発売日: 2009年10月6日
ジャンル: ノイズロック、シューゲイザー、ポストパンク
Exploding Headは、ニューヨークのノイズロック・バンドA Place to Bury Strangersのセカンドアルバムであり、デビューアルバムに続く圧倒的なサウンドの拡張を示している。バンドのフロントマンであるオリヴァー・アッカーマンが自ら製作する独自のエフェクトペダル「Death By Audio」を駆使し、バンドはさらに強力で重厚なサウンドを構築している。本作では、シューゲイザーの美学に加え、よりメロディアスでポップな要素も取り入れられ、冷たくも美しいサウンドスケープが印象的だ。轟音のギターと切迫感あふれるビートが織り成すダークで激しい世界観は、ポストパンクの影響が色濃く、攻撃的なエネルギーと絶妙にメロディが溶け合った名作である。
各曲解説
- It Is Nothing
アルバムの幕開けを飾る攻撃的な一曲で、ギターの轟音と激しいビートがすぐにリスナーを引き込む。アッカーマンの冷静なボーカルが、ノイズに飲まれそうな緊張感を高めている。 - In Your Heart
メロディアスなギターリフが特徴の一曲で、シューゲイザーとポストパンクの融合が感じられる。歌詞には愛と疎外感が描かれており、暗くもキャッチーなサウンドが心に残る。 - Lost Feeling
ゆったりとしたテンポで進行し、エコーがかかったボーカルと幻想的なギターサウンドが印象的。曲全体に漂う孤独感と悲しみが、美しいメロディと共に描かれている。 - Deadbeat
激しいビートと歪んだギターが炸裂する曲で、バンドのインダストリアルな側面が強く表れている。緊張感あふれるサウンドがリスナーを圧倒する。 - Keep Slipping Away
ノイズロックとポップなメロディの融合が絶妙な一曲。疾走感のあるリズムとメロディアスなギターリフが心地よく、暗闇の中に光が差し込むような感覚をもたらす。 - Ego Death
ダークで重厚なサウンドが支配する楽曲で、タイトル通り自己崩壊をテーマにした歌詞が印象的。低音のベースと暴力的なギターリフが、狂気を感じさせる迫力を生み出している。 - Smile When You Smile
不穏でエッジの効いたビートが続く曲で、緊張感が漂う。冷たく響くボーカルが独特の雰囲気を作り出し、シューゲイザーとインダストリアルの要素が融合している。 - Everything Always Goes Wrong
ノイズの壁が押し寄せる壮大なサウンドスケープが特徴で、混沌としたエネルギーが感じられる。終末的な雰囲気と、アッカーマンのボーカルが曲に不安感を与えている。 - Exploding Head
アルバムのタイトル曲で、極限の緊張感と激しいサウンドが炸裂する。シューゲイザーの轟音美とポストパンクのエネルギーが、タイトル通り爆発的に展開される。 - I Lived My Life to Stand in the Shadow of Your Heart
アルバムのフィナーレを飾る壮大な楽曲で、アッカーマンの切迫したボーカルが特徴。絶望と愛が交錯する歌詞と、轟音のギターが絡み合い、リスナーに深い余韻を残す圧巻のエンディング。
アルバム総評
Exploding Headは、A Place to Bury Strangersが持つシューゲイザーの轟音美とノイズロックの暴力的なエネルギーが見事に融合したアルバムである。ポストパンクの冷たさと、インダストリアルの重厚さがアルバム全体に漂っており、曲ごとにメロディとノイズのバランスが工夫されている。デビューアルバムよりもメロディアスでありながらも、ノイズと攻撃性がさらに洗練され、ポップな要素も取り入れた本作は、バンドの進化と成熟を感じさせる。全体として、激しさの中に切なさが隠された美しい作品で、フィッシュのファンやノイズロック好きには必聴のアルバムである。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
My Bloody Valentine – Loveless
シューゲイザーの名盤で、ノイズと美しいメロディが融合した傑作。Exploding Headのサウンドに共鳴する部分が多く、同じ轟音美学を楽しめる。
Nine Inch Nails – The Downward Spiral
インダストリアルロックの名作で、攻撃的なノイズと冷徹なメロディが印象的。A Place to Bury Strangersのダークな音楽性に通じる。
The Jesus and Mary Chain – Darklands
ノイズロックとポップの融合が特徴のアルバムで、キャッチーなメロディとダークなサウンドが共通。ポップとダークさの対比が楽しめる。
Swans – The Seer
圧倒的な音圧とダークなテーマを持つアルバムで、ノイズとインダストリアル要素がA Place to Bury Strangersのファンにも響くはず。
Sonic Youth – Goo
オルタナティブロックの名盤で、ノイズとポップのバランスが絶妙。実験的なギターサウンドが、A Place to Bury Strangersのリスナーにも親しみやすい。
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