発売日: 2009年5月26日
ジャンル: インディーフォーク、シンガーソングライター
Sharon Van Ettenのデビューアルバム『Because I Was in Love』は、親密で内省的な作品であり、彼女の初期のシンプルでフォーク色の強いスタイルが際立っている。アルバム全体を通じて、恋愛や喪失、自己発見といったテーマが詩的かつ感情的に描かれており、静かなギターとシャロンの透き通るようなボーカルがリスナーを引き込む。
本作は、洗練されたプロダクションよりも、彼女の感情表現とストーリーテリングに焦点を当てており、後の作品で見られるような豊かなアレンジとは対照的に、シンプルで親密な空間を作り出している。音楽そのものが彼女の心の声をそのまま反映しているかのような、素朴で真実味のあるアルバムだ。
トラック解説
1. I Wish I Knew
アルバムの幕開けを飾る、静かなギターアルペジオとシャロンの優しいボーカルが特徴的な楽曲。恋愛における自己疑念と不確実性を描いた歌詞が心に響く。
2. Consolation Prize
切なくも希望を感じさせる楽曲。ギターのシンプルなリフと柔らかなボーカルが、聴き手を深い感情の世界へと誘う。
3. For You
淡々としたトーンの中に深い情感が込められた一曲。親密な関係における葛藤と希望を描いた歌詞が印象的。
4. I Fold
スローでメランコリックな楽曲。ギターのシンプルなコード進行が、シャロンのボーカルを際立たせている。
5. Have You Seen
夢のような浮遊感を持つ楽曲で、愛と孤独感の間に揺れる感情が表現されている。リリカルな歌詞が楽曲に深みを与えている。
6. Tornado
繊細なギターリフと低音の響きが印象的な楽曲。タイトル通り、感情の嵐を描写したような力強さがある。
7. Much More Than That
穏やかなメロディと親密な歌詞が、シャロンのボーカルの美しさを際立たせる。優しさと切なさが同居する一曲。
8. Same Dream
反復的なギターのフレーズと柔らかいボーカルが心地よいトラック。夢と現実の境界を漂うような雰囲気を持つ。
9. Keep
力強さと儚さが同居した楽曲。関係性の中での希望と恐れが歌詞に込められている。
10. It’s Not Like
アルバムのクライマックスを感じさせる楽曲。ギターとボーカルが絶妙に調和し、聴き手に深い印象を残す。
11. Holding Out
静かなトーンでアルバムを締めくくるバラード。愛の喪失と再生をテーマにした歌詞が感動を呼ぶ。
アルバム総評
『Because I Was in Love』は、Sharon Van Ettenの音楽キャリアの原点を示すアルバムであり、彼女の繊細で感情的なソングライティングと歌声を純粋な形で楽しむことができる。洗練されたプロダクションではなく、シンプルなアレンジで感情を伝えるこのアルバムは、リスナーをシャロンの個人的な物語へと深く引き込む。愛と喪失の間に揺れる感情が、静かに、しかし強烈に心に響く一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Tramp by Sharon Van Etten
彼女の3作目で、よりダイナミックで複雑なアレンジが楽しめる。『Because I Was in Love』の進化形といえる作品。
Stranger in the Alps by Phoebe Bridgers
感情的で詩的な歌詞とシンプルなフォークサウンドが共通するアルバム。親密さと深さが響き合う。
For Emma, Forever Ago by Bon Iver
内省的で感情的なテーマを持つフォークアルバム。シンプルなアレンジと深い感情が共鳴する。
Carrie & Lowell by Sufjan Stevens
親密なテーマと美しいアレンジが特徴のアルバム。喪失と再生を描いた内容が通じるものがある。
Seven Swans by Sufjan Stevens
フォークとシンプルなアレンジが際立つアルバム。個人的なテーマが丁寧に描かれており、共感を呼ぶ作品。
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