発売日: 1967年9月1日
ジャンル: ブルースロック
アルバム全体の印象
「Crusade」は、John Mayall & the Bluesbreakersによる4枚目のアルバムであり、ピーター・グリーンの後任として加入したミック・テイラー(後にローリング・ストーンズに参加)がフィーチャーされた作品である。当時まだ17歳の若きギタリストだったテイラーは、卓越したテクニックと成熟したプレイスタイルで、バンドに新たなエネルギーを注ぎ込んだ。
このアルバムは、ジョン・メイオールがリーダーとしてブルースへの深い愛情を込め、伝統的なブルースとモダンなロックの融合を追求した作品となっている。ミック・テイラーの洗練されたギタープレイだけでなく、ホーンセクションが取り入れられるなど、音楽的な広がりが増しているのが特徴だ。
「Crusade」というタイトルには、ブルースの魅力を広めるというメイオールの使命感が込められており、アルバム全体に流れる真摯な情熱が感じられる。オリジナル曲とブルースのスタンダードをバランスよく収録した本作は、メイオールとテイラーの化学反応が生み出した傑作である。
各曲解説
1. Oh, Pretty Woman
アルバムの幕開けを飾るアルバート・キングのカバー。ミック・テイラーのスムーズなギターソロが光り、ブルースのエネルギーをそのままロックに変換した一曲。
2. Stand Back Baby
ジョン・メイオールによるオリジナル曲。ピアノとギターが中心となり、軽快なリズムとメロディが特徴的なブルースロックナンバー。
3. My Time After Awhile
スローブルースの名曲で、ボーカルの感情的な表現とギターの繊細なフレージングが見事に調和している。
4. Snowy Wood
インストゥルメンタルで、ミック・テイラーのギターが全面にフィーチャーされた一曲。メロディアスで叙情的なプレイが聴きどころ。
5. Man of Stone
アップテンポで軽快なトラック。ホーンセクションが曲にダイナミズムを加え、バンド全体の一体感が際立つ。
6. Tears in My Eyes
熱量の高いブルーストラックで、ギターとホーンの掛け合いがスリリング。ミック・テイラーのソロが楽曲を引き立てている。
7. Driving Sideways
フレディ・キングのカバー曲。タイトなリズムセクションとテイラーの鋭いギタープレイが印象的で、バンドの演奏力が存分に発揮されている。
8. The Death of J.B. Lenoir
ジョン・メイオールが尊敬するブルースマン、J.B.レノアに捧げた感動的な楽曲。静かなピアノと歌詞に込められた敬意が印象的だ。
9. I Can’t Quit You Baby
ウィリー・ディクスンのカバーで、メイオールの感情的なボーカルと、ギターの深みが楽曲を際立たせている。
10. Streamline
グルーヴ感あふれるファンキーなブルースナンバー。ホーンセクションが加わり、独特なリズム感を持つ楽曲となっている。
11. Me and My Woman
メイオールの歌詞が切実に響く楽曲で、ギターとボーカルの掛け合いが聴きどころ。
12. Checkin’ Up on My Baby
ソニー・ボーイ・ウィリアムソンのカバー曲。ハーモニカが楽曲をリードし、ブルースの伝統的な雰囲気を残している。
13. Top of the Hill
アルバムを締めくくるアップビートなトラック。テイラーのギターが爽快で、アルバム全体を華やかにまとめている。
アルバム総評
「Crusade」は、ジョン・メイオールのリーダーシップのもと、若きギタリスト、ミック・テイラーの才能が開花したアルバムである。クラプトンやグリーンといった先代のギタリストとは異なる、テイラーの繊細で優美なプレイスタイルがアルバムに新しい風を吹き込んでいる。
ホーンセクションやアンサンブルの充実度も本作の大きな魅力であり、伝統的なブルースのカバーとオリジナル曲が見事に融合している。ジョン・メイオールのブルースへの深い愛情が随所に感じられる、ブルースロックの名盤だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
「Blues Breakers with Eric Clapton」 by John Mayall & the Bluesbreakers
エリック・クラプトン時代の名盤で、ブルースロックのルーツを知ることができる。
「A Hard Road」 by John Mayall & the Bluesbreakers
ピーター・グリーン時代の傑作で、ブルースロックの可能性を広げたアルバム。
「Beginnings」 by Mick Taylor
ミック・テイラーのソロアルバムで、彼のギタースタイルの深みを存分に味わえる。
「Texas Flood」 by Stevie Ray Vaughan and Double Trouble
モダンブルースの金字塔で、ミック・テイラーの影響を感じるギタープレイが楽しめる。
「Fleetwood Mac (1968)」 by Fleetwood Mac
ピーター・グリーン時代の作品で、ブルースロックの伝統と革新を体感できる。
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