CTRL by SZA

発売日: 2017年6月9日
ジャンル: R&B、ソウル、ネオソウル

「CTRL」は、SZAのデビューアルバムであり、現代R&Bの新たなスタンダードとなった作品だ。自己不安、愛、失恋、自己価値といった複雑な感情を繊細かつ力強く表現し、特にミレニアル世代の女性たちから大きな共感を呼んだ。エクスペリメンタルなビートとシンプルなアレンジが彼女の柔らかなボーカルを引き立て、SZAの個性的なリリックが、彼女自身の経験と葛藤を率直に語っている。R&Bの伝統を踏襲しつつ、現代的な音楽スタイルを取り入れたこのアルバムは、リスナーに深い感情的なインパクトを与える。

各曲ごとの解説:

1. Supermodel

アルバムのオープニング曲で、自己不信と恋愛における不安をテーマにしている。アコースティックギターのシンプルな伴奏に、SZAの飾らないボーカルが乗り、痛々しいまでに正直な歌詞が心に刺さる一曲だ。

2. Love Galore (feat. Travis Scott)

トラヴィス・スコットとのコラボ曲で、相手に対する愛の疑念と欲望を描いている。軽快なビートとSZAの柔らかなボーカルが印象的で、トラップの要素を取り入れた現代的なR&Bサウンドが新鮮だ。

3. Doves in the Wind (feat. Kendrick Lamar)

性と恋愛をテーマにした楽曲で、ケンドリック・ラマーがフィーチャーされている。大胆で率直なリリックが印象的で、SZAの自由で挑発的な表現が光る。ジャズやソウルの要素を取り入れたビートがユニークだ。

4. Drew Barrymore

この曲は、自己不信と愛されたいという欲求を描いた切ないR&Bバラード。SZAの脆さが正直に歌われており、アコースティックなアレンジとミッドテンポのビートが感情を引き立てる。

5. Prom

青春時代の無邪気さと、現実への不安が交錯するアップテンポな楽曲。軽やかなビートと明るいメロディが、歌詞にある焦燥感とのコントラストを生んでいる。R&Bとポップの要素がバランスよく融合している。

6. The Weekend

不安定な恋愛関係をテーマにしたこの曲では、SZAの柔らかいボーカルが印象的。相手と週末だけの関係を維持するという複雑な感情を、スムーズなR&Bサウンドに乗せて描いている。ソウルフルなリズムが心地よい。

7. Go Gina

短いながらもインパクトのある楽曲で、他人に流されず自分らしく生きることを歌っている。控えめなプロダクションとスムーズなボーカルが、SZAの自信に満ちたメッセージを支えている。

8. Garden (Say It Like Dat)

自分の不完全さを受け入れてほしいという願いを込めたこの曲は、SZAのボーカルが優雅に響き、彼女の内面を深く掘り下げたリリックが印象的。緩やかなビートとドリーミーなサウンドが、彼女の柔らかさを強調している。

9. Broken Clocks

過去を振り返りながら、前に進もうとする姿を描いた楽曲。繰り返されるビートが時間の流れを象徴しており、SZAの成長と自己認識がテーマとなっている。シンプルなメロディが心に残る。

10. Wavy (Interlude) [feat. James Fauntleroy]

短いインタールードで、愛と自分自身の間で揺れ動く感情を描写している。ジェームズ・フォントルロイの滑らかなボーカルがSZAの声と絡み合い、心地よいハーモニーを生み出している。

11. Normal Girl

ありのままの自分を愛されることを望む女性の気持ちを歌った楽曲。R&Bのスムーズなリズムに、SZAの心の奥底にある不安と希望が混ざり合っており、特に若い世代の女性に強く共感されている。

12. Pretty Little Birds (feat. Isaiah Rashad)

アイザイア・ラシャドをフィーチャーしたこの曲では、愛の自由と束縛を象徴的に描いている。浮遊感のあるサウンドと詩的な歌詞が、愛の儚さと美しさを際立たせている。

13. 20 Something

アルバムのラストを飾るこの曲は、20代という人生の一時期における不安と不確実さを優しく描いたバラード。アコースティックギターが中心のシンプルなアレンジが、SZAの等身大の感情を引き立てている。

アルバム総評:

「CTRL」は、SZAの感情の複雑さと人間関係の不安定さを見事に表現した作品だ。自己不安や恋愛における葛藤を正直に描き、R&Bとネオソウルを基盤とした多彩なサウンドが、彼女のボーカルを引き立てている。彼女の内面を探る歌詞と、柔らかなサウンドのコントラストがこのアルバムの魅力であり、「The Weekend」や「Love Galore」などのヒット曲は、SZAの感情的な深みを反映している。この作品は、特に若い世代のリスナーに共感を呼ぶだろう。

このアルバムが好きな人におすすめの5枚:

1. thank u, next by Ariana Grande
   自己成長と失恋をテーマにした感情的なポップアルバムで、SZAの「CTRL」と同様にパーソナルな歌詞が際立つ。感情の強さと繊細さのバランスが共通点だ。
2. Blonde by Frank Ocean
   ジャンルを超えた革新的なR&B作品で、自己探求と内面の葛藤を描いている。「CTRL」の感情的なテーマに共感するリスナーには特におすすめ。
3. ANTI by Rihanna
   R&Bとポップの要素を融合したリリースで、愛と自己価値に焦点を当てたアルバム。SZAの感情的な深みとラフなサウンドに通じるものがある。
4. Electric Lady by Janelle Monáe
   ネオソウルとR&Bが融合したアルバムで、自己表現や女性の強さをテーマにしている。SZAの個性的なスタイルと音楽的なアプローチを好むリスナーに適している。
5. A Seat at the Table by Solange
   
   人種やアイデン