発売日: 1992年1月27日
ジャンル: シューゲイザー、ドリームポップ、オルタナティブロック
Spookyは、イギリスのシューゲイザー・バンド、ラッシュ(Lush)が発表した初のフルアルバムであり、彼らのサウンドを象徴する名作として評価されている。アルバムは、シューゲイザーの代表的なプロデューサーであるロビン・ガスリー(Cocteau Twins)を迎えて制作され、ラッシュの持つ甘美でドリーミーなサウンドがさらに磨かれている。ギターエフェクトが重ねられた分厚いサウンドと、メロディ・リネハンとエマ・アンダーソンによる幻想的なボーカルが特徴で、まるで夢の中にいるかのような音楽体験が味わえる。
このアルバムには、「Nothing Natural」や「For Love」といったシングル曲が収録され、ポップなメロディとサイケデリックなサウンドが美しく融合している。浮遊感あふれるギターとリバーブを効かせたボーカルは、当時のシューゲイザーシーンを象徴するものでもある。Spookyは、シューゲイザーとドリームポップの要素が詰まったアルバムであり、Lushが独自のサウンドでリスナーを包み込む。
トラックごとの解説
1. Stray
アルバムの幕開けを飾る、分厚いギターサウンドが特徴的なトラック。リバーブが深くかかったボーカルが夢幻的なムードを作り出し、シューゲイザーの醍醐味を感じさせる。
2. Nothing Natural
シングルカットされた楽曲で、Lushの代表曲のひとつ。エフェクトのかかったギターと幻想的なボーカルが美しく調和し、ドリーミーなサウンドが印象的。リズムとメロディが絶妙に絡み合う。
3. Tiny Smiles
ややダークな雰囲気が漂うナンバーで、陰影のあるメロディが特徴的。コーラスがメランコリックなムードを際立たせ、アルバム全体の深みを増している。
4. Covert
ミッドテンポで、リラックスしたサウンドが心地よい一曲。ギターとボーカルが柔らかく重なり合い、アルバムの中でもひときわ幻想的な印象を与える。
5. Ocean
アンビエントなサウンドと浮遊感が心地よいトラックで、海のような広がりを感じさせる。Lushの柔らかいギタートーンとリバーブの効いたボーカルが美しく、まるで水中に漂うかのような気分になる。
6. For Love
キャッチーでポップな一面が感じられるシングル曲で、ボーカルのメロディラインが耳に残る。軽快なリズムと鮮やかなギターが、アルバムに明るいアクセントを加えている。
7. Superblast!
アルバムの中でも特にパワフルでエネルギッシュなトラック。疾走感あふれるギターリフとリズムが印象的で、Lushのダイナミックな一面を表している。
8. Untogether
穏やかでメランコリックな曲調が特徴のバラードで、Lushの繊細なサウンドが感じられる。静かなギターとボーカルが楽曲に温かみを加えている。
9. Fantasy
ミステリアスでサイケデリックなムードが漂う一曲で、重層的なギターサウンドが耳を惹く。サイケデリックで内省的なトーンが、アルバムの深みを増している。
10. Take
淡々としたリズムが印象的で、リラックスした空気感が漂う。Lushのアンビエントなサウンドが心地よいリスニング体験を提供する。
11. Laura
ノスタルジックで切ないムードが特徴的なトラックで、アルバムの中でもひときわ感情的。Lushの繊細なメロディとボーカルが響き渡る。
12. Monochrome
アルバムを締めくくる静かなバラードで、リバーブのかかったボーカルとギターが、エレガントなフィナーレを演出。夢の世界から覚めるような儚さが漂う。
アルバム総評
Spookyは、Lushのデビューアルバムとして、シューゲイザーとドリームポップのエッセンスが詰まった名盤である。ロビン・ガスリーのプロデュースにより、重層的なギターサウンドと浮遊