発売日: 2021年10月22日
ジャンル: サイケデリックロック / インディーロック / アルトカントリー
セルフタイトルでリリースされたMy Morning Jacketは、バンドにとって9枚目のスタジオアルバムであり、彼らのこれまでのキャリアを凝縮しつつ、新たなエネルギーに満ちた作品だ。2020年のパンデミックによってツアーが中断された中で制作された本作は、ジム・ジェームスを中心に、バンドが再び自分たちの結束を見つめ直しながら作り上げた。
このアルバムは、彼らが培ってきたサイケデリックロック、オルタナティブカントリー、そしてソウルフルな要素が見事に融合しており、セルフタイトルにふさわしい作品となっている。リリース後、バンドのファンはもちろん、新たなリスナー層にも高く評価され、My Morning Jacketの現在進行形のクリエイティビティを示す重要な一枚となった。
トラック解説
1. Regularly Scheduled Programming
アルバムの幕開けを飾るこの楽曲は、静かで穏やかなイントロから始まり、徐々に壮大なサウンドスケープへと発展していく。パンデミックによる社会の混乱と個人的な気づきをテーマにした歌詞が印象的で、アルバム全体のテーマを提示する重要な一曲だ。
2. Love Love Love
アップビートでキャッチーなトラック。シンプルで楽観的なメッセージが込められた歌詞が特徴で、ギターリフとリズムセクションが楽曲を一層引き立てている。
3. In Color
サイケデリックで夢のような雰囲気を持つ楽曲。リバーブの効いたギターとジェームスの感情的なボーカルが、美しいサウンドスケープを構築している。
4. Least Expected
ゆったりとしたテンポと深い歌詞が心に響くバラード。曲が進むにつれて、徐々にエネルギーが増し、ドラマチックな展開を迎える。
5. Never in the Real World
現代社会の不確実性を反映したテーマを持つ楽曲。リズムの変化やシンセサウンドが際立ち、アルバムの中で異彩を放つ一曲だ。
6. The Devil’s in the Details
ファンキーなリズムと遊び心のあるギターラインが特徴の楽曲。軽快な雰囲気の中に、メッセージ性の強い歌詞が込められている。
7. Lucky to Be Alive
穏やかで温かみのあるメロディが心地よいトラック。歌詞には感謝と希望が込められており、リスナーに前向きなエネルギーを与える。
8. Complex
ミステリアスでサイケデリックな雰囲気を持つ楽曲。複雑なリズムと音響効果が印象的で、バンドの実験的な一面が垣間見える。
9. Out of Range, Pt. 2
力強いギターリフが印象的なトラック。バンドのロック的なエネルギーが全開で、ライブでのパフォーマンスが期待される一曲だ。
10. Penny for Your Thoughts
軽快で明るい楽曲。メロディアスなサウンドとユーモラスな歌詞が心地よく、アルバム全体の流れを和らげる役割を果たしている。
11. I Never Could Get Enough
アルバムの締めくくりを飾る壮大なトラック。静かな導入から始まり、次第に感情が高まる構成が印象的で、感動的なエンディングを迎える。
アルバムの背景: セルフタイトルに込められた決意
セルフタイトルでリリースされた本作には、バンドが自分たちのルーツを再確認しつつ、新たな方向性を模索する意志が込められている。パンデミックという未曾有の状況を経て、音楽の持つ癒しと結束力を再発見したMy Morning Jacketが、その感情をダイレクトに表現している。
録音にはバンドのこれまでの経験が反映され、熟練の演奏技術と大胆な実験精神が共存している。セルフタイトルにふさわしく、彼らの音楽的アイデンティティを集大成した作品だといえる。
アルバム総評
My Morning Jacketは、バンドの現在地を示すと同時に、これまでのキャリアを総括するような作品である。壮大なサウンドスケープと感情的な歌詞が特徴的で、彼らがいかに成熟し、進化し続けているかが伝わってくる。セルフタイトルに込められた決意と再生の物語は、聴く者に深い感動を与えるだろう。新たなMy Morning Jacketのスタート地点ともいえるこのアルバムは、ファン必聴の一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Crack-Up by Fleet Foxes
美しいサウンドスケープと詩的な歌詞が、My Morning Jacketの世界観に通じる。
The War on Drugs by A Deeper Understanding
広がりのあるサウンドと感情的な楽曲が共通点を持つアルバム。
Wasting Light by Foo Fighters
ロックエネルギーと深みのある歌詞がMy Morning Jacketのエッセンスと響き合う。
Fear Inoculum by Tool
実験的なサウンドと壮大な楽曲構成が魅力の一枚。
The Suburbs by Arcade Fire
ノスタルジックなテーマと多彩な音楽性が、My Morning Jacketのファンにも刺さる作品。
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