アルバムレビュー:From the Corner to the Block by Galactic

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2007年8月21日

ジャンル:ニューオーリンズ・ファンク、ヒップホップ、ジャズ・ファンク、ブラス・ファンク、セカンドライン、ミクスチャー、ジャム・バンド

概要

Galacticの『From the Corner to the Block』は、ニューオーリンズ・ファンクを基盤にしながら、ヒップホップ、ブラスバンド、セカンドライン、ジャム・バンド的即興、ストリート感覚を大胆に結びつけた2007年の重要作である。Galacticは1990年代以降、The Meters、Dr. John、Professor Longhair、Allen Toussaint、Neville Brothersといったニューオーリンズ音楽の伝統を受け継ぎつつ、現代的なジャズ・ファンク・バンドとして発展してきた。デビュー作『Coolin’ Off』では、Jelly Josephのヴォーカルを交えながら、ニューオーリンズ・ファンクの粘りとジャム・バンド的な演奏力を提示したが、本作ではその方向性をさらに都市的でヒップホップ寄りの形へ拡張している。

アルバム・タイトルの『From the Corner to the Block』は、「街角からブロックへ」という意味を持つ。ここで重要なのは、音楽がスタジオやステージだけに閉じたものではなく、街区、通り、クラブ、パレード、近隣共同体、ローカルな生活圏から生まれるものとして捉えられている点である。ニューオーリンズは、アメリカ音楽史において特別な都市である。ジャズ、R&B、ファンク、ブラスバンド、カリブ海由来のリズム、マルディグラ・インディアンのチャント、葬列と祝祭が交差するセカンドライン文化が、街そのものの身体性を作っている。Galacticは本作で、その街のグルーヴをヒップホップの言語と接続する。

本作の最大の特徴は、多数のMCやヴォーカリストを迎えていることである。Lyrics Born、Mr. Lif、Gift of Gab、Chali 2na、Boots Riley、Juvenile、Ladybug Mecca、Lateef the Truthspeakerなど、アンダーグラウンド・ヒップホップから南部ラップまでを横断するゲストが参加し、Galacticのファンク・グルーヴの上でそれぞれの言葉とフロウを展開する。これにより、アルバムは単なるファンク・バンドの作品ではなく、ニューオーリンズを軸にしたヒップホップ・サウンドシステムのような性格を帯びている。

Galacticの演奏は、ラップの伴奏に徹しているわけではない。むしろ、バンドのリズム隊、ギター、キーボード、ホーンが作る濃密なグルーヴが、各MCの言葉を押し出し、時に絡み、時に余白を作る。ヒップホップでは一般的にサンプリングやビート・メイクが重要な役割を果たすが、本作では生演奏によるファンク・ビートがその役割を担っている。つまり、Galacticはヒップホップのビートを「演奏する」バンドとして機能しているのである。

2007年という時期も重要である。ヒップホップはすでにメインストリーム化し、南部ラップも大きな影響力を持っていた。一方で、The Rootsのような生演奏ヒップホップ、Jurassic 5周辺のオールドスクール回帰、アンダーグラウンド・ヒップホップのリリカルな方向性、そしてジャム・バンド・シーンとの交差も活発だった。Galacticは本作で、それらの流れをニューオーリンズ・ファンクの地盤へ引き込み、独自のミクスチャーを作り上げた。

また、本作はハリケーン・カトリーナ後のニューオーリンズという文脈からも切り離せない。カトリーナは2005年にニューオーリンズへ甚大な被害を与え、街の文化、コミュニティ、音楽シーンにも大きな傷を残した。『From the Corner to the Block』は直接的な追悼アルバムではないが、街のブロック、通り、コミュニティ、ローカルな声を再び音楽の中心へ置く姿勢には、復興期のニューオーリンズのエネルギーが反映されている。音楽はここで、単なる娯楽ではなく、街の記憶と身体を取り戻すための力として機能している。

日本のリスナーにとって本作は、Galacticの中でも特にヒップホップ色の強い作品として聴きやすい一方、ニューオーリンズ・ファンクの奥深さを理解する入口にもなる。ラップのリズム、ブラスの勢い、ファンクの粘り、ジャズ的な演奏力、セカンドラインの跳ねが一体となっており、ブラック・ミュージックの複数の系譜がひとつの都市的サウンドとしてまとめられている。

