発売日: 1970年7月16日
ジャンル: スワンプロック, ルーツロック, ブルースロック
Cosmo’s Factoryは、Creedence Clearwater Revival（CCR）の5枚目のアルバムであり、彼らの音楽的な集大成とも言える作品である。ジョン・フォガティ率いるCCRはこのアルバムでさらに成熟し、「Run Through the Jungle」や「Who’ll Stop the Rain」など、社会的なメッセージを含んだ楽曲から、彼ら独特のスワンプサウンドが溢れる「Up Around the Bend」「Travelin’ Band」まで、ジャンルを超えて多彩な楽曲が揃っている。
タイトルのCosmo’s Factoryは、ドラムのダグ・“コスモ”・クリフォードが練習場所を「コスモの工場」と呼んでいたことに由来し、CCRの原点を象徴している。このアルバムでは、CCRの音楽的な幅広さが光り、スワンプロックの枠に留まらず、ルーツミュージックの影響を取り入れた多面的なサウンドが展開されている。発売当時から大ヒットを記録し、彼らのキャリアの中でも最も成功を収めた作品として知られている。
曲ごとの解説
1. Ramble Tamble
アルバムの冒頭を飾る7分を超える大作で、アップテンポのロックとブルース色が交錯するドラマチックな展開が特徴。リズムが次第に変化し、フォガティのギターがサイケデリックな雰囲気を漂わせる。CCRの演奏力が発揮された一曲で、バンドの実験的なアプローチが感じられる。
2. Before You Accuse Me
ボ・ディドリーのブルースクラシックをカバーしたこの曲は、シンプルなリズムとスライドギターが特徴。フォガティのボーカルとギターがブルースのソウルを見事に表現し、CCRのルーツに対する敬意が感じられる。
3. Travelin’ Band
軽快でエネルギッシュなロックンロールナンバー。ライブでの生活とツアー中の体験を描き、フォガティのボーカルが力強く、サックスのリフが曲にアクセントを加えている。疾走感あふれるパフォーマンスが聴き手を盛り上げる、ライブでも人気の一曲。
4. Ooby Dooby
ロイ・オービソンのヒット曲をカバーし、CCR流にアレンジされた楽しいロックナンバー。シンプルでキャッチーなメロディが、フォガティのボーカルと相まってどこか陽気な雰囲気を生み出している。
5. Lookin’ Out My Back Door
カントリー風の軽快なリズムが特徴の楽曲で、幻想的な歌詞が曲の中で展開される。フォガティのボーカルとバンドのアンサンブルが温かく、アメリカの田舎風景が浮かぶような心地よい一曲。リスナーに楽しさとリラックスを提供する名曲だ。
6. Run Through the Jungle
重厚なリズムと不穏なムードが特徴的な楽曲で、アメリカの銃社会に対する批判が込められている。フォガティの低音のボーカルとシンプルなギターリフが緊張感を高め、まるでジャングルを進むような迫力を生み出している。
7. Up Around the Bend
CCRの代表的なロックナンバーで、フォガティの明るくエネルギッシュなギターリフが印象的。「Up Around the Bend」というフレーズが示す未来への期待感が、リスナーの気分を高揚させる。シンプルでキャッチーなメロディが広く愛されている。
8. My Baby Left Me
エルヴィス・プレスリーで有名なこの楽曲をカバーし、CCR流のアレンジで演奏。リズムの効いたサウンドとフォガティの熱いボーカルが、曲に新たな生命を吹き込んでいる。バンドのルーツロックへの敬意が感じられる一曲。
9. Who’ll Stop the Rain
穏やかなメロディに、戦争や社会の混乱に対する平和への願いを込めた歌詞が特徴。フォガティの切実なボーカルが胸に迫り、聴き手に深いメッセージを伝える。フォークロック的なサウンドが美しく、今も色褪せない名曲。
10. I Heard It Through the Grapevine
マーヴィン・ゲイのソウルクラシックを大胆にカバーし、CCR流に仕上げた11分にわたる大作。フォガティのギターが次第に展開され、ブルースとサイケデリックの要素が交錯するインストゥルメンタルパートが圧巻。バンドの即興演奏が光る楽曲で、アルバムのハイライトの一つ。
11. Long as I Can See the Light
アルバムの最後を飾るバラードで、フォガティのソウルフルなボーカルが際立つ。旅の終わりと帰り道への安堵感が感じられるメロディが、リスナーに静かな感動をもたらす。温かく包み込むようなサウンドで、アルバムを美しく締めくくっている。
アルバム総評
Cosmo’s Factoryは、Creedence Clearwater Revivalがその音楽的幅を広げ、スワンプロックにとどまらず、ブルース、ロカビリー、カントリー、サイケデリックなど多様なジャンルを取り入れた作品である。「Who’ll Stop the Rain」や「Run Through the Jungle」の社会的なメッセージ、さらには「Travelin’ Band」のようなエネルギッシュなロックナンバーまで、バラエティに富んだ内容がリスナーを楽しませる。このアルバムは、CCRの音楽的な到達点であり、当時の社会状況に対する彼らの視点も反映されている。長い年月が経った今でも、その力強さとメッセージは色褪せない。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
CCRの3作目で、スワンプロックの原点とも言える作品。「Bad Moon Rising」などのヒット曲も収録されており、シンプルで力強いサウンドが魅力。
アメリカのルーツに根ざした、温かく郷愁を感じさせる名盤。CCR同様、自然体で奥深い音楽が詰まっている。
サイケデリックな要素とブルースが融合した作品で、60年代後半のロックの空気を感じられる。CCRの実験性と共鳴する内容が楽しめる。
フォークとロックが調和した作品で、アメリカのルーツ音楽への敬意が感じられる。CCRのファンにとっても親しみやすい内容だ。
アメリカンロックとブルース、詩的なリリックが融合した名作。CCRのルーツに共鳴するような、深いメッセージ性と味わいが詰まった一枚。
コメント