アルバムレビュー：Damned Damned Damned by The Damned

発売日: 1977年2月18日
ジャンル: パンクロック

The Damnedのデビューアルバム「Damned Damned Damned」は、パンクロックの初期シーンにおいて重要な作品である。このアルバムは、勢いのあるサウンドと荒削りなエネルギーで、パンクが何であるかを示す完璧な例となっている。ギターリフの切れ味、激しいビート、そしてDave Vanianの独特のヴォーカルスタイルが組み合わさり、全体を通して攻撃的かつキャッチーな作品に仕上がっている。このアルバムは、後に続く数多くのバンドやアーティストに大きな影響を与え、イギリスのパンクロックの歴史に残る重要なリリースとなった。

各曲ごとの解説:

1. Neat Neat Neat
   　アルバムを開ける「Neat Neat Neat」は、鋭いギターリフと勢いのあるドラムが特徴的なトラック。曲全体にわたって感じられる緊張感が、パンクのスピリットを完璧に体現している。歌詞は直接的で攻撃的だが、キャッチーさもあり、ライブでの定番曲となっている。
2. Fan Club
   　この曲では少しテンポを落とし、よりメロディックな面を見せる。歌詞は社会的疎外感をテーマにしており、個人のアイデンティティと孤独感が強調されている。ドラムとベースのリズムが繰り返されることで、少し不穏な雰囲気が生み出されている。
3. I Fall
   　速いテンポと混沌としたエネルギーが融合した「I Fall」は、シンプルな構成の中で力強さを発揮する。歌詞は破滅的な感情を描いており、荒々しいギターワークとVanianのカリスマ性のあるヴォーカルが際立つ。
4. Born to Kill
   　攻撃的なタイトル通り、このトラックは暴力的な衝動や自己破壊をテーマにしている。ギターのノイズと迫力あるドラムが、破壊的なエネルギーを生み出しており、パンクの象徴的なサウンドを作り上げている。
5. Stab Yor Back
   　短くて強烈なこの曲は、疾走感のあるパンクの典型的なスタイルを体現している。わずか1分を超える長さながら、パンチ力のあるリフと叫ぶようなヴォーカルで、聴衆に強いインパクトを残す。
6. Feel the Pain
   　少しダークなサウンドを持つ「Feel the Pain」は、感情的な苦痛をテーマにしている。ギターの重いディストーションと、不穏な雰囲気のリズムが特徴的で、他の曲と一線を画すダイナミックな展開がある。
7. New Rose
   　「New Rose」はシングルとしてもリリースされた、The Damnedの代表曲の一つ。強烈なイントロから始まり、キャッチーなメロディと激しいビートが融合している。愛と混乱をテーマにした歌詞も印象的で、パンクロックのアンセムとなった。
8. Fish
   　「Fish」はシンプルでストレートなパンクソングで、あまり深く考えずに楽しめるトラック。リフの反復とダイナミックなドラムのプレイが、短い時間に強い印象を与える。
9. See Her Tonite
   　キャッチーなコーラスが印象的な「See Her Tonite」は、疾走感とメロディのバランスが取れた曲で、リズミカルなギターとキャッチーなボーカルが聴きやすさを提供している。
10. 1 of the 2
    　アップテンポでエネルギッシュな「1 of the 2」は、反社会的なメッセージとともに、The Damnedらしいカオスな雰囲気を維持している。ギターソロが曲にさらなるスリルを与えている。
11. So Messed Up
    　アルバムの終盤に登場する「So Messed Up」は、エネルギー溢れるトラックで、混乱と怒りを表現している。荒々しいギターリフと歪んだヴォーカルが、終始アグレッシブな雰囲気を醸し出す。
12. I Feel Alright
    　The Stoogesのカバー「I Feel Alright」でアルバムは幕を閉じる。原曲のワイルドさを尊重しつつ、The Damnedの個性がしっかりと反映された仕上がりで、フィナーレにふさわしいエネルギッシュな演奏が印象的だ。

アルバム総評:

「Damned Damned Damned」は、The Damnedの荒々しくもカリスマ的なエネルギーを余すことなく詰め込んだ作品である。シンプルな構成ながら、パンクの反抗的な精神を存分に発揮し、後に続くバンドたちに大きな影響を与えた。全体を通してスピード感と攻撃性が際立つ一方で、キャッチーなメロディやユニークな歌詞が聴き手を魅了する。このアルバムは、パンクロックの誕生を象徴する重要なマイルストーンとなっている。

このアルバムが好きな人におすすめの5枚:

1. Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols by Sex Pistols
   パンクの代表的なアルバムで、反体制的な歌詞とエネルギッシュなサウンドが「Damned Damned Damned」と共通している。
2. The Clash by The Clash
   同じく1977年にリリースされたこのアルバムは、政治的メッセージを含む歌詞と力強いパンクサウンドで、The Damnedと並び称される。
3. Raw Power by The Stooges
   「I Feel Alright」のオリジナルを収録したアルバムで、攻撃的なギターワークと荒々しいエネルギーが特徴。
4. Machine Gun Etiquette by The Damned
   The Damned自身の後期の作品で、パンクの枠を超えたサウンドの進化が感じられる。より多様な要素を取り入れつつも、根本的なパンク精神を保持している。
5. Pink Flag by Wire
   ミニマルなパンクサウンドと独特なリズム感で知られるこのアルバムは、The Damnedのファンにも新鮮な驚きを提供するだろう。