アルバムレビュー:Long Misty Days by Robin Trower

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1976年10月
ジャンル: ブルース・ロック、ハードロック、サイケデリック・ロック


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概要

『Long Misty Days』は、Robin Trowerが1976年に発表した4作目のソロ・アルバムであり、『Bridge of Sighs』『For Earth Below』で確立された“精神的ブルースロック”の延長線上にありながら、よりポップな洗練とダイナミズムを獲得した作品である。
トロワーの代名詞とも言える、ヘンドリックス譲りの空間的ギター・トーンと泣くようなソロは健在でありつつ、よりコンパクトで耳馴染みのよい楽曲構成へと歩み寄っている。

引き続きヴォーカルはジェイムズ・デューイが担当し、レジ・アイジドルのドラミングも安定感を発揮。
本作ではとりわけリズム隊との一体感が強く、グルーヴ重視のアプローチも多く見られる。
深い霧に包まれたような情感と、70年代中盤特有の洗練されたソウル/ファンク感覚が静かに交錯するアルバムである。


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全曲レビュー

1. Same Rain Falls

叙情的なギターのアルペジオで幕を開ける静謐なオープニング・トラック。
“同じ雨が、誰にでも降る”という詩的なタイトルに象徴されるように、普遍的な哀しみと優しさを湛えた一曲。
デューイのボーカルが囁くように、感情の機微をそっと伝える。

2. Long Misty Days

アルバムのタイトル曲にして、最も印象的な楽曲のひとつ。
ミドルテンポのグルーヴに乗せて、霧の中で記憶や愛が曖昧に溶けていく様子を描く。
トロワーのギターが“視界不良の情景”を音で描写するように、淡く浮遊する。

3. Hold Me

スローで濃密なブルース・バラード。
「抱きしめてくれ」という直截的なタイトルが示す通り、感情の爆発ではなく、抑制された愛情表現が印象的。
ギターのトーンはまさに“泣いている”かのようで、情念の深さがじわじわと伝わる。

4. Caledonia

力強いビートとファンキーなギターが印象的なアッパー・ナンバー。
“カレドニア”という地名的タイトルが示す通り、どこか旅情的で土地へのノスタルジアを感じさせる。
リズムのキレとギターの切れ味が心地よい。

5. Pride

自己肯定と怒りが共存するような、感情の強さを前面に出したブルース・ロック。
「誇りを失うな」というメッセージが繰り返され、デューイのボーカルも凛とした響きを持つ。
トロワーのギターはここでも言葉以上に雄弁だ。

6. Sailing

ロッド・スチュワートで有名なギャヴィン・スザーランド作のカバー。
原曲のシンプルな美しさを壊さずに、トロワー流の叙情性とスロウなグルーヴで再構築されている。
音数を抑えたアレンジがむしろ深く沁み、アルバム中でも異色の輝きを放つ。

7. S.M.O.

サイケデリックなインストゥルメンタル色の強いジャム風楽曲。
タイトルの意味は不明瞭ながら、ギター、ベース、ドラムが緊密に絡む“音の対話”として機能している。
グルーヴの波に乗ったトロワーの即興的ソロは、ライブ的な熱を感じさせる。

8. I Can’t Live Without You

失恋と依存をテーマにした哀切なバラード。
感情を吐露するようなリリックと、引き絞るようなギターの旋律が完璧に一致。
“君がいなきゃ生きていけない”という言葉の重さを、音楽として表現している。

9. Messin’ the Blues

伝統的なブルースの形式に則った、ギター主導のインストゥルメンタル・トラック。
タイトル通り“ブルースをもてあそぶ”ように、自由度の高いアドリブが展開される。
ギターの“声”そのものを聴かせる、余計な言葉を排した締めくくり。


総評

『Long Misty Days』は、Robin Trowerが自己の音楽性をより“歌心”と“感情の深度”へと焦点化させた成熟のアルバムである。
爆発的なギター表現やテクニカルなショーケースを前面に出すのではなく、抑制、間合い、そして静かな熱を大切にした構成が、深い印象を残す。

一貫して感じられるのは、“霧に包まれた記憶”のような曖昧で静謐な質感。
それはブルースという形式の枠を越え、リスナーの内側にそっと寄り添うような音楽体験をもたらしてくれる。
Bridge of Sighs』のようなインパクトは控えめだが、聴き込むほどに豊かさを増していく“内省の名盤”である。


おすすめアルバム(5枚)

  1. Jeff Beck – Wired (1976)
     同年に発表されたギター・インストの金字塔。音響と叙情の両立が共通。
  2. Rory Gallagher – Calling Card (1976)
     内省とブルース・ロックの融合。トロワーと並ぶ孤高の表現者。
  3. J.J. Cale – Troubadour (1976)
     グルーヴと静けさを併せ持つ。ミニマルな語り口がトロワー的。
  4. Eric Clapton – No Reason to Cry (1976)
     70年代後半の抑制されたクラプトン作品。情感重視のギターが響き合う。
  5. Little FeatThe Last Record Album (1975)
     ソウル/ファンク/ブルースのミックス感覚。音の湿度と余韻が近い。

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