発売日: 2018年4月6日
ジャンル: サイケデリックロック / ファンク / インディーロック
「Sex & Food」は、Unknown Mortal Orchestra(以下UMO)の4作目のアルバムであり、これまでの音楽性をさらに広げつつ、深みのあるテーマに踏み込んだ一作だ。このアルバムでは、愛や快楽、欲望といった感情的で人間的なテーマが追求され、サウンド面ではサイケデリックロック、ファンク、ソウルの多彩なジャンルが巧みに融合している。
前作「Multi-Love」がポップで洗練された方向性を示したのに対し、「Sex & Food」では、より荒削りでダークな雰囲気が際立ち、ライブ感のあるエネルギッシュなトラックが多い。ルーベン・ニールソンはこの作品を世界各地で録音し、多様な文化的背景がサウンドに反映されている点も特徴だ。
- 各トラック解説
- 1. A God Called Hubris
- 2. Major League Chemicals
- 3. Ministry of Alienation
- 4. Hunnybee
- 5. Chronos Feasts on His Children
- 6. American Guilt
- 7. The Internet of Love (That Way)
- 8. Everyone Acts Crazy Nowadays
- 9. This Doomsday
- 10. How Many Zeros
- 11. Not in Love We’re Just High
- 12. If You’re Going to Break Yourself
- アルバム総評
- このアルバムが好きな人におすすめの5枚
各トラック解説
1. A God Called Hubris
アルバムの幕開けを飾る短いインストゥルメンタルトラック。エキゾチックなサウンドとミニマルなアレンジが、アルバム全体のトーンを暗示する。
2. Major League Chemicals
ハードなギターリフと躍動感のあるビートが特徴のロックナンバー。ダークでエネルギッシュなトーンが、UMOの新たな一面を強調している。
3. Ministry of Alienation
切ないメロディとルーベンの感情的なボーカルが光るミッドテンポのトラック。現代社会に対する疎外感を歌った歌詞が印象的。
4. Hunnybee
アルバムの中でも特に美しいトラックで、甘くポップなメロディと柔らかなギターサウンドが特徴。ルーベンが家族への思いを込めた、心温まる楽曲。
5. Chronos Feasts on His Children
ダークで実験的なサウンドスケープを持つトラック。タイトルはギリシャ神話を引用しており、時間と破壊のテーマが暗示されている。
6. American Guilt
アルバムのリードシングルで、重厚なギターリフと攻撃的なボーカルが印象的な楽曲。政治や環境問題への皮肉が込められている。
7. The Internet of Love (That Way)
浮遊感のあるシンセとアンビエントなアレンジが際立つ楽曲。現代のデジタル文化と愛の関係性を探る詩的な歌詞が特徴。
8. Everyone Acts Crazy Nowadays
ディスコやファンクの影響を強く感じさせるダンサブルなトラック。軽快なリズムとキャッチーなメロディが心地よい。
9. This Doomsday
アンビエント風のインストゥルメンタルで、重厚な雰囲気が漂う一曲。アルバム全体の中で一息つける静かな瞬間を提供する。
10. How Many Zeros
リズムセクションが際立つ実験的なトラック。社会問題を暗示する挑発的な歌詞とサイケデリックなサウンドが融合している。
11. Not in Love We’re Just High
夢見心地のメロディと浮遊感のあるボーカルが印象的なバラード。愛と快楽の境界を探る詩的な内容が心に残る。
12. If You’re Going to Break Yourself
アルバムを締めくくる感傷的な楽曲。穏やかなギターと感情的なボーカルが、静かな余韻を残しつつアルバムを閉じる。
アルバム総評
「Sex & Food」は、UMOがこれまでのサイケデリックなアプローチをさらに深化させつつ、荒削りでエネルギッシュなロックサウンドと、感情的なバラードを巧みに織り交ぜた作品だ。特に「Hunnybee」や「American Guilt」のような楽曲は、UMOの多面的な音楽性を象徴する名曲であり、彼らの創造力が限りなく広がっていることを証明している。
アルバム全体としては、愛や疎外感、社会への疑問といったテーマが練り込まれており、聴き手を深く考えさせる内容となっている。一方で、ポップで親しみやすいトラックも多く、幅広いリスナー層に訴求するアルバムとなっている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Currents by Tame Impala
ダンサブルで感情的なサウンドが、「Sex & Food」と共通する。
Awaken, My Love! by Childish Gambino
ファンクやソウルの現代的な解釈が、「Hunnybee」のファンに響く。
Merriweather Post Pavilion by Animal Collective
実験的なサウンドとポップなメロディが、「Sex & Food」の世界観に近い。
A Moon Shaped Pool by Radiohead
深い感情と社会的テーマを探求するアートロックアルバム。
Random Access Memories by Daft Punk
ファンクとエレクトロニカが融合した作品で、「Everyone Acts Crazy Nowadays」のような楽曲が好きな人におすすめ。
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