全曲レビュー

1. What You Need feat. Lyrics Born

オープニングを飾る「What You Need」は、Lyrics Bornを迎えた楽曲であり、本作の方向性を明確に示している。Galacticのタイトなファンク・グルーヴの上に、Lyrics Bornの独特な低く弾むフロウが乗ることで、生演奏ヒップホップとしての強度が生まれている。

Lyrics Bornは、Quannum Projects周辺のアーティストとして知られ、滑らかでリズミカルな語り口を持つMCである。この曲では、彼のフロウがGalacticのリズムにぴったりと絡み、ラップが単に言葉を乗せるものではなく、ファンク・アンサンブルの一部として機能している。声の抑揚、言葉の切り方、リズムへの入り方が、ドラムやベースと同じようにグルーヴを形成する。

演奏面では、ベースとドラムの粘りが中心である。Galacticのファンクは、派手な音数よりも、低音の沈み込みとリズムの跳ねによって成立する。ここでも、ドラムは硬くタイトでありながら、ニューオーリンズらしい揺れを失わない。ギターとキーボードは短いフレーズで空間を彩り、ホーンは曲に都市的な勢いを加える。

タイトルの「What You Need」は、街の中で必要とされる音、リズム、言葉、エネルギーを提示するように響く。アルバム冒頭にふさわしく、Galacticがこの作品で何を目指しているのかを端的に示す一曲である。

2….And I’m Out feat. Mr. Lif

「…And I’m Out」は、Mr. Lifを迎えた楽曲である。Mr. Lifは、政治的で知的なリリックと緻密なフロウで知られるMCであり、この曲ではGalacticの重心の低いグルーヴに対して、鋭い言葉を刻み込む。

曲調は、前曲よりもやや硬質で、緊張感が強い。Galacticの演奏は、ラップの背景に徹しながらも、低音とリズムで強い圧力を作っている。Mr. Lifの声は、その上で都市の不安や切迫感を伝えるように響く。ファンクの快楽性と、ヒップホップの批評性が交差する楽曲である。

タイトルの「I’m Out」には、立ち去る、抜け出す、拒否するというニュアンスがある。これは、社会のシステム、消費文化、抑圧的な状況から距離を取る姿勢として読むこともできる。Mr. Lifの参加によって、曲は単なるパーティー・トラックではなく、批評的な都市音楽としての性格を持つ。

Galacticの演奏は、言葉を邪魔しない。しかし、決して薄くはない。むしろ、ビートの密度が高いため、ラップの言葉がより強く押し出される。生演奏でありながら、ループのような反復性を持つ点が、この曲の魅力である。

3. The Corner feat. Gift of Gab

「The Corner」は、BlackaliciousのGift of Gabを迎えた楽曲であり、タイトル通り街角を舞台にしたアルバムの中心的テーマを担っている。Gift of Gabは高速かつ明瞭なラップで知られ、言葉の運動量が非常に高いMCである。そのフロウがGalacticのファンクと結びつくことで、楽曲は高い推進力を獲得している。

街角は、ヒップホップにおいて重要な場所である。そこは情報が交わされ、人が集まり、商売が行われ、音楽が鳴り、同時に貧困や暴力、連帯や生活が交差する場所でもある。「The Corner」は、そうした都市の交差点としての街角を、音楽的に描いている。

演奏は、非常にタイトである。ドラムとベースが前へ進む力を作り、ホーンやギターがアクセントを加える。Galacticはここで、ラップに合わせて過度に音を詰め込むのではなく、Gift of Gabの言葉が動く空間を確保している。その余白があるからこそ、MCの技巧が際立つ。

この曲は、本作のタイトル『From the Corner to the Block』の「Corner」を象徴するトラックといえる。街角の視点から、ブロック全体、都市全体へ広がっていくアルバムのテーマが、ここで明確に提示される。

4. Second and Dryades feat. Big Chief Monk Boudreaux

「Second and Dryades」は、ニューオーリンズの地名をタイトルに持つ楽曲であり、Big Chief Monk Boudreauxを迎えることで、アルバムのニューオーリンズ性が強く前面に出る。Monk Boudreauxは、マルディグラ・インディアン文化と深く結びつく存在であり、彼の参加は本作に歴史的な厚みを与えている。

マルディグラ・インディアンのチャントやリズムは、ニューオーリンズ音楽の根幹にある。ジャズやファンク、セカンドラインの背後には、アフリカ系、カリブ系、先住民文化への敬意や象徴性が絡み合っている。この曲では、そうした伝統がGalacticの現代的ファンクと結びつく。

