発売日: 1979年2月
ジャンル: パンク・ロック、ニュー・ウェーブ、ポストパンク
Even Serpents Shineは、The Only Onesのセカンドアルバムであり、彼らの持つ独特なサウンドと詩的な世界観をさらに深化させた作品である。ピーター・ペレットのメランコリックで物憂げなボーカルと、甘美なメロディラインは、パンクとニュー・ウェーブの間を絶妙に行き交い、前作The Only Onesから進化した彼らの音楽性が鮮やかに表れている。ギタリストのジョン・ペリーが繰り出す繊細かつパワフルなギターワークが、曲に奥行きとドラマを与え、バンドとしての完成度がさらに高まっていることがわかる。本作は、特に「You’ve Got to Pay」や「Out There in the Night」など、バンドの代表曲が含まれており、ロマンチックで退廃的な美しさが一貫している。前作に続き、時代を超えて愛される名盤として、The Only Onesのファンにとって欠かせない作品だ。
各曲解説
- From Here to Eternity
アルバムの幕開けを飾るエモーショナルな一曲で、切なくも壮大なサウンドが特徴。愛と不安が交錯する歌詞が、ペレットの哀愁漂うボーカルとともに心に響く。 - Flaming Torch
軽快なリズムとシンセのアクセントが印象的な一曲で、メロディックなギターが際立っている。ペレットの切実な歌声が、情熱と寂しさを表現しており、聴き手の心を掴む。 - You’ve Got to Pay
ザ・オンリー・ワンズの代表曲の一つで、スリリングなギターリフとシンプルなビートが印象的。歌詞には、人生の責任や代償がテーマとなっており、ペレットのボーカルに込められた緊張感が曲を一層引き立てている。 - No Solution
リズミカルなテンポとパンキッシュなエッジが効いた楽曲で、シニカルな歌詞が印象的。ペレットの反抗的な歌声が、パンク的な精神をストレートに表現している。 - In Betweens
ペレットの冷静で物憂げな歌声が、どこか幻想的な雰囲気を醸し出す。歌詞には葛藤と孤独感が反映されており、繊細なギターと共に感情をかき立てられる一曲だ。 - Out There in the Night
シングルカットされたこの曲は、キャッチーなメロディとダイナミックなリズムが特徴。夜の闇に潜む不安や孤独が描かれており、ペレットの独特のボーカルが曲の物悲しさを一層際立たせている。 - Curtains for You
しっとりとしたバラードで、メランコリックな歌詞が印象的。ペレットの歌声には優しさと諦念が感じられ、心に深く染み入る。 - Programme
シンプルでタイトなリズムが特徴の曲で、未来への不安と現実の厳しさが歌詞に込められている。ギターリフとベースラインが、曲全体にダークな色彩を与えている。 - Someone Who Cares
ペレットの声が、悲しみと希望を表現しているかのようなミッドテンポのナンバー。愛情と孤独がテーマで、優しさと切なさが混在する美しいメロディが印象的だ。 - Miles from Nowhere
アルバムの最後を飾る一曲で、静かなイントロから徐々に盛り上がりを見せるダイナミックな構成。ペレットのボーカルは、どこか哀愁を帯びており、旅路の終わりと再生を感じさせる感動的なエンディングを演出している。
アルバム総評
Even Serpents Shineは、The Only Onesの持つ音楽的な幅広さと、バンドの成熟した演奏力が見事に表現されたアルバムである。ペレットの詩的で物憂げな歌詞と、ジョン・ペリーの印象的なギターリフが、楽曲に深みとドラマを与えている。アルバム全体を通して、愛や孤独といったテーマが扱われており、ロマンチックで退廃的な雰囲気が漂う。リスナーにとっては、前作The Only Onesの延長線上でありながら、より成熟したバンドの姿が垣間見える作品で、時代を超えて聴き継がれる名盤として評価されている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Television – Adventure
テレヴィジョンのセカンドアルバムで、ギターの絡み合いとポストパンクの雰囲気がThe Only Onesと共通。感情豊かな演奏と詩的な歌詞が魅力。
The Psychedelic Furs – Talk Talk Talk
ニュー・ウェーブとポストパンクが融合したアルバムで、The Only Onesのファンにも楽しめる。ダークな雰囲気とメロディアスな楽曲が共通している。
The Jam – Setting Sons
ザ・ジャムの代表作のひとつで、社会的テーマを扱いながらもメロディアスなサウンドが特徴。エモーショナルな要素がThe Only Onesに通じる。
Buzzcocks – Love Bites
メロディックなパンクバンドであるバズコックスのアルバム。キャッチーでありながらも内省的な歌詞が特徴で、The Only Onesファンにおすすめ。
Echo & the Bunnymen – Crocodiles
ポストパンクの名盤で、暗くも美しいメロディが特徴。The Only Onesの持つ退廃的な美しさが好きなリスナーにはぴったりの一枚。
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