発売日: 2008年10月13日
ジャンル: ソン / ボレロ / キューバ音楽
1998年7月1日、ニューヨークのカーネギーホールで行われた歴史的なライブを収録したBuena Vista Social Club at Carnegie Hallは、キューバ音楽の伝説的な瞬間を切り取ったアルバムだ。このパフォーマンスは、1997年のスタジオアルバムBuena Vista Social Clubの成功を受けて行われたもので、キューバの伝統音楽を代表するスターたちが一堂に会した。
このアルバムには、イブラヒム・フェレール、オマーラ・ポルトゥオンド、ルベーン・ゴンザレス、コンパイ・セグンドといったミュージシャンたちが、観客の熱狂的な声援を受けながら披露した、感動的で力強いライブパフォーマンスが収められている。ライブならではのダイナミズムと、スタジオ録音にはない親密さが感じられる一枚であり、キューバ音楽の真髄を体験できる作品だ。
トラック解説
1. Chan Chan
ライブの幕開けを飾る名曲。コンパイ・セグンド作のこの楽曲は、穏やかなギターリフとリズムがライブの温かい雰囲気を作り出している。観客の静かな期待感とともに始まり、フェレールのボーカルが楽曲に生命を吹き込む。
2. De Camino a La Vereda
軽快なリズムとエネルギッシュなホーンセクションが特徴。ライブならではの一体感が生まれ、演奏者と観客の間に特別な空気が流れる瞬間が感じられる。
3. El Cuarto de Tula
アフロキューバンのリズムが前面に出た熱狂的なトラック。観客の歓声が加わり、パーカッションとボーカルのコール＆レスポンスがライブならではの高揚感を生み出している。
4. La Engañadora
クラシックなダンソンで、ルベーン・ゴンザレスのピアノが楽曲をリードする。洗練された演奏が、ライブでのバンドの緊密なアンサンブルを示している。
5. Silencio
イブラヒム・フェレールとオマーラ・ポルトゥオンドによる感動的なデュエット。静かなピアノ伴奏が二人の声を引き立て、観客もその美しさに息を飲む。深い感情が伝わる名演だ。
6. Orgullecida
フェレールのボーカルが際立つ楽曲。軽やかなギターとパーカッションが楽曲を支え、観客を心地よいリズムに引き込む。
7. ¿Y Tú Qué Has Hecho?
コンパイ・セグンドがリードする楽曲で、彼のユニークな歌声とギターが会場を魅了する。ユーモアとノスタルジーが同居する演奏が印象的だ。
8. Buena Vista Social Club
アルバムタイトル曲で、ルベーン・ゴンザレスのピアノが情熱的に響き渡るインストゥルメンタル。観客はこの楽曲の優雅さとダイナミズムに魅了される。
9. Dos Gardenias
イブラヒム・フェレールの代表曲で、愛と別れのテーマが感動的に歌われる。観客の反応が楽曲にさらなる深みを加え、ライブならではのエモーショナルな体験を提供している。
10. Candela
エネルギッシュでダンサブルなトラック。リズムセクションが楽曲を牽引し、観客も一体となって盛り上がる瞬間が伝わる。
11. Quizás, Quizás, Quizás
オマーラ・ポルトゥオンドがボーカルを務めるこの楽曲は、柔らかいメロディと彼女の感情豊かな歌声が際立つ。ライブならではの親密さが感じられるパフォーマンス。
12. Siboney
アルバムのクライマックスを飾る壮大な楽曲。ピアノ、ホーン、ボーカルが一体となり、観客を魅了する迫力あるフィナーレだ。
アルバムの背景: 歴史的ライブの記録
このライブは、キューバ音楽が国際的に注目されるきっかけとなったBuena Vista Social Clubプロジェクトのハイライトといえる。1999年公開の同名のドキュメンタリー映画でも一部が紹介されたが、本アルバムはその完全版といえる内容で、カーネギーホールという特別な舞台での熱狂と感動を余すところなく伝えている。
観客のリアクションや演奏者たちの即興的なパフォーマンスが加わり、スタジオアルバムにはない臨場感が楽しめる。
アルバム総評
Buena Vista Social Club at Carnegie Hallは、キューバ音楽の黄金時代を再現した伝説的なライブを収めたアルバムだ。観客の反応とミュージシャンたちの情熱が融合し、音楽の持つ力を改めて感じさせてくれる。ライブならではのダイナミズムと親密さが、スタジオ録音とは異なる新たな魅力を提供している。キューバ音楽のファンはもちろん、音楽が持つ普遍的な美しさを体感したい人にとって必聴の一枚である。
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