アルバムレビュー：Confusion Is Sex by Sonic Youth

アルバムレビュー

2024.11.17

発売日: 1983年2月
ジャンル: ノイズロック、アートロック、ポストパンク

Sonic Youthのデビューアルバム『Confusion Is Sex』は、ポストパンクとノイズロックの先駆的な作品として、80年代のアンダーグラウンドシーンに衝撃を与えた。このアルバムは、従来の音楽構造や美学を意図的に破壊し、ノイズ、不協和音、即興性を大胆に取り入れることで、後のオルタナティブロックやノイズシーンに大きな影響を与えた。

ギターの調弦を意図的に狂わせることで生み出される異質なサウンド、即興性に富んだアプローチ、そしてアンビエントな不安感は、Sonic Youthの音楽的な革新性を強く打ち出している。混乱と秩序の狭間を行き交うような音世界は、タイトル通り「混乱」がテーマとなった象徴的な作品だ。

アルバムの背景
各曲解説
アルバム総評
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アルバムの背景

『Confusion Is Sex』は、1981年に結成されたSonic Youthの初期作品であり、彼らが実験的な音楽性を追求していた時期の産物だ。プロデュースには、バンドの盟友であるWharton Tiersが参加し、ローファイな音質と荒々しいサウンドが、アルバム全体を覆っている。

当時のニューヨークのノーウェーブシーンの影響を受け、Sonic Youthは従来のパンクやポストパンクの枠を超えた前衛的なアプローチを採用。このアルバムは、アートと音楽の境界を曖昧にし、リスナーを挑発するような作品として位置付けられている。

各曲解説

1. (She’s in a) Bad Mood

アルバムを象徴する不穏なトラック。キム・ゴードンの硬質で無機質なボーカルが、不協和音を繰り返すギターと共鳴し、全体に暗いトーンを漂わせている。

2. Protect Me You

キム・ゴードンが語るように歌うアンビエントなトラック。ストリングス風のギターと呟くような歌声が、脆弱さと内省を描き出す。

3. Freezer Burn/I Wanna Be Your Dog

The Stoogesの「I Wanna Be Your Dog」を大胆に解体・再構築したカバー曲。破壊的なノイズと即興的な演奏が際立つ。

4. Shaking Hell

アルバムのハイライトとも言えるトラック。激しいギターとリズムセクションが緊張感を生み、キム・ゴードンの挑発的なボーカルがリスナーを圧倒する。

5. Inhuman

カオスとエネルギーに満ちたトラックで、ギターの無秩序なノイズがバンドのアグレッシブな一面を強調している。

6. The World Looks Red

パンク的なアプローチが際立つ楽曲で、ギターの鋭いリフとThurston Mooreのボーカルが特徴。歌詞はMichael Gira（Swans）が提供している。

7. Confusion Is Next

アルバムのテーマを象徴するトラック。不協和音と反復するリズムが、聴く者を不安定な精神状態に誘う。

8. Making the Nature Scene

ポエトリーリーディングのようなキム・ゴードンのボーカルが印象的。アートと音楽の融合を試みた挑戦的な楽曲。

9. Lee Is Free

リー・ラナルドによるインストゥルメンタルトラック。即興的なギタープレイが、自由と混乱を表現している。

アルバム総評

『Confusion Is Sex』は、Sonic Youthの初期の試みと実験精神を凝縮したアルバムだ。従来の音楽的な規範を拒絶し、ノイズと混沌を全面に押し出したこの作品は、リスナーに挑発的な問いかけを投げかける。特に、「Shaking Hell」や「(She’s in a) Bad Mood」といった楽曲は、ポストパンクの枠を超えた新しい表現を提示している。

音楽というよりも音そのものの可能性を探るこのアルバムは、アートと音楽の境界を超越し、Sonic Youthの未来の方向性を示唆している。ノイズロックやアヴァンギャルドな音楽に興味があるリスナーには必聴の作品だ。