アルバムレビュー:Love and Rockets by Love and Rockets

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1989年5月23日
ジャンル: オルタナティブ・ロック、ネオサイケ、グラムロック、ポップロック


概要

『Love and Rockets』は、同名バンドが1989年に発表した通算4作目のスタジオ・アルバムであり、“ポスト・バウハウス”としての進化を完了させ、米オルタナティブ・ロック界での地位を決定づけた商業的ブレイクスルー作である。

前作『Earth, Sun, Moon』ではフォークとスピリチュアリティに傾倒していたが、本作では一転してエレクトリックかつグラマラスなロック路線に回帰。
サイケの名残を残しつつ、よりポップで明快なサウンドを志向した、最も“聴きやすい”Love and Rocketsとなった。

中心にあるのは、全米ヒットチャートで3位を記録した「So Alive」。

このシングルの成功により、彼らはアメリカにおいてThe CureDepeche Modeに次ぐUKオルタナ・バンドの筆頭格として広く認知されることとなる。

とはいえこのアルバムは決して「So Alive」だけの一発屋的作品ではなく、グラム、サイケ、ダブ、インダストリアルまでも飲み込む器の広さと、音楽的遊び心が絶妙に同居した、彼らの多面性を凝縮した1枚である。


全曲レビュー

1. ****** (Jungle Law)**

混沌としたジャングル・ビートとサンプリング的処理が施されたオープニング。

「ジャングルの掟(Jungle Law)」というタイトルが象徴するように、人間社会の本能や暴力性への批評性をサイケロック的アプローチで描く

荒削りでアグレッシブ、アルバムのスタンスを決定づける一曲。

2. No Big Deal

ギターリフが前面に押し出された、グラムロック風味のキャッチーなロック・ナンバー

シニカルなリリックと乾いたユーモアが融合し、「大したことじゃないさ」というフレーズに人生への投げやりな肯定感がにじむ。

Daniel Ashのヴォーカルも冴え渡っている。

3. The Purest Blue

空間系エフェクトを活かしたネオサイケ風ドリームポップ

美しいギターのレイヤーとリズムセクションが重なり合い、幻想的でありながら冷たく、どこか悲哀を帯びたムードを醸し出す。

本作の中でも屈指の美旋律曲。

4. So Alive

Love and Rockets最大のヒット曲にして、80年代後半のUK産オルタナティブの金字塔的シングル

ミニマルなベースラインとスモーキーなヴォーカル、色気に満ちた女性コーラスが絡み合い、退廃と官能、熱と冷が同居する奇跡的なポップソングを形成。

どこかDavid Bowieの「Let’s Dance」やT. Rexの匂いも感じさせる、グラムの再構築。

5. Rock and Roll Babylon

グラム/ガレージ的アティチュードが前面に出たファンキーなロックンロール。

「バビロン=堕落の都」に象徴されるように、音楽業界や現代社会への風刺も込められており、リズムの強さとリフの反復が中毒性を生む。

ライブでの定番でもあるキラーチューン。

6. No Words No More

エレガントなギター・アルペジオと浮遊するヴォーカルが印象的な、内省的サイケデリアの小品

感情が枯れたようなボーカルは、むしろ喪失感や心の空洞をリアルに伝える

静かながらも深い余韻を残す1曲。

7. Body and Soul

力強いベースとドラムが印象的なロック・トラック。

タイトル通り“肉体と魂”の緊張関係が描かれており、物質性と精神性の二元性をテーマにした哲学的楽曲

ギターサウンドも鋭く、バンドの演奏力を感じさせる。

8. No New Tale to Tell (Live)

前作『Earth, Sun, Moon』収録曲のライブバージョン。

よりアグレッシブかつオーディエンスとの一体感を感じさせるダイナミズムが加わり、
スタジオ版とはまた違った“今を生きる歌”としての力強さを帯びている。

アルバムにリアルな熱を加える好アクセント。

9. Shelf Life

タイトル通り「賞味期限」や「保存期間」をテーマにした、人間の有限性や消費社会批判を内包した一曲。

反復される構成と冷ややかなシンセ処理が、デジタル化が進む社会への不穏な予感を描く。

この時代のLove and Rocketsらしい、知性とダークユーモアが光る。

10. I Feel Speed

ラストを飾るのは、アルバム中でも異質なエレクトロニカ×バラード

Daniel Ashのソロ作としても知られるこの曲は、“スピード感”ではなく“静止した感覚の中の加速”を表現したような浮遊感が特徴。

愛、官能、時間感覚といった曖昧なものを、音と沈黙の間で描き出すアンビエントな名曲。


総評

『Love and Rockets』は、バンドにとって商業的頂点を極めた作品であると同時に、サウンドの多様性と美学の探求が最も奔放に展開された自由なアルバムでもある。

グラム、サイケ、インダストリアル、ドリームポップ、オルタナ──そのどれでもあり、そのどれでもない。
Love and Rocketsというバンドが“ジャンルの境界”を超える存在だったことを、大衆に対して初めて明示的に証明した一枚といえる。

前衛的でありながら耳馴染みが良く、知的でありながら官能的でもある。

それは、ポストパンクの荒野を越えた先で、彼らがようやく“生きた音楽”を手にした瞬間の記録なのだ。


おすすめアルバム(5枚)

  1. David BowieLet’s Dance (1983)
     グラムとポップの交差点。『So Alive』との響き合い。
  2. T. RexThe Slider (1972)
     Love and Rocketsが本作で再解釈したグラムの原型。
  3. INXS – Kick (1987)
     同時代の“ダンサブルで耽美なロック”としての共振。
  4. Jane’s Addiction – Nothing’s Shocking (1988)
     西海岸的オルタナティブと神秘性の融合。L&Rと並ぶ“異端の90s前夜”。
  5. Daniel Ash – Coming Down (1990)
     ヴォーカリスト本人のソロ作。本作の延長線上にある官能とミニマリズムの追求。

コメント

タイトルとURLをコピーしました