タイトルに含まれるSecond and Dryadesは、具体的な街角を指す。抽象的な都市ではなく、実際の通り、実際のコミュニティ、実際の歴史が音楽の中に入ってくる。これにより、本作の「ブロック」というテーマは、単なる比喩ではなく、ニューオーリンズの地理に根ざしたものとなる。

演奏は、ファンクでありながら儀式的な響きを持つ。Monk Boudreauxの声は、ラップとは異なる形でリズムを導く。そこには、街の記憶、祭り、共同体、霊的な感覚がある。この曲は、本作の中でも特にニューオーリンズの深層に触れる重要曲である。

5. Think Back feat. Chali 2na

「Think Back」は、Jurassic 5のChali 2naを迎えた楽曲である。Chali 2naの低く太い声は非常に特徴的で、Galacticのグルーヴに対して圧倒的な安定感を与える。タイトルの通り、曲には回想、記憶、過去を振り返る感覚がある。

Chali 2naのラップは、声そのものが楽器のように機能する。彼の低音域のフロウは、ベースラインと親和性が高く、Galacticの演奏の中で自然に溶け込む。言葉は明確でありながら、リズムの深い部分に沈み込んでいく。

「Think Back」というテーマは、アルバム全体にも通じる。ニューオーリンズ・ファンクは過去の伝統を背負っているが、それを単に懐古するだけではない。過去を振り返りながら、現在のブロック、現在のストリートへ接続する。この曲は、その歴史意識をヒップホップ的な語りとして表現している。

演奏面では、抑制されたファンクが印象的である。過度に派手な展開ではなく、低音とビートの重さで曲を支える。Chali 2naの声の存在感を最大限に活かすため、Galacticは必要な音だけを配置している。この判断が楽曲の説得力を高めている。

6. Bounce Baby feat. DJ Z-Trip

「Bounce Baby」は、DJ Z-Tripを迎えた楽曲であり、本作の中でもクラブ感覚やターンテーブリズムに近い要素が強い。タイトルの「Bounce」は、ニューオーリンズのバウンス・ミュージックを連想させる言葉でもあり、身体を上下に跳ねさせるリズムの快楽が中心にある。

DJ Z-Tripの参加によって、Galacticの生演奏ファンクはDJ文化と接続される。スクラッチやサンプル的な感覚が加わることで、曲はバンド演奏でありながら、ヒップホップのブロック・パーティー的な空気を持つ。楽器の演奏とDJの操作が並列に置かれる点が重要である。

リズムは非常に身体的で、タイトル通り跳ねる感覚が強い。ニューオーリンズ音楽における「跳ね」は、単なるテンポの速さではなく、拍の後ろに重心を置きながら、細かく揺れることによって生まれる。この曲では、その感覚がヒップホップのビート感と結びついている。

「Bounce Baby」は、アルバムの中でよりパーティー寄りの役割を担う。しかし、軽いだけではない。ニューオーリンズのローカルなリズム文化と、DJ主導のヒップホップ文化が交差することで、本作の都市的な混合性が強く表れている。

7. Hustle Up feat. Boots Riley

「Hustle Up」は、The CoupのBoots Rileyを迎えた楽曲であり、本作の中でも政治的・社会的な色合いが強い。Boots Rileyは、鋭い社会批評とユーモアを併せ持つMCであり、この曲でも労働、生活、サバイバル、資本主義社会の中での闘いを想起させる語りが展開される。

タイトルの「Hustle Up」は、急げ、稼げ、動け、生き残れという都市生活の圧力を含んでいる。ヒップホップにおける「hustle」は、単なる犯罪的な意味だけでなく、社会の中で自分の場所を確保するための生存術を示す言葉でもある。この曲では、その切迫感がGalacticのファンクによって駆動される。

演奏は硬く、鋭い。ドラムとベースは緊張感を保ち、ギターやキーボードは短いフレーズで曲の骨格を強化する。Boots Rileyのラップはリズムに対して非常に明瞭で、言葉がビートをさらに前へ押す。ここではファンクのグルーヴが、単なるダンスのためではなく、社会的なメッセージを運ぶエンジンとして機能している。

