アルバムレビュー:After the Snow by Modern English

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1982年5月24日
ジャンル: ニューロマンティック、ドリームポップ、ニューウェイブ、ポストパンク


概要

『After the Snow』は、Modern Englishが1982年に発表したセカンド・アルバムであり、
前作『Mesh & Lace』の暗くノイジーな実験性から一転、よりメロディアスで空間的なサウンドへと進化を遂げた名作である。

本作は、シングル「I Melt with You」がアメリカでスマッシュヒットしたことにより、
ポストパンクからニューウェイブ/ドリームポップの橋渡しを行った作品として国際的な評価を得たアルバムでもある。

『Mesh & Lace』でのインダストリアルな質感や不協和の美学を捨て去ることなく、
そこにギターの残響、暖かなアコースティック、スケール感のあるコーラス、詩的な歌詞世界を織り込むことで、
より“歌えるポストパンク”の新境地を拓いた

冬が終わり、雪が溶けたあとに現れる風景。
そのタイトルが示すように、本作には冷たさの余韻と、春の兆しが共存する、静かなる再生の物語が広がっている。


全曲レビュー

1. Someone’s Calling

空間的なギターとソフトなドラムパターンから始まる、アルバムの新たな方向性を象徴するトラック

“誰かが呼んでいる”というフレーズは、外界への意識の回復、他者とのつながりを希求する心の声のように響く。

前作との最大の違いは、ここで初めて**“光”が差してくる感覚**だ。

2. Life in the Gladhouse

不思議な浮遊感とリズムの中に、社会性と個人の内面を交錯させた哲学的トラック

“Gladhouse”という造語的な語感が象徴するのは、幸福という名の抑圧あるいは狂気を包み込む仮面としての社会構造

リズムセクションが強く、後のニューウェイブ・バンドへの影響も大きい一曲。

3. Face of Wood

アコースティックギターとエフェクト処理されたヴォーカルが印象的な、儚くも感情的なミッドテンポの楽曲

“木の顔”という比喩は、自然と人間、感情と物質、静と動の境界を曖昧にする

ダイナミクスに富んだ構成で、じわじわと感情が膨らむ展開が秀逸。

4. Dawn Chorus

一転してシリアスなトーンのポストパンク・チューン。

“夜明けのコーラス”という詩的タイトルに反し、どこか不安定で静かな緊張感を孕んだサウンド

Joy Divisionからの影響を残しつつも、音色の多様さとリバーブの使い方で、The Cureのような幻想的質感を見せている。

5. I Melt with You

Modern English最大の代表曲であり、80年代を象徴するラヴソングのひとつ

シンプルなギターリフと躍動感あるドラムに乗せて、
「君と溶け合っていく」=恋愛と宇宙的な拡張感を重ねた詩的比喩が全編にわたって展開される

暗さと明るさ、実存と陶酔が交差するロマンティック・ポストパンクの決定打

この曲の成功により、バンドはアメリカでも一気に注目を集めることとなる。

6. After the Snow

タイトル曲にふさわしい静けさと詩的な余韻をもったバラード。

ギターは薄く、ヴォーカルはウィスパー気味に展開され、雪解けのあとの世界の息づかいをそのまま封じ込めたような演出

この曲には、破壊も叫びもない。ただ寒さの残る空気の中に芽吹く“兆し”の気配だけが静かに漂っている

7. Carry Me Down

本作の中でも最も内省的なナンバー。

「僕を下へと運んでくれ」というタイトルには、生の重さ、死の誘惑、そして休息の希求が複雑に織り込まれている。

Husseyの声はここでとても近く、耳元で語られるような親密さがあり、
本作の中でもっとも詩的で孤独な瞬間といえる。


総評

『After the Snow』は、Modern Englishにとっての**“夜明け”のアルバム**である。

前作『Mesh & Lace』の不安定で鋭い緊張感を経て、
本作では風景と感情がゆっくりと可視化され、言葉と音に繊細な余白が生まれた

ただしそれは単なる“ポップ化”ではない。
むしろより深い詩的感受性と、抽象的な思索を開かれたメロディに乗せた、知的な進化である。

「I Melt with You」だけが語られることが多い作品だが、
本作の真価はその周縁にこそある──雪のあとの静寂、沈黙のなかにある微かな温もり、それを音楽で描いた詩のようなアルバムなのだ。


おすすめアルバム(5枚)

  1. The Cure – Faith (1981)
     内省と静謐、喪失と救済が交錯するポストパンクの金字塔。
  2. Echo & the BunnymenHeaven Up Here (1981)
     海のイメージと精神の浮遊感を重ねた、同時代的美学の兄弟作。
  3. Cocteau TwinsHead Over Heels (1983)
     ドリームポップの先駆けとして、本作と感覚の共通点多数。
  4. New Order – Movement (1981)
     Joy Divisionの影を引き継ぎつつ、シンセによる開放感を試みた転換点。
  5. China Crisis – Difficult Shapes & Passive Rhythms (1982)
     リリカルなポストパンクと洗練されたニューウェイブの中間に位置する、同時代の名作。

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