
1. 歌詞の概要
「Everyday Is Like Sunday(エブリデイ・イズ・ライク・サンデー)」は、イギリスのシンガーソングライターMorrissey(モリッシー)が1988年にリリースしたソロデビューアルバム『Viva Hate』に収録された楽曲 であり、彼の代表曲のひとつです。
この曲は、退屈で絶望的な風景の中で生きることへの倦怠感を描いた楽曲 であり、タイトルの「Everyday Is Like Sunday(毎日が日曜日のようだ)」は、「何の変化もなく、ただ時間が過ぎていく退屈な日々」という意味で使われています。
歌詞では、海沿いの寂れたリゾート地 が舞台となっており、主人公はその場所の沈鬱な雰囲気に圧倒され、退屈さや孤独感を募らせていきます。このモチーフは、モリッシーの持つ**「世界への幻滅」「社会への不満」「孤独な魂の叫び」** というテーマと深く結びついており、聴く者の心に強い印象を残します。
楽曲のメロディは、メランコリックで美しいストリングスとギターのアレンジが特徴的で、Smiths時代の作風と通じる部分がありながらも、より壮大でシンフォニックなサウンド になっています。
2. 歌詞のバックグラウンド
「Everyday Is Like Sunday」は、モリッシーがThe Smiths解散後に発表した最初のソロアルバム『Viva Hate』からのシングルであり、モリッシーのソロキャリアのスタートを象徴する重要な楽曲 です。
この楽曲のインスピレーションは、イギリスの作家ネヴィル・シュート(Nevil Shute)の小説『渚にて(On the Beach)』 から得たものだと言われています。この小説は、核戦争後に人類が滅亡の時を迎える世界を描いており、特にオーストラリアの海沿いの町で、死を待つ人々の絶望を描いています。
また、モリッシー自身はこの曲について**「典型的なイギリスの寂れた海辺の町をテーマにした曲」** と語っており、イギリスの地方都市に漂う退屈さや閉塞感を象徴する作品となっています。
さらに、タイトルにある「Sunday(日曜日)」は、イギリスでは「すべての店が閉まり、何もすることがない退屈な日」として象徴的な意味を持っています。このため、「毎日が日曜日のようだ」という表現は、「毎日が変化のない退屈な日々」という意味を持つのです。
3. 歌詞の抜粋と和訳
以下に、「Everyday Is Like Sunday」の印象的な歌詞の一部を抜粋し、その和訳を紹介します。
Trudging slowly over wet sand
濡れた砂の上をゆっくりと歩く
Back to the bench where your clothes were stolen
服を盗まれたベンチへと戻る
この部分では、無気力で沈鬱な主人公の姿が描かれています。濡れた砂浜を歩く情景は、まるで時間が止まったかのような感覚を与えます。また、「服を盗まれたベンチ」というフレーズは、孤独と無力感を象徴しているように感じられます。
Everyday is like Sunday
毎日が日曜日のようだ
Everyday is silent and grey
毎日が静かで灰色だ
このサビの部分が曲のテーマを端的に表しています。「静かで灰色の日々」 という表現は、退屈な町の雰囲気と、主人公の絶望的な気持ちを見事に表現しています。
Come Armageddon, come Armageddon, come
アルマゲドンよ、来い、アルマゲドンよ、来い
このラインは、退屈な世界に飽き飽きしている主人公が、破滅を待ち望んでいる ことを示しています。「アルマゲドン」とは聖書に出てくる最終戦争のことを指し、「こんな世界ならいっそ滅びてしまえばいい」という厭世的な考えが表れています。
(歌詞全文は以下のリンクから参照できます)
Morrissey – Everyday Is Like Sunday Lyrics | Genius
4. 歌詞の考察
「Everyday Is Like Sunday」は、単なる退屈な日常を歌った曲ではなく、現代社会の孤独や閉塞感を象徴する楽曲 です。
- 「寂れた海辺の町」=「人生の停滞」
- 舞台となっているのは、活気を失った町であり、これは主人公の人生そのものを象徴している。
- 「アルマゲドンを待つ主人公」
- 退屈な日々を送る主人公は、もはや変化を期待することもできず、破滅を望むほどに絶望している。
- 「日曜日=無意味な時間」
- 日曜日は本来、休息の日であるはずだが、この曲では「何もすることがない日」として表現されている。これは、社会とのつながりを失った人々の孤独感を象徴している。
この曲が持つテーマは、モリッシーの他の楽曲と共通しており、彼が一貫して歌い続けてきた「孤独」「疎外感」「社会への失望」といった要素 が強く反映されています。
5. この曲が好きな人におすすめの曲
「Everyday Is Like Sunday」が好きな人には、以下のような楽曲もおすすめです。
- The Smiths – There Is a Light That Never Goes Out
- モリッシーの孤独とロマンティックな死生観が詰まった名曲。
- The Cure – A Forest
- ダークで幻想的な雰囲気が、「Everyday Is Like Sunday」と共鳴する楽曲。
- David Bowie – Life on Mars?
- 社会の退屈さと夢見る心を対比させた、モリッシーにも影響を与えた名曲。
- Radiohead – No Surprises
- 無機質で退屈な人生をテーマにした、静かで美しい楽曲。
- Joy Division – Atmosphere
- 孤独と絶望感を表現した、ポストパンクの名曲。
6. 「Everyday Is Like Sunday」の影響と文化的インパクト
「Everyday Is Like Sunday」は、モリッシーのソロキャリアを確立した重要な楽曲であり、現在でも彼のライブでは定番曲として演奏される ほど人気があります。
この曲は、現代社会の孤独や退屈な日常を象徴する楽曲として、多くの人々に共感され続けている。今後も、時代を超えて愛される名曲として残り続けるでしょう。
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