「Hustle Up」は、本作が楽しいミクスチャー・アルバムに留まらないことを示す曲である。ニューオーリンズの街角には祝祭があるが、同時に貧困、労働、再開発、格差もある。Boots Rileyの参加によって、その現実が強く意識される。

8. Sidewalk Stepper

「Sidewalk Stepper」は、インストゥルメンタル色の強い楽曲であり、Galactic本来のバンド・グルーヴが前面に出る。タイトルは「歩道を歩く者」「ストリートを踏みしめる者」といった意味を持ち、アルバムの都市的なテーマを言葉なしで表現している。

この曲では、ラップの言葉ではなく、演奏そのものが街のリズムを描く。ドラムはセカンドライン的な跳ねを含み、ベースは低く粘る。ギターとキーボードは、歩道の上を進む足取りのように短いフレーズを重ねる。ホーンが入る場面では、ストリート・パレードの空気も感じられる。

「Sidewalk Stepper」は、GalacticがゲストMCに頼らずとも強力なファンク・バンドであることを示す重要曲である。本作では多くのラッパーが参加しているが、その土台には常にGalacticの演奏がある。この曲によって、聴き手はその土台の強さを改めて確認できる。

街角からブロックへ、ブロックから歩道へ。アルバムの地理的な感覚が、このインストゥルメンタルによって具体化される。言葉がなくても、音楽は都市の動き、足取り、人々の流れを描くことができる。

9. From the Corner to the Block feat. Juvenile and Soul Rebels Brass Band

タイトル曲「From the Corner to the Block」は、JuvenileとSoul Rebels Brass Bandを迎えた、本作のコンセプトを最も直接的に示す楽曲である。Juvenileはニューオーリンズのヒップホップ、特にバウンスや南部ラップの文脈で重要な存在であり、Soul Rebels Brass Bandは現代ニューオーリンズ・ブラスの代表的なグループである。この組み合わせは、アルバムの思想そのものを体現している。

Galacticのファンク・バンド・サウンドに、Juvenileのラップ、そしてSoul Rebelsのブラスが加わることで、曲はローカルな力を強く帯びる。ここにはニューオーリンズの複数の音楽的血脈が同時に存在する。ファンク、ヒップホップ、ブラスバンド、セカンドライン、ストリートの声。それらが一曲の中でぶつかり合いながら、一体化している。

Juvenileの声は、アルバムの他のアンダーグラウンド系MCとは異なる南部ラップの質感を持っている。よりローカルで、よりストリートに近く、ニューオーリンズのヒップホップ文化を直接的に感じさせる。そこにSoul Rebelsのブラスが加わることで、曲は単なるラップ・トラックではなく、街のパレードのような集団性を持つ。

この曲は、本作の中心的な声明である。街角の個人の声が、ブロックの共同体へ広がり、ブラスとビートによって祝祭化される。Galacticが目指したニューオーリンズ・ファンクとヒップホップの融合が、ここで最も明確に結実している。

10. Squarebiz feat. Ladybug Mecca

「Squarebiz」は、Digable PlanetsのLadybug Meccaを迎えた楽曲である。Ladybug Meccaの声は柔らかく、クールで、ジャズ・ラップ的な質感を持っている。そのため、本作の中でもこの曲は比較的滑らかで、洗練された雰囲気を持つ。

Galacticの演奏も、ここでは少しジャズ・ファンク寄りに聴こえる。硬いストリート・ファンクというより、夜のクラブに近い温度感がある。ベースとドラムはしっかりとグルーヴを作りながら、全体の音像は軽やかで、Ladybug Meccaのフロウを包み込むように機能する。

タイトルの「Squarebiz」は、正直な取引、まっすぐなやり方、あるいはオールドスクールな言い回しを連想させる。Ladybug Meccaの落ち着いた声によって、曲は押しつけがましい主張ではなく、しなやかな自己表現として響く。

この曲は、本作の中で重要なバランスを取っている。男性MCによる力強いトラックが多い中で、Ladybug Meccaの参加はアルバムに別の質感を与える。Galacticのファンクが多様な声を受け止められる柔軟な器であることを示す一曲である。

11. Tuff Love feat. Trombone Shorty

「Tuff Love」は、Trombone Shortyを迎えた楽曲であり、ニューオーリンズ・ブラスとファンクの結びつきが強く表れる。Trombone Shortyは、トロンボーン、トランペット、ヴォーカルをこなし、現代ニューオーリンズ音楽の重要人物として知られる。彼の参加によって、曲には若々しいブラスの力とストリート感覚が加わる。

