アルバムレビュー：All for Love by New Edition

アルバムレビュー

2025.03.13

発売日: 1985年11月8日
ジャンル: R&B、ポップ、ニュー・ジャック・スウィング

成熟へ向かうNew Editionの躍進作
全曲レビュー
総評
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成熟へ向かうNew Editionの躍進作

1985年にリリースされた『All for Love』は、New Editionにとって3作目のアルバムであり、ティーンアイドルとしてのイメージを残しつつも、より洗練されたR&Bサウンドへと移行する過程を示した作品となった。本作では、前作『New Edition』の流れを引き継ぎながらも、よりファンクやダンスミュージックの影響を強く受けた楽曲が増え、後のニュー・ジャック・スウィングへと繋がる要素が見え始めている。

このアルバムからは、「Count Me Out」「A Little Bit of Love (Is All It Takes)」「With You All the Way」などのシングルがヒットし、New Editionはティーンの枠を超えたR&Bグループとしての地位を確立しつつあった。しかし、本作のリリース後、ボビー・ブラウンがグループを脱退するという転機も訪れることとなる。

全曲レビュー

1. Count Me Out

本作のリードシングルで、キャッチーなメロディと軽快なリズムが印象的なポップR&Bナンバー。恋愛の駆け引きをテーマにした歌詞が青春の甘酸っぱさを表現している。

2. A Little Bit of Love (Is All It Takes)

ダンサブルでエネルギッシュな楽曲。シンセを活かした80年代らしいサウンドで、グループのハーモニーの良さが際立つ。

3. Sweet Thing

ファンクの影響を感じるグルーヴィーなトラック。軽快なベースラインとメンバーのヴォーカルが絶妙に絡み合う。

4. With You All the Way

本作のバラード枠として特に人気の高い楽曲。感情豊かなボーカルと美しいメロディが際立ち、New Editionの成熟を感じさせる。90年代のボーイズグループにも影響を与えたであろう、洗練されたR&Bバラードの原型とも言える一曲。

5. Let’s Be Friends

ディスコの影響を受けたアップテンポなトラック。クラブ向けの楽曲としても機能しそうな、軽快なノリが特徴。

6. Kickback

リズムの強調されたR&Bファンクナンバー。メンバーのヴォーカルの個性が際立ち、特にボビー・ブラウンの存在感が光る。

7. Tonight’s Your Night

スムーズなメロディとリラックスしたムードが心地よい楽曲。大人の雰囲気が増し、前作と比べても確実に成長を感じさせる。

8. Whispers in Bed

本作の中でも特にセクシーなムードを持つR&Bバラード。スローなビートと囁くようなボーカルが印象的。

9. Who Do You Trust

ファンキーなベースラインが特徴的なトラック。ニュー・ジャック・スウィングへと繋がるダンスミュージックの要素が垣間見える。

10. School

軽快なビートとキャッチーなメロディを持つポップR&Bチューン。若さ溢れるエネルギッシュな一曲。

11. All for Love

アルバムのタイトル曲にふさわしい、感動的なバラード。愛と友情の大切さを歌った、New Editionのキャリアの中でも重要な楽曲のひとつ。

総評

『All for Love』は、New Editionがアイドル的なポップR&Bから、本格的なR&Bグループへと成長する過程を示した重要な作品である。シングル曲「Count Me Out」「A Little Bit of Love」「With You All the Way」は、今なお80年代R&Bの名曲として愛されている。

本作のリリース後、ボビー・ブラウンのグループ脱退という転機を迎え、New Editionは次作『Under the Blue Moon』（1986年）で一時的に方向性を変えたが、最終的にニュー・ジャック・スウィングのスタイルを確立し、さらなる進化を遂げることとなる。

本作は、ポップな要素を残しつつも、より大人のR&Bへと移行するサウンドが特徴的であり、80年代R&Bの黄金時代を象徴する作品のひとつとして、今でも聴く価値がある。