発売日: 1982年10月15日
ジャンル: ニューウェーブ / シンセポップ
Quartetは、ウルトラヴォックスの5作目のスタジオアルバムであり、バンドの商業的成功をさらに拡大させた作品である。前作Viennaで確立したドラマチックなサウンドを引き継ぎながらも、よりポップで洗練されたアプローチが採用されている。プロデュースを担当したのは、イエスやアジアで知られるジョージ・マーティン。彼の影響により、楽曲構成とアレンジがさらに緻密になり、オーケストラ的なスケール感が加わっている。
アルバムは、シンセサイザーを中心としたサウンドとキャッチーなメロディが特徴であり、シングルカットされたReap the Wild WindやHymnなどが成功を収めた。ニューウェーブの枠を超えた普遍的な魅力を持つ本作は、ウルトラヴォックスの成熟を象徴するアルバムとなっている。
各曲解説
1 Reap the Wild Wind
アルバムのオープニングを飾るキャッチーな楽曲で、シングルとしてもヒットした一曲。シンセサイザーが織りなす豊かな音の層と、ミッジ・ユーレの伸びやかなボーカルが印象的だ。歌詞は希望と冒険心をテーマにしており、リズム感のあるアレンジが楽曲を引き立てている。
2 Serenade
軽快なリズムとメロディが特徴的な楽曲で、アルバム全体のバランスを保つ重要なトラック。歌詞はロマンティックな雰囲気を持ち、シンセサイザーとギターの調和が美しい。
3 Mine for Life
緊張感と疾走感を併せ持つ楽曲で、歌詞は執着や欲望をテーマにしている。シンセリフが力強く、ドラムとベースのダイナミックなリズムが楽曲を支えている。エッジの効いたサウンドが印象的だ。
4 Hymn
アルバムの中核をなす名曲で、荘厳な雰囲気を持つ一曲。神聖な儀式を思わせる歌詞と、ドラマチックな展開が特徴。サビのメロディが特に感動的で、ミッジ・ユーレのボーカルが楽曲に威厳を与えている。シングルとしても大ヒットし、バンドの代表曲となった。
5 Visions in Blue
静かなイントロから始まり、徐々にドラマチックに展開していくバラード調の楽曲。歌詞は感傷的で、シンセサイザーが深い余韻を与える。エモーショナルなメロディがリスナーの心に残る一曲だ。
6 When the Scream Subsides
メロディックでポップな雰囲気を持つ楽曲で、アルバムの中でも特に聴きやすいトラック。歌詞は喪失感をテーマにしており、ポジティブなエネルギーが楽曲全体に溢れている。
7 We Came to Dance
アルバムからのシングルカット曲で、ダンサブルなリズムが特徴。軽快なシンセサイザーとギターのリフが楽曲に躍動感を与えている。キャッチーなサビが耳に残り、ライブでも盛り上がる一曲だ。
8 Cut and Run
緊迫感のある楽曲で、重厚なベースラインとシンセサイザーが印象的。歌詞は逃避や対立をテーマにしており、アルバムの中でもダークなトーンを持つトラックだ。ミッジ・ユーレの表現力豊かなボーカルが光る。
9 The Song (We Go)
アルバムを締めくくる壮大な楽曲。シンセサイザーとギターが織りなすスケール感のあるアレンジが特徴で、歌詞は希望と旅立ちを描いている。力強いコーラスがエンディングにふさわしい感動を生み出している。
アルバム総評
Quartetは、ウルトラヴォックスがニューウェーブの旗手としてだけでなく、ポップミュージックの完成度を追求したバンドであることを示したアルバムだ。ジョージ・マーティンのプロデュースによる緻密なアレンジと、キャッチーなメロディが絶妙に融合し、全体を通して心地よく聴ける一枚となっている。特にHymnやReap the Wild Windなどの名曲は、ウルトラヴォックスの普遍的な魅力を代表する楽曲であり、彼らの音楽が時代を超えて愛される理由を物語っている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Vienna by Ultravox
ウルトラヴォックスの代表作で、ドラマチックなサウンドが共通している必聴のアルバム。
Dare by The Human League
ニューウェーブとポップの融合を追求した作品で、本作のファンにも響く一枚。
Rio by Duran Duran
洗練されたポップサウンドとキャッチーなメロディが楽しめる、80年代を代表する名盤。
Architecture & Morality by Orchestral Manoeuvres in the Dark (OMD)
クラシカルなサウンドとシンセポップの融合が際立つアルバムで、本作と似た魅力を持つ。
True by Spandau Ballet
ポップとドラマチックなサウンドが融合したアルバムで、ニューウェーブ好きにおすすめの一枚。
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