タイトルの「Tuff Love」は、厳しい愛、タフな愛情を意味する。ニューオーリンズ音楽において、愛や祝祭は必ずしも甘いものではない。そこには苦難、生活の厳しさ、コミュニティを支える強さがある。この曲のブラスの響きは、そのタフさと温かさを同時に伝える。

演奏はエネルギッシュで、ホーンが前面に出ることで、曲は非常に立体的になる。Galacticのリズム隊は、Trombone Shortyのブラスを支えながら、ファンクの低重心を保つ。ブラスの華やかさとベースの粘りが結びつくことで、ニューオーリンズらしい身体性が生まれている。

この曲は、本作がヒップホップ・コラボレーションに偏りすぎず、ニューオーリンズのブラス文化も重要な柱としていることを示している。街角のラップとブロックのブラス。その両方がGalacticの音楽に組み込まれている。

12. No Way feat. Lateef the Truthspeaker

「No Way」は、Lateef the Truthspeakerを迎えた楽曲であり、本作の終盤に鋭いリズムと言葉の力を加える。LateefはLyrics Bornと同じQuannum周辺のMCであり、言葉の明瞭さ、リズム感、社会的な視点を持つアーティストである。

タイトルの「No Way」は、拒否、否定、不可能性、抵抗を示す強い言葉である。楽曲にも、その断固とした姿勢がある。Galacticの演奏はタイトで、ラップの言葉をしっかりと支えながら、曲全体に緊張感を与える。

Lateefのフロウは、派手に畳みかけるというより、明確な言葉の置き方によって説得力を生む。リズムに対する反応が鋭く、Galacticのファンク・ビートと非常に相性がよい。ここでは、バンドとMCが互いに競うのではなく、同じ方向へ向かって圧力を作っている。

「No Way」は、アルバムの終盤で再びヒップホップの批評性を強める楽曲である。ブロックの音楽は祝祭であると同時に、拒否の声でもある。この曲は、その二面性を強く示している。

13. Fanfare

終曲「Fanfare」は、アルバムを締めくくるインストゥルメンタル的な楽曲であり、タイトル通り祝祭的な幕引きの役割を持つ。ファンファーレは通常、式典や開始、勝利を告げる音楽であるが、ここではニューオーリンズ的なブラスとファンクの文脈で再解釈されている。

アルバム全体で多くのMC、ヴォーカリスト、ブラス奏者が登場した後、最後にGalacticは言葉ではなく音で作品をまとめる。ホーンやリズムが作る祝祭感は、単なる華やかさではなく、街のパレードが遠ざかっていくような余韻を持つ。

「Fanfare」は、アルバムの締めくくりとして、街角からブロックへ広がった音楽が、再び集合的なサウンドへ戻る瞬間である。ここには、個々のラップや声を超えた共同体的なエネルギーがある。ニューオーリンズ音楽において、個人の表現と集団の祝祭は切り離せない。この終曲は、その感覚をよく示している。

総評

『From the Corner to the Block』は、Galacticのキャリアの中でも特にヒップホップとの接点を強く打ち出した作品であり、ニューオーリンズ・ファンクを現代都市音楽として再定義したアルバムである。初期のGalacticがThe Meters以降のファンク・バンドとしての基盤を示したのに対し、本作ではそのグルーヴがラップ、DJ、ブラスバンド、ストリート文化と結びつき、より多声的な作品へ発展している。

本作の最大の魅力は、生演奏によるヒップホップ・グルーヴの強さである。多くのヒップホップ作品ではビートメイカーが作ったトラックにラップが乗るが、ここではGalacticというバンドそのものがビートマシンのように機能している。ドラムとベースの反復、ギターとキーボードの短いフレーズ、ホーンのアクセントが、ループのような安定感とライブ演奏の揺れを同時に生み出している。

ゲストの選び方も非常に重要である。Lyrics Born、Mr. Lif、Gift of Gab、Chali 2na、Boots Riley、Lateef the Truthspeakerといったアンダーグラウンド/オルタナティヴ・ヒップホップのMCたちは、Galacticのファンクを知的で批評的な方向へ引き上げている。一方で、Juvenileの参加はニューオーリンズの南部ラップのローカル性を持ち込み、Big Chief Monk BoudreauxやSoul Rebels Brass Band、Trombone Shortyは、街の伝統とブラス文化を作品の中核へ結びつけている。

