発売日: 2015年9月11日
ジャンル: ガレージロック、インディーロック、ポストパンクリバイバル
Anthems for Doomed Youthは、ザ・リバティーンズが11年の空白を経てリリースした再結成アルバムであり、成熟と自己反省が色濃く反映された作品である。ピーター・ドハーティとカール・バラーのカリスマ的なデュオは、激動の過去を抱えながらも、共に音楽を作り続ける意志を持って再び集結。過去の荒々しいガレージロックスタイルに加え、より洗練されたサウンドと感情的な歌詞が本作には含まれており、成長と共に変わりゆくバンドの姿が感じられる。
アルバムタイトルは第一次世界大戦詩人ウィルフレッド・オーウェンの詩に由来し、アルバム全体に漂うメランコリックな雰囲気は、失われた時間や過去の傷に向き合うバンドの内面を映し出している。「Gunga Din」や「Heart of the Matter」など、過去の葛藤や自己探求がテーマの楽曲が収録されており、バンドの音楽的な成熟と内省が感じられる一枚である。
トラックごとの解説
1. Barbarians
アルバムのオープニングを飾るナンバーで、荒々しいギターリフとリバティーンズらしい反骨精神が炸裂。バンドのエネルギーが詰まったスタートにふさわしい一曲。
2. Gunga Din
シングルとしてもリリースされ、リバティーンズの再結成を印象付けた楽曲。カールとピーターのツインボーカルが際立ち、複雑な感情が歌詞に込められている。レゲエ風のリズムが特徴的で、過去の自己破壊的な生活に対する自己反省が表現されている。
3. Fame and Fortune
ノスタルジックな雰囲気が漂う一曲で、名声と成功の影に潜む空虚さについて歌われている。アップビートながらも切なさが感じられるメロディが印象的。
4. Anthem for Doomed Youth
アルバムタイトルにもなっている楽曲で、内省的でメランコリックな一曲。バンドの過去と失われた青春がテーマで、感傷的な歌詞がリスナーの心に響く。
5. Heart of the Matter
鋭いリフとエネルギッシュなドラムが特徴的なトラック。歌詞には自己破壊的な行動への葛藤と、それを乗り越えようとする意志が込められている。
6. Belly of the Beast
リズミカルでキャッチーな曲調で、バンドの荒々しい一面が表れている。自らの暗い面に向き合い、再出発を図ろうとする姿勢が感じられる。
7. Iceman
穏やかで控えめなアレンジが特徴的なバラードで、繊細なメロディと歌詞が印象的。リバティーンズの感情的な一面が際立ち、アルバムに静かな余韻を与える。
8. You’re My Waterloo
アルバムの中でも特に感傷的な楽曲で、ピアノとストリングスが美しく調和。バンドが解散する前に書かれた曲が、再会を経て再録され、友情と愛のテーマが深く感じられる。
9. Fury of Chonburi
スピーディーで荒々しい曲調で、リバティーンズらしい勢いが感じられる。タイでの録音が影響した独特の雰囲気があり、バンドの遊び心が光る。
10. The Milkman’s Horse
カントリーやフォークの要素が感じられる楽曲で、ノスタルジックで親しみやすいメロディが印象的。穏やかで温かみのあるサウンドが特徴。
11. Glasgow Coma Scale Blues
攻撃的でパンキッシュな楽曲で、リバティーンズのエネルギーが全開の一曲。ギターとドラムが激しく絡み合い、バンドの勢いを体感できる。
12. Dead for Love
アルバムの最後を飾るメランコリックなナンバーで、リバティーンズの壊れやすい一面が露呈している。切なくも美しいボーカルとギターが印象に残る。
アルバム総評
Anthems for Doomed Youthは、ザ・リバティーンズが再結成を果たし、新たなステージに挑んだ意欲作であり、バンドの過去と未来を見つめ直す作品である。初期の荒削りなサウンドに対し、内省的で成熟したリリックや、メランコリックで洗練されたアレンジが際立ち、彼らの成長が感じられる。「Gunga Din」や「Anthem for Doomed Youth」など、かつての自分たちを見つめ直す曲が多く、ザ・リバティーンズの心の内が露わにされた内容となっている。Anthems for Doomed Youthは、バンドの新たな始まりを告げるとともに、彼らの再生と希望を感じさせる作品であり、ファンにとっても意義深い一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Don’t Believe the Truth by Oasis
内省的な歌詞と成熟したサウンドが特徴のオアシスの後期作品で、リバティーンズのメランコリックな面が好きなリスナーにおすすめ。
Humbug by Arctic Monkeys
より深みと成熟を増したアークティック・モンキーズのアルバムで、リバティーンズの内省的なトーンが好きな人に合う。
First Impressions of Earth by The Strokes
ザ・ストロークスの3枚目のアルバムで、これまでのキャッチーさに加え、内省的でダークなトーンが増した一枚。リバティーンズの変化と共鳴する。
A Weekend in the City by Bloc Party
若者の感情や葛藤を深く掘り下げた作品で、リバティーンズの詩的なリリックや内面的なテーマを愛するリスナーにぴったり。
Different Class by Pulp
英国ロックのアイコン的作品で、人生の諸相を反映した歌詞と多様なサウンドが楽しめる。リバティーンズのリリックの鋭さが好きな人におすすめ。
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