1. 歌詞の概要
「Candela(カンデラ)」は、Buena Vista Social Club(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ)の1997年のアルバムに収録された、情熱的でリズミカルなキューバのソン・クバーノ(Son Cubano)を代表する楽曲である。
「Candela」とはスペイン語で「火」や「炎」を意味し、この曲では「燃え上がる炎」を比喩として使い、恋愛の情熱と官能性を表現している。
歌詞は、主人公が「火事になった!」と叫ぶコミカルなシーンから始まるが、その火は実際の火事ではなく、情熱的な恋の比喩として描かれている。「火を消せない、助けてくれ!」と騒ぎながらも、その「火」が実は燃え尽きることのない恋心であることを暗に示している。
2. 歌詞のバックグラウンド
「Candela」は、キューバの伝統音楽の要素を持ち、特にアフロ・キューバンの影響を受けたリズムが際立つ楽曲である。
この曲のボーカルを務めたのは、Ibrahim Ferrer(イブラヒム・フェレール)であり、彼のユーモラスで情熱的な歌い方が、曲の魅力をさらに引き立てている。
また、この楽曲は即興性が強く、ライブ演奏ではしばしば演奏時間が長くなり、ミュージシャン同士の掛け合いや観客とのコール&レスポンスが盛り上がる曲として知られている。
3. 歌詞の抜粋と和訳
Original Lyrics:
Candela, candela, candela me quemo aé
和訳:
炎だ、炎だ、炎が俺を焼き尽くす!
Original Lyrics:
El que tenga su mujer
Que la cuide, que la cuide
Porque yo ando en la calle
Y no me hago responsable
和訳:
彼女がいる男は
大切にしなきゃダメだぞ
俺は街を歩き回るけど
何が起こるかは責任を持てないぜ
Original Lyrics:
Que la apague el bombero
和訳:
この炎を消防士に消してもらってくれ!
引用元:Genius
4. 歌詞の考察
「Candela」の歌詞は、表面的には火事の騒ぎを歌っているように見えるが、実際には情熱的な恋のメタファーとなっている。
- 「炎」は、単なる火ではなく、燃え上がる愛情や欲望の象徴。
- 「消防士に消してもらえ!」というラインは、その強い恋心や衝動を抑えることができない状態をユーモラスに表現している。
- 「彼女がいる男は大切にしなきゃダメだ」という部分は、主人公が遊び人であることを暗示しており、ラテン音楽特有の陽気でおちゃめな恋愛観が表れている。
このように、キューバ音楽特有の軽快なユーモアと、情熱的な愛の表現が融合した楽曲となっている。
5. この曲が好きな人におすすめの曲
- “El Cuarto de Tula” by Buena Vista Social Club – 火をテーマにしたもうひとつのエネルギッシュなソン・クバーノ。
- “Bilongo (La Negra Tomasa)” by Compay Segundo – キューバの伝統的な恋愛ソングで、情熱的なリズムが特徴的。
- “Son de la Loma” by Trío Matamoros – ソン・クバーノのクラシックナンバー。
- “Candela” (Different Versions) by Celia Cruz – セリア・クルスが歌ったバージョンも有名。
- “Cienfuegos Tiene Su Guaguancó” by Ibrahim Ferrer – 彼のソロキャリアを象徴する楽曲。
6. 楽曲の影響と特筆すべき事項
「Candela」は、『Buena Vista Social Club』のアルバムの成功によって、キューバ音楽の世界的な人気を高めた楽曲のひとつとなった。
- キューバのバーやライブハウスでは定番の曲であり、特にライブでは長時間の即興演奏が繰り広げられることが多い。
- ラテン音楽の情熱と遊び心を象徴する楽曲として、多くのアーティストにカバーされ続けている。
7. まとめ
「Candela」は、情熱的で官能的な恋を象徴するラテン音楽の名曲であり、キューバ音楽の持つ陽気さと即興性が存分に発揮された楽曲である。
「燃え上がる恋の炎」をコミカルかつ情熱的に歌い上げるこの楽曲は、聴く人を自然と踊りたくさせる力を持ち、今後も世界中で愛され続けるだろう。
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