発売日: 1994年8月29日
ジャンル: ブリットポップ、オルタナティヴ・ロック
Definitely Maybeは、オアシスのデビューアルバムで、1990年代のブリットポップ・ムーブメントの象徴となった作品だ。このアルバムは、リリース直後から瞬く間に話題を呼び、当時のUKロックシーンを席巻した。ギャラガー兄弟による自信と反抗心が溢れるサウンドは、どこか荒削りでありながらも圧倒的なエネルギーを放っている。プロデューサーにはオーウェン・モリスを迎え、ギターリフの厚みやラウドなサウンドが特徴的で、リスナーにとっても一聴して記憶に残る仕上がりとなっている。アルバム全体にわたって、リスナーに「自分は何にでもなれる」という力強いメッセージが込められており、90年代を代表するデビュー作として今もなお多くのファンに愛され続けている。
各曲解説
- Rock ‘n’ Roll Star
アルバムの幕開けを飾る、オアシスの自信と夢を象徴する一曲。リリックには「ロックンロールスターになる」という強い意志が込められ、激しいギターリフとリアム・ギャラガーの荒々しいボーカルが、リスナーを一瞬で引き込む。 - Shakermaker
ゆったりとしたリズムが特徴のこの曲は、ギャラガー兄弟が育ったイギリスの労働者階級の環境や、彼らの世界観を垣間見せる。リフはリラックスしたムードを持ちながらも、中毒性のあるサウンドで、コーラスの「I’d like to be somebody else and not know where I’ve been」が印象的。 - Live Forever
アルバムのハイライトの一つで、ポジティブなメッセージが込められたバラード。この曲では、「自分の生きる意味」を見つけることへの希望が描かれており、ノエルのメロディセンスが光る。リアムのボーカルも控えめながら感情的で、リスナーの心に響く。 - Up in the Sky
スペースを感じさせるギターリフと、力強いリズムが特徴の一曲。歌詞には現実への不満と、社会に対する皮肉が込められている。リアムの高揚感のある歌声が、曲のメッセージをさらに強調している。 - Columbia
オアシスの初期ライブで頻繁に披露されたこの曲は、サイケデリックなサウンドが印象的。重くうねるベースラインとギターが心地よい反復を生み出し、徐々に高揚するサウンドがリスナーを陶酔させるようだ。 - Supersonic
オアシスのデビューシングルで、シンプルで強烈なリフが特徴。自信に満ちた歌詞と、リアムの挑戦的なボーカルが、若者のエネルギーを感じさせる。「I’m feeling supersonic, give me gin and tonic」というフレーズが印象的で、リスナーに爽快感を与える。 - Bring It on Down
パンクの影響が色濃く出た曲で、荒削りなギターサウンドが特徴的だ。リアムの攻撃的なボーカルとリズミカルなビートが、バンドの持つ反骨精神を鮮明に表現している。ライブでの盛り上がりも定評のあるナンバー。 - Cigarettes & Alcohol
労働者階級の日常を描いた一曲で、ギターリフにはロックンロールの影響が色濃い。現実逃避の手段としての「タバコと酒」というテーマが、ユーモアと皮肉を交えて歌われている。ギターリフが耳に残る、クラシックなロックの名曲。 - Digsy’s Dinner
アルバムの中でも軽快で、ユーモアが感じられる一曲。歌詞には、友人の家でのんびり過ごす様子が描かれており、重厚な楽曲が多い中で、一瞬の安らぎを感じさせてくれる。 - Slide Away
愛について歌われたエモーショナルなバラードで、アルバムの中でも特に感動的な一曲。リアムの切実なボーカルと、ノエルのメロディセンスが融合し、長い間ファンから愛され続ける楽曲となっている。 - Married with Children
アルバムのラストを飾る、シンプルでアコースティックな楽曲。歌詞は皮肉たっぷりで、どこか愚痴をこぼしているかのようなユーモアが感じられる。気負わないリアムのボーカルが、アルバム全体のエネルギーを緩和するような、優しい締めくくりをもたらしている。
アルバム総評
Definitely Maybeは、オアシスがロックバンドとしての存在感を一気に確立したデビューアルバムであり、その力強いサウンドと荒々しい魅力が90年代のUKロックシーンに新たな風を吹き込んだ。ギャラガー兄弟の自信と野心がサウンドと歌詞に色濃く反映され、若者の反抗心や自己肯定感が詰まっている。ノエル・ギャラガーの卓越したメロディセンスと、リアムの個性的なボーカルが見事に融合し、時代を象徴する作品として今もなお多くのリスナーに愛されている。Definitely Maybeは、オアシスの音楽的な原点であり、彼らの強烈なエネルギーが凝縮された不朽の名作である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Blur – Parklife
オアシスとともにブリットポップシーンを牽引したバンド、ブラーの代表作。ユーモアと皮肉に満ちたリリックと、キャッチーなメロディが特徴で、オアシスファンにも楽しめる。
The Stone Roses – The Stone Roses
マンチェスター出身のバンド、ストーン・ローゼズのデビューアルバム。サイケデリックとロックが融合したサウンドが、オアシスの初期作品と共通するエネルギーを持つ。
Pulp – Different Class
ブリットポップの代表的な一枚で、普遍的なテーマと共感を呼ぶ歌詞が魅力。ユーモアと社会的メッセージを併せ持ち、オアシスファンにも刺さる要素が多い。
The Verve – Urban Hymns
ドラマチックなメロディと深い歌詞が特徴のアルバム。リチャード・アシュクロフトの情熱的なボーカルと、壮大なサウンドがオアシスファンに響くだろう。
Arctic Monkeys – Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not
若者の視点で描かれたリアルな歌詞とエネルギッシュなサウンドが特徴。オアシス同様、社会に対する反抗心が込められており、ブリットポップ以降のUKロックファンにもおすすめ。
コメント