その結果、本作は単なるコラボレーション集にはなっていない。各曲に異なる声があるにもかかわらず、アルバム全体を貫くのはニューオーリンズのブロック感覚である。街角、歩道、通り、ブラス、バウンス、ファンク、ラップ。これらの要素が、Galacticの演奏によって一本の太いグルーヴへまとめられている。

また、本作はハリケーン・カトリーナ後のニューオーリンズ文化を考えるうえでも示唆的である。被災と復興の文脈を直接的に説明する作品ではないが、街のブロック、ローカルな声、共同体的な音楽を前面に出す姿勢には、ニューオーリンズの音楽文化を守り、再び鳴らすという意味が含まれている。音楽が土地と切り離せないものであることを、本作は強く示している。

音楽的には、ニューオーリンズ・ファンクの粘りとヒップホップの言葉の強さが最も大きな特徴である。Galacticは、ファンクを古いスタイルとして保存するのではなく、現代のMCたちが言葉を乗せられる強靭なビートとして更新している。その意味で本作は、伝統と現代性の接続に成功したアルバムである。

一方で、純粋なインストゥルメンタル・ファンクを期待するリスナーには、ラップの比重が大きく感じられる可能性がある。『Coolin’ Off』や『Crazyhorse Mongoose』のようなバンド演奏中心のGalacticとは異なり、本作では声と言葉が前面に出る。しかし、その変化こそが本作の意義である。Galacticは自分たちのグルーヴを開かれたプラットフォームとして提示し、多様な声を受け入れることで、ファンクの共同体性を現代的に示している。

日本のリスナーにとって『From the Corner to the Block』は、ニューオーリンズ・ファンクとヒップホップの接点を理解するうえで非常に有効な作品である。The MetersやDr. Johnの伝統、The Rootsの生演奏ヒップホップ、Jurassic 5やQuannum周辺のオルタナティヴ・ヒップホップ、そしてニューオーリンズ・ブラスバンドの文化が交差する作品として聴くことができる。ファンク、ヒップホップ、ジャズ、ブラス、ジャム・バンドのどれか一つに関心があるリスナーにも、複数の入口を持つアルバムである。

総じて『From the Corner to the Block』は、Galacticがニューオーリンズ・ファンクを現代のストリート音楽として再提示した重要作である。街角の声、ブロックのリズム、ブラスの祝祭、ラップの批評性、ファンクの低音が一体となり、ニューオーリンズという都市の多層的な音楽地図を描いている。伝統を守るだけでなく、街の現在へ接続すること。その姿勢が、本作をGalacticのディスコグラフィの中でも特に野心的な作品にしている。

おすすめアルバム

1. Galactic『Coolin’ Off』(1996年)

Galacticのデビュー作であり、ニューオーリンズ・ファンク・バンドとしての基礎が最も素朴に表れた作品。『From the Corner to the Block』のようなヒップホップ色はまだ強くないが、ドラム、ベース、ギター、キーボードによるグルーヴの土台を理解するうえで重要である。

2. Galactic『Crazyhorse Mongoose』(1998年)

初期Galacticのバンド・サウンドがさらに洗練された作品。ジャズ・ファンク、ソウル、ニューオーリンズ・グルーヴのバランスがよく、『From the Corner to the Block』以前のGalacticがどのように演奏力とアンサンブルを磨いていたかを確認できる。

3. The Roots『Things Fall Apart』(1999年)

生演奏ヒップホップの代表作のひとつ。Galacticとは音楽的な土地柄が異なるが、バンド演奏によるヒップホップ・グルーヴという点で深く関連している。ラップ、ジャズ、ソウル、ライブ演奏の融合を理解するうえで重要な作品である。

4. The Meters『Rejuvenation』(1974年)

ニューオーリンズ・ファンクの基準となる名盤。Galacticのリズム感、ギターのカッティング、オルガンの使い方、低音の粘りの源流を確認できる。『From the Corner to the Block』のヒップホップ的展開も、このファンクの土台なしには成立しない。

5. Soul Rebels Brass Band『No More Parades』(2002年)

現代ニューオーリンズ・ブラスバンドのエネルギーを知るうえで重要な作品。『From the Corner to the Block』におけるブラスの役割や、セカンドライン文化とヒップホップ/ファンクの接続を理解するために関連性が高い。

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