アルバムレビュー:Eat It by Humble Pie

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1973年4月
ジャンル: ハードロック、ソウル、R&B、アコースティック・ロック


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“食らえ”という名の4枚の顔——ロックンロールのすべてを詰め込んだ、マリオット的万華鏡

『Eat It』は、Humble Pieが1973年にリリースした通算6作目のスタジオ・アルバムにして、彼ら唯一の2枚組アルバムである。
アルバムは明確に構成された4つのパートから成り、
それぞれが異なるスタイルを持ちつつ、バンドのルーツと幅広い表現力を提示する一種の“ロックンロール組曲”とも言える作品となっている。

スティーヴ・マリオットはプロデューサーとして完全に主導権を握り、
ブルース、ハードロック、ソウル、アコースティック、ライヴ音源とあらゆるスタイルを統合した一大ロック叙事詩を作り上げた。
そのうえでアルバムタイトルが『Eat It』——
つまり「さあ、全部食らえ」と言わんばかりの“一皿でフルコース”型ロックアルバムなのだ。


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全曲レビュー(構成別)

Disc 1 – Side A: ハードロック・チューン集

  1. Get Down to It
     ファンキーなグルーヴと濃厚なホーン。マリオットのシャウトがのっけから全開。
     ブギーとソウルが交差するアルバムの狼煙

  2. Good Booze and Bad Women
     泥臭さ全開のブギーロック。
     アル中と女への未練をぶちまけるロックンロールの本懐

  3. Is It for Love?
     哀愁を帯びたバラード調のミディアムナンバー。
     マリオットの“弱さ”が垣間見える一曲でもある。

  4. Drugstore Cowboy
     ドラッグカルチャーを風刺するダークでねっとりとしたロック。
     重厚なギターと語り口が異様なテンションを生む


Disc 1 – Side B: ソウル/R&Bカバー集

ここからはThe Blackberriesという女性ヴォーカル・トリオとのコラボが中心。

  1. Black Coffee
     パーシー・メイフィールドのソウル・クラシック。
     Humble Pie版は熱気と哀愁が混在する、まさに“夜のブルース”

  2. I Believe to My Soul
     レイ・チャールズの名曲を情熱的にカバー。
     マリオットが“白人ソウルシンガー”としてどれだけ本気だったかが伝わる熱唱。
  3. Shut Up and Don’t Interrupt Me
     ホーンとコーラスが炸裂するゴスペル風ファンク・ナンバー。
     まるで教会とバーが一体化したような祝祭感
  4. That’s How Strong My Love Is
     オーティス・レディングの名バラードを、一切の照れなく全力で歌い切る
     マリオットの“声”の表現力が最大限に発揮された名演。

Disc 2 – Side C: アコースティック中心のオリジナル集

  1. Say No More
     マリオットの弾き語りから始まり、徐々にバンドが加わる構成。
     魂の震えが伝わってくるような静謐な一曲

  2. Oh, Bella (All That’s Hers)
     どこかノスタルジックなラブソング。アコースティックギターとピアノが織りなす、優しさの滲むメロディ
  3. Summer Song
     夏の恋と喪失を思わせる、繊細で内省的なナンバー。フランプトンのいないHumble Pieにも、まだこんな感性が残っていた。
  4. Beckton Dumps
     インストゥルメンタルに近い楽曲で、風景描写のような音世界が広がる。

Disc 2 – Side D: ライヴ音源集(1972年録音)

  1. Up Our Sleeve
     ギターとドラムの応酬が激しい即興セッション風トラック。
     “ステージのHumble Pie”の荒々しさを象徴する

  2. Honky Tonk Women
     ローリング・ストーンズの名曲を泥臭くカバー。
     観客との一体感とアドリブが絶妙で、ライヴバンドとしての真価が存分に現れる
  3. Road Runner(再演)
     『Smokin’』収録曲のライヴ・ヴァージョン。スタジオ版よりもさらに黒く、荒々しく、そして楽しげ

総評

『Eat It』は、Humble Pie“これが俺たちのすべてだ”とテーブルに叩きつけた豪快な2枚組ロック・アルバムである。
それは単なる寄せ集めではなく、明確に構成された4つのフェーズが、バンドの音楽的背景とその進化を物語っている

ソウルとブルースへの愛、アコースティックの繊細さ、ライヴでの暴発的エネルギー——
それらを“喉が枯れるまで”歌い、鳴らし、叫び、祝祭として仕上げたこのアルバムは、
70年代初頭という時代を最も肉体的に生きたロック・バンドの、記録であり宣言である。


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