アルバムレビュー:Drops of Jupiter by Train

発売日: 2001年3月27日
ジャンル: ロック、ポップロック、オルタナティブロック


感情豊かなストーリーテリングと壮大なサウンド—Trainの名盤Drops of Jupiterの魅力

2001年にリリースされたDrops of Jupiterは、Trainにとってブレイクスルーとなった2作目のスタジオアルバムであり、タイトル曲「Drops of Jupiter (Tell Me)」の大ヒットによって、彼らを世界的なバンドへと押し上げた作品である。

本作では、前作Train(1998年)のアコースティックを主体としたシンプルなポップロックスタイルを進化させ、より壮大なアレンジとドラマティックな楽曲構成を取り入れた。ピアノとオーケストラの要素が強調され、特にタイトル曲ではクラシック音楽の影響を受けたアレンジが際立ち、バンドの音楽的な幅を広げた作品となっている

また、歌詞の面でも、喪失、希望、成長といったテーマを掘り下げ、感情的に豊かなストーリーテリングがアルバム全体を貫いている。Pat Monahanの力強くも繊細なボーカルが際立ち、リスナーの心を深く揺さぶる内容となっている。


全曲レビュー

1. She’s on Fire

アルバムの幕開けを飾る、アップテンポでエネルギッシュなナンバー。カントリーやフォークの要素を取り入れた軽快なギターリフと、情熱的な歌詞が印象的な一曲

2. I Wish You Would

メロディックなギターとキャッチーなコーラスが特徴のポップロックナンバー。失われた恋を振り返りつつも、希望を持とうとする歌詞が切ない

3. Drops of Jupiter (Tell Me)

本作のハイライトであり、Trainを代表する名曲。ストリングスアレンジを加えた壮大なバラードで、亡くなった母を想うMonahanのパーソナルな体験が歌詞に込められている。ピアノの旋律が美しく、エモーショナルなボーカルが感動的な余韻を残す。

4. It’s About You

アコースティックとエレクトリックギターのバランスが心地よいミッドテンポの楽曲。シンプルながらもリズミカルなアレンジが魅力

5. Hopeless

ジャズやブルースの影響を受けたサウンドが特徴の楽曲。「希望がない」と歌いながらも、どこか楽観的な雰囲気が漂うユニークな曲

6. Respect

力強いギターリフとドラムが印象的なロックナンバー。歌詞には怒りやフラストレーションが込められており、バンドのエネルギッシュな一面が際立つ

7. Let It Roll

フォークやカントリーの影響が色濃い、リラックスした雰囲気の楽曲。旅をテーマにした歌詞が心地よく、開放感を感じさせる

8. Something More

アップテンポでキャッチーなメロディが特徴の楽曲。「今よりもっと何かを求める」というテーマが、バンドのポジティブなエネルギーを伝える

9. Whipping Boy

ダークな雰囲気のあるミッドテンポの楽曲で、オルタナティブロックの要素が強め。重厚なギターサウンドとメロディの対比が面白い

10. Getaway

カントリーとロックを融合させた爽やかな楽曲。ロードムービーのようなイメージを彷彿とさせる歌詞が魅力

11. Mississippi

アルバムのラストを飾るバラードで、シンプルなピアノとアコースティックギターのアレンジが、Pat Monahanの歌声を際立たせる。静かでエモーショナルな終幕にふさわしい楽曲。


総評

Drops of Jupiterは、Trainが音楽的に大きな飛躍を遂げた作品であり、ポップロックの名盤として広く認知されている。特にタイトル曲「Drops of Jupiter」は、壮大なストリングスアレンジと心に響く歌詞が絶妙に融合し、今なお多くのリスナーに愛され続けている。

本作では、前作のアコースティックロック路線を基盤にしながらも、クラシック音楽の要素を取り入れることで、よりドラマティックで感情豊かな作品へと昇華。また、歌詞の面でも、個人的な体験を反映しつつ、普遍的なテーマを描くことで、多くのリスナーが共感できる内容となっている。

「Drops of Jupiter」の存在感が大きいアルバムではあるが、他にも「She’s on Fire」や「Something More」のようなポップロックらしいキャッチーな楽曲から、「Mississippi」のような静かなバラードまで、バランスの取れた構成が魅力的。

本作の成功により、Trainはポップロックシーンで確固たる地位を築き、後のヒット作へと続く基盤を確立した。90年代後半から2000年代初頭のポップロックを象徴する一枚として、今も聴く価値のあるアルバムだ。


おすすめアルバム

  • Train – My Private Nation (2003)
    • より洗練されたサウンドで、ポップロックの王道を進んだ作品。「Calling All Angels」収録。
  • The FrayHow to Save a Life (2005)
    • ピアノとエモーショナルなボーカルが特徴のバンドで、Trainのスタイルと共通点が多い。
  • Goo Goo Dolls – Dizzy Up the Girl (1998)
    • Trainと同じく、メロディックなロックと感動的な歌詞が魅力。
  • Matchbox Twenty – Mad Season (2000)
    • 90年代ポップロックの代表作で、Trainと同じく感情的な楽曲が多い。
  • ColdplayA Rush of Blood to the Head (2002)
    • 壮大なアレンジと感動的な歌詞が、本作のタイトル曲と通じる部分がある。
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