発売日: 1981年4月1日
ジャンル: フォークロック / カントリーロック / アコースティック
The Grateful DeadのライブアルバムReckoningは、1980年秋に行われたアコースティックセットのパフォーマンスを収録した作品だ。このアルバムは、ニューヨークのRadio City Music HallとサンフランシスコのWarfield Theatreで行われた伝説的なライブから厳選されたトラックで構成されている。バンドのカントリーロックやフォークロックの魅力を、親密で温かみのあるアコースティックアレンジで堪能できる作品だ。
この時期のThe Grateful Deadは、アコースティックサウンドを通じて原点回帰を試み、フォークやカントリーのルーツを再発見していた。本作では、Jerry Garciaの優しいボーカルとギター、Bob Weirのリズミカルな演奏、Phil Leshの控えめながらも効果的なベースラインが完璧に調和している。以下に、アルバムの全17曲から主要な楽曲を解説する。
1. Dire Wolf
軽快なアコースティックギターと親しみやすいメロディが特徴の楽曲。暗いテーマを持つ歌詞と明るいリズムの対比が印象的で、Jerry Garciaの温かみのあるボーカルが際立つ。
2. The Race Is On
ジョージ・ジョーンズのカントリー曲をカバーした一曲。軽快でダンサブルなリズムと、Bob Weirの爽やかなボーカルが楽しい雰囲気を作り出している。
3. It Must Have Been the Roses
繊細で詩的な歌詞と美しいアコースティックアレンジが魅力のバラード。Jerry Garciaの感情的な歌唱が心に響く一曲で、アルバム全体のトーンを象徴している。
4. Dark Hollow
伝統的なフォークソングをアレンジした楽曲で、シンプルなギターとハーモニーが際立つ。The Grateful Deadのフォークへの敬意を感じられる一曲。
5. China Doll
静謐な雰囲気を持つバラードで、Jerry Garciaの繊細なボーカルとリリカルなギターワークが光る。深い悲しみを描いた歌詞が印象的。
6. Monkey and the Engineer
伝統的なフォークソング風の楽曲で、Bob Weirの軽快なボーカルが特徴。楽しい物語性があり、ライブで観客との一体感を生み出した一曲。
7. Jack-A-Roe
トラディショナルなフォークソングをアコースティックアレンジで演奏した楽曲。リズミカルなギターとストーリーテリングの歌詞が心地よい。
8. Cassidy
Bob Weirがリードボーカルを務めるオリジナル曲で、ライブでの人気曲の一つ。洗練されたアコースティックアレンジが際立ち、歌詞の詩的な内容が楽曲に深みを加えている。
9. Ripple
アルバムの中でも特に注目すべき一曲。American Beauty収録のスタジオ版からさらに深化したパフォーマンスで、観客との一体感が伝わる名演。ハーモニーとギターが楽曲をさらに豊かにしている。
10. To Lay Me Down
切ないメロディと歌詞が特徴のバラード。Jerry Garciaの感情的なボーカルとシンプルなアレンジが楽曲の美しさを引き立てている。
アルバム総評
Reckoningは、The Grateful Deadのアコースティックパフォーマンスを通じて、フォークやカントリーのルーツを再発見したアルバムだ。スタジオアルバムAmerican BeautyやWorkingman’s Deadの楽曲を中心に構成され、親しみやすいアコースティックサウンドと詩的な歌詞が印象的である。
ライブアルバムでありながら、音質が非常に良く、まるでスタジオ録音のような完成度を持つ。また、観客との暖かな交流が感じられるパフォーマンスが、アルバム全体にリラックスした雰囲気を与えている。The Grateful Deadのライブの魅力を味わうのに最適な作品であり、フォークロックやカントリーロックのファンには必聴の一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
American Beauty by The Grateful Dead
フォークとカントリーの要素を全面に押し出したスタジオアルバムで、Reckoningの楽曲のルーツを感じられる。
Workingman’s Dead by The Grateful Dead
フォークロックとカントリーロックが融合した名盤で、アコースティックサウンドの温かさが魅力。
Will the Circle Be Unbroken by The Nitty Gritty Dirt Band
フォークやカントリーの伝統を受け継いだアルバムで、Reckoningの音楽性と共鳴する。
Sweetheart of the Rodeo by The Byrds
カントリーロックの先駆的アルバムで、フォークとカントリーの融合が楽しめる。
Déjà Vu by Crosby, Stills, Nash & Young
美しいハーモニーとアコースティックサウンドが印象的な名盤。Reckoningの雰囲気を好むリスナーにおすすめ。
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