビュー

1. Intro

アルバムの序章を飾る短いインストゥルメンタル。浮遊感のあるシンセとアンビエントなサウンドが、アルバムの夢幻的な雰囲気を予告する

2. Way Down

ダークなエレクトロポップのビートに乗せた、MØらしい力強いボーカルが印象的な楽曲。リズムの変化がユニークで、アルバムのオープニングにふさわしいトラック。

3. I Want You

トロピカルなサウンドを取り入れた楽曲で、ダンサブルでありながらもどこか切なさを感じさせるメロディが特徴的

4. Blur (feat. Foster the People)

Foster the Peopleを迎えた、インディーポップとエレクトロニックの融合が心地よいトラック。メロディアスなコーラスが印象的で、リラックスした雰囲気の楽曲。

5. Nostalgia

タイトル通り、過去の思い出を振り返るような歌詞と、浮遊感のあるシンセが魅力的な楽曲。MØのエモーショナルなボーカルが際立つ。

6. Sun in Our Eyes (with Diplo)

Diploとのコラボによる、美しいメロディが際立つ楽曲。ノスタルジックでドリーミーな雰囲気が漂う、アルバムの中でも特に印象的なトラック

7. Mercy (feat. What So Not)

オーストラリアのプロデューサーWhat So Notとのコラボ曲。ダークなエレクトロニックサウンドと、MØの繊細なボーカルが融合した楽曲

8. If It’s Over (feat. Charli XCX)

Charli XCXとのコラボレーションによる、エネルギッシュなダンスポップ。キャッチーなメロディとビートが際立つ。

9. West Hollywood

シンプルなビートとアコースティックな要素を取り入れた楽曲。ロサンゼルスの自由な雰囲気を描いたリリックが印象的

10. Beautiful Wreck

エモーショナルなメロディと、シンセの壮大なサウンドが特徴的なバラード。MØの感情的なボーカルが心に響く。

11. Red Wine (feat. Empress Of)

Empress Ofをフィーチャーした、ミッドテンポのダンスナンバー。メロディアスな展開と繊細なプロダクションが特徴。

12. Imaginary Friend

エレクトロニックなサウンドに、MØの幻想的なボーカルが重なったドリーミーな楽曲。アルバムのテーマを象徴する一曲。

13. Trying to Be Good

シンプルなアコースティックサウンドが基調の楽曲で、MØの歌詞の深みが際立つナンバー

14. Purple Like the Summer Rain

アルバムのラストを飾る幻想的な楽曲。シンセのリバーブが印象的で、アルバムの余韻を感じさせるエンディングトラック


総評

Forever Neverlandは、MØがポップスターとしての地位を確立しつつも、オルタナティブな実験性を維持したバランスの取れたアルバムである。

本作では、「Lean On」以降のダンスミュージックの影響を受けつつ、MØらしいエレクトロポップの個性をしっかりと残している。特に「Sun in Our Eyes」「Blur」「If It’s Over」などの楽曲は、洗練されたサウンドとキャッチーなメロディが際立ち、アルバム全体のハイライトとなっている

また、歌詞の面では「成長とノスタルジア」「夢と現実の間で揺れる心情」がテーマとなっており、前作No Mythologies to Follow(2014年)と比較すると、より成熟した視点での自己探求が描かれている

その一方で、本作にはポップなアプローチが強まったことで、インディーらしい荒削りな魅力がやや薄れたとの意見もあり、デビューアルバムの個性的なエネルギーを好むリスナーには賛否が分かれる可能性がある。

それでも、MØの独自性と進化を示したアルバムとして、エレクトロポップのファンにとっては聴く価値のある作品である。


おすすめアルバム

  • No Mythologies to Follow (2014)
    • デビューアルバムで、エレクトロポップとインディーポップの要素が強い。
  • Charli XCXPop 2 (2017)
    • 未来的なエレクトロポップの名作で、本作と似た雰囲気を持つ。
  • GrimesMiss Anthropocene (2020)
    • ダークで実験的なエレクトロポップアルバム。
  • Tove Lo – Sunshine Kitty (2019)
    • MØと同じく北欧出身のシンガーで、ダンスミュージックの要素が強い作品。
  • Major Lazer – Music Is the Weapon (2020)
    • MØが関わったプロジェクトで、トロピカルハウスとダンスホールの影響が強い。
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