- 発売日: 1973年4月17日
- ジャンル: ロック、カントリーロック
Desperadoは、イーグルスの2枚目のアルバムであり、アメリカの西部開拓時代のアウトローをテーマにしたコンセプトアルバムである。この作品は、無法者や無法地帯を舞台にしたストーリーを背景に、バンドがカントリーロックをより深く探求し、アメリカの精神や自由の象徴を表現している。プロデューサーは再びギリン・ジョンズが担当し、アルバム全体にわたる統一感あるストーリー性が際立っている。
タイトル曲「Desperado」や「Tequila Sunrise」は、バンドのキャリアにおいても特に象徴的な楽曲であり、彼らのメロディックなセンスと、切なくも雄大なサウンドが詰め込まれている。イーグルスがアメリカンロックとカントリーロックの新たなスタンダードを確立し、アウトロー精神をロマンティックに描いた一枚である。
トラック解説
1. Doolin-Dalton
アルバムの幕開けを飾るカントリーロックの名曲。無法者たちの孤独と自由を描いた歌詞と、バーニー・レドンのスライドギターがアメリカ西部の情景を生き生きと映し出している。アウトローの象徴的な人生観が詰まっており、アルバム全体の雰囲気を効果的に演出している。
2. Twenty-One
アップテンポでカントリー色が強い楽曲。バーニー・レドンがリードボーカルを担当し、若さや無謀な生き方への憧れを歌っている。軽快なリズムとギターが曲を引き立て、彼らのカントリーサウンドへの愛が感じられる。
3. Out of Control
激しいロックナンバーで、イーグルスのダイナミックな一面が表れている。力強いリフとアップテンポなビートが、制御不能な生き方や抑えきれない衝動を象徴しており、バンドの多様性を感じさせる一曲。
4. Tequila Sunrise
アルバムの代表曲のひとつで、優雅なメロディと哀愁漂う歌詞が印象的。失恋や孤独感をテーマにした歌詞が、グレン・フライの穏やかなボーカルとともに美しく響く。シンプルでありながらも深みがあるこの曲は、カントリーロックの名曲として知られている。
5. Desperado
イーグルスの代表作であり、バンドのアイコン的なバラード。無法者の孤独や自由の代償を切なく描き、ドン・ヘンリーのエモーショナルなボーカルが心に染みる。ピアノとストリングスが曲に壮大さを加え、リリースから現在に至るまで多くのリスナーに愛され続けている。
6. Certain Kind of Fool
ランディ・マイズナーがリードボーカルを務め、アウトローが犯罪に手を染めるまでの心情を描いた一曲。ロック色が強いギターと軽快なビートが、彼のエモーショナルなボーカルと絶妙に調和している。
7. Doolin-Dalton (Instrumental)
インストゥルメンタルで、アルバム冒頭の「Doolin-Dalton」を別アレンジで再演。西部の雰囲気が漂うギターとハーモニカが、物語の流れに沿って聴く者を引き込む。
8. Outlaw Man
ダン・フリーバーグによって書かれた楽曲で、グレン・フライがリードボーカルを担当。アウトローとしての生き方への誇りと反逆心が歌われており、ロックとカントリーがバランスよくミックスされた曲。
9. Saturday Night
美しいハーモニーが印象的なバラードで、週末の切なさや孤独感を歌っている。ギターとバンジョーの響きが心地よく、アコースティックサウンドが曲全体に温かみを与えている。
10. Bitter Creek
バーニー・レドンがリードボーカルを務め、インディアンの居住地での争いと過酷な生活がテーマ。アコースティックなサウンドと暗い歌詞が物語性を強調し、西部の厳しさが伝わる一曲である。
11. Doolin-Dalton/Desperado (Reprise)
アルバムのフィナーレとして、アルバム冒頭の「Doolin-Dalton」とタイトル曲「Desperado」のメロディが再現される。物語が締めくくられ、アウトローの人生と結末が描かれる構成が印象的で、感動的な余韻を残す。
アルバム総評
Desperadoは、イーグルスの中でも特に物語性が高い作品であり、アメリカ西部のアウトローの精神や自由への憧れを見事に描き出している。ドン・ヘンリーとグレン・フライによる緻密なソングライティングが光り、彼らの作り出す物語が、聴く者を荒野の中の冒険へと誘う。カントリーロックとロックの要素がバランスよく融合し、時に激しく、時に静かな哀愁を感じさせる本作は、イーグルスの音楽的な幅を示すとともに、後の作品にも通じる豊かなテーマ性を確立した。デビューアルバムからの進化を見せつけた本作は、70年代アメリカンロックの金字塔である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Harvest by Neil Young
カントリーロックのクラシックで、イーグルスの持つ素朴で哀愁漂う音楽性と共通点がある。自由な精神とアコースティックサウンドが楽しめる。 - American Beauty by Grateful Dead
カントリーロックとフォークの融合が特徴的で、イーグルスのファンにとっても親しみやすいサウンド。温かみのある音楽が広がる名盤。 - Sweetheart of the Rodeo by The Byrds
カントリーロックの先駆け的な作品で、アウトロー的なテーマと共鳴するアルバム。イーグルスに影響を与えたカントリーロックの名作。 - No Fences by Garth Brooks
アメリカンカントリーの代表作で、ロックとカントリーの融合が楽しめる。アウトロー精神やアメリカ西部を感じさせる楽曲が揃っている。 - Will the Circle Be Unbroken by Nitty Gritty Dirt Band
カントリーとフォークの要素が詰まったアルバムで、伝統的なアメリカ音楽を感じられる作品。イーグルスのカントリーロックの原点ともいえる一枚。
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