Ten Storey Love Song by The Stone Roses(1994)楽曲解説

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

楽曲の概要

「Ten Storey Love Song」は、The Stone Rosesが1994年に発表したセカンド・アルバム『Second Coming』の収録曲で、翌1995年にシングルとしてリリースされた楽曲である。作詞・作曲はギタリストのJohn Squire。Ian Brownがボーカル、Squireがギター、Maniがベース、Reniがドラムとバックボーカルを担当し、Simon DawsonとPaul Schroederがプロデュース、Bill Priceがミックスを手がけた。アルバムの長大でブルース色の濃い楽曲の中では約4分半と比較的コンパクトで、明快なメロディを持つラブソングになっている。

タイトルを直訳すれば「10階建てのラブソング」。愛する相手のために巨大な建物を建て、それによって相手を暗い場所から高いところへ連れ出そうとするイメージが歌詞の中心にある。デビュー作『The Stone Roses』の軽やかなギターポップと、『Second Coming』で強まったLed Zeppelinなどを思わせる重量感の間をつなぐような曲であり、長い空白期間を経たThe Stone Rosesにも初期のメロディ感覚が残っていたことをよく示している。

歌詞の概要

歌詞は、心が傷つき、答えを見つけられず、孤独の中にいる相手への呼びかけから始まる。語り手はその苦しみを完全に解決できるとは言わない。それでも手を差し出し、自分には二人分の愛があると伝える。恋人を理想化するというより、落ち込んでいる相手を暗い場所から引き上げようとする歌である。

そこで登場するのが「Ten Storey Love Song」という大げさな比喩だ。語り手は相手のために10階建てのラブソングを「建てた」と表現する。歌を書くことと建物を作ることが重ねられ、愛情が目に見える巨大な構造物へ変換されている。さらに「higher」という上昇のイメージが加わることで、傷ついた相手を精神的にも高い場所へ連れていきたいという願いが伝わる。

ただし、この曲は「愛さえあれば何でも解決できる」とは歌っていない。途中では確実な解決法も近道もなく、二人を隔てる壁も簡単には突破できないことが認められる。それでも暗い夜はいずれ終わり、光を見る時が来ると語り手は信じる。障害を否定したうえで希望を語るのではなく、障害が存在することを認めながら相手のそばにいようとする点が、この曲の素朴なロマンティシズムを支えている。

制作背景・時代背景

The Stone Rosesのデビュー・アルバム『The Stone Roses』は1989年に発表され、マンチェスター周辺から広がったインディーロックとダンス・カルチャーの交差を代表する作品となった。しかしその後、レーベルSilvertoneとの法的紛争などによって新作の発表が長期間途絶える。最終的に『Second Coming』が発売されたのは1994年12月で、デビュー作から5年以上が経過していた。

その間に英国の音楽状況も大きく変化した。The Stone Rosesに影響を受けた世代からBritpopが台頭し、Oasisがデビュー・アルバム『Definitely Maybe』を発表したのも1994年である。その一方、『Second Coming』のThe Stone Rosesは、初期のジャングリーなギターポップをそのまま再現しなかった。John Squireのギターを中心に、Led Zeppelinや1970年代のブルース・ロック、ファンクなどを強く感じさせる重い演奏へ進んでいる。

アルバム制作自体も長期化した。当初はファースト・アルバムでも仕事をしたJohn Leckieと録音していたが、制作途中でLeckieが離れ、Paul Schroeder、さらにSimon Dawsonへと中心人物が移っていった。「Ten Storey Love Song」にはLeckie時代に録音された素材が残されており、Dawsonによれば初期のドラム・トラックを生かしながら、その周囲に新たな録音を組み立てたという。イントロとアウトロには古いMoogアナログ・シンセサイザーによる音も使われている。

歌詞の抜粋と和訳

“Ten-storey love song / I built this thing for you”

和訳:10階建てのラブソング/僕はこれを君のために建てた

この曲の発想を最も直接的に示す部分である。普通ならラブソングは「書く」ものだが、ここでは「build=建てる」という動詞が使われる。感情を言葉で伝えるだけでなく、相手が中へ入り、上へ登っていけるほど大きなものとして愛情を想像している。

歌詞には「暗闇」と「光」、「壁」とその向こう側、「低い場所」と「高い場所」という対照的なイメージが繰り返される。だから10階建てという高さは単なる奇抜なタイトルではない。落ち込んだ人物を現在いる場所から引き上げるという、歌詞全体の上昇方向を具体的な建物へ置き換えた比喩なのである。

サウンドと歌詞の考察

「Ten Storey Love Song」は『Second Coming』の中でも、John Squireのギターが「重さ」より「広がり」を作る曲である。アルバム冒頭の「Breaking Into Heaven」や「Driving South」では、ブルース由来の太いリフと長いギター演奏が前面に出る。それに対してこの曲では、ギターの音色は厚いものの、中心にあるのは非常に分かりやすいコードとメロディだ。歪みを使って攻撃的になるのではなく、Ian Brownの声の周囲へ何層もの光を置くような役割を担っている。

特にイントロには独特の浮遊感がある。Simon Dawsonの証言によれば、このイントロとアウトロはJohn Leckieがすでに録音していた素材の周囲に作られ、古いMoogシンセサイザーの音も加えられた。ロックバンドが一斉に演奏を始めるのではなく、少し人工的で夢のような音響から曲が現れるため、「10階建て」という現実離れしたタイトルに似合うスケールが最初から作られている。

そこからReniのドラムとManiのベースが入ると、曲はかなり安定したミドルテンポのグルーヴへ移る。『Second Coming』ではこの二人のリズム隊がファンクやブルースへ接近する場面も多いが、「Ten Storey Love Song」では過度に複雑な動きを見せず、Ian Brownのメロディを前へ運ぶ。Reniは強く叩き続けるのではなく、細かなアクセントやフィルによって演奏に弾力を与える。重いギターが乗っても曲が鈍くならないのは、このリズムの軽さが大きい。

Ian Brownのボーカルも重要である。歌詞だけを読めば、相手を救い出すというかなり大げさな愛情表現が並んでいる。しかしBrownはドラマティックに歌い上げず、いつもの少し平坦で柔らかな声を保つ。そのため「二人分の愛がある」「君のためにこれを建てた」という言葉も、ヒーローが相手を救うような芝居がかった宣言にはならない。むしろ不器用な人物が、自分にできる最大限のことを相手へ差し出しているように聞こえる。

サビでは、その抑えた声とSquireの大きなギターの対比が効果を発揮する。タイトルが出てくるとメロディは開放的になり、音の空間も横だけでなく上へ広がったように感じられる。歌詞では「高く連れていく」ことが繰り返されるため、このサビの上昇感には明確な意味がある。10階建ての建物を言葉だけで想像させるのではなく、サビに入った瞬間の音の広がりによって、聴き手自身を一段高い場所へ持ち上げるような構成になっている。

一方、ヴァースでは暗闇、答えのない疑問、二人を隔てる壁といった障害が語られる。ここで曲が完全に暗い響きへ変化しないことも重要だ。演奏には最初から暖かさがあり、語り手は相手が現在苦しんでいることを認めながらも、結末については希望を失っていない。悲しいヴァースから明るいサビへ単純に転換するのではなく、曲全体に希望が薄く流れ続け、その感覚がサビで大きくなる。

この点で「Ten Storey Love Song」は、『Second Coming』の中ではファースト・アルバム時代のThe Stone Rosesに比較的近い曲でもある。Squireのギターは以前より明らかに太く、録音も大規模だが、中心にあるのはBrownが力まずに歌える単純で美しいメロディである。初期のきらめくギターポップを再現するのではなく、そのメロディ感覚を1994年の重いバンドサウンドへ移した形だ。

そして「建てる」という歌詞の比喩は、アレンジそのものにも当てはめられる。リズム隊を土台にし、その上へギター、ボーカル、バックボーカル、シンセサイザーの音を積み上げていくことで、一曲の中に文字通り「建築物」のような高さと厚みを作る。複雑なコードや奇抜な構成で驚かせる曲ではないが、単純なラブソングを大きな音響の建物へ変えることによって、タイトルの大げさなロマンティシズムを説得力のある音にしているのである。

この曲が好きな人におすすめの曲 5曲

「She Bangs the Drums」 by The Stone Roses

ファースト・アルバムを代表するラブソングの一つ。「Ten Storey Love Song」よりギターは軽く、リズムも弾むように進むが、Ian Brownの力まない歌唱によって大きな恋愛感情を自然に聞かせる点は共通している。

「Your Star Will Shine」 by The Stone Roses

同じ『Second Coming』収録曲。アコースティックな質感と穏やかなメロディを持ち、アルバムのブルース・ロック的な重量感から離れた一曲である。Squireの作曲に残る繊細なポップ感覚をより静かな形で聴ける。

「Waterfall」 by The Stone Roses

デビュー作の代表曲。「Ten Storey Love Song」の大きなギターとは異なり、繊細に絡み合う演奏が中心だが、ManiとReniの流れるようなリズムの上でSquireのギターが空間を作るというバンドの基本的な魅力がよく分かる。

「Slide Away」 by Oasis

同じ1994年に発表された、巨大なギターと率直な恋愛感情を組み合わせた楽曲。音楽的な細部は異なるが、親密なラブソングを大音量のロックへ拡大し、サビに強い上昇感を作る点で「Ten Storey Love Song」と響き合う。

「The Rain Song」 by Led Zeppelin

『Second Coming』期のJohn Squireが接近した1970年代ロックの側からつながる一曲。ハードなリフではなく、広がりのあるギターと段階的に厚くなるアレンジによって愛情を大きな風景へ変える点が共通している。

まとめ

「Ten Storey Love Song」は、『Second Coming』の重量感とThe Stone Roses本来のポップなメロディが最も自然に出会った曲の一つである。傷つき、暗闇にいる相手へ手を差し出すという単純なラブソングを、「10階建ての歌を君のために建てる」というJohn Squireらしい巨大な比喩へ変え、実際のアレンジもその言葉に応えるように積み上げられている。ReniとManiの軽やかな土台、Ian Brownの抑えた声、Squireの厚く広がるギター、イントロとアウトロの幻想的な音響によって、曲そのものが一つの建築物のように聞こえる。デビュー作をそのまま再現せず、そのメロディ感覚を1990年代半ばの大きなロックサウンドへ持ち込んだ点に、この曲の魅力がある。

参照元

  • The Stone Roses『Second Coming』
  • Sound On Sound「Simon Dawson: Recording The Stone Roses’ Second Coming」
  • MusicBrainz『Second Coming』
  • Qobuz『Second Coming』
  • Apple Music「Ten Storey Love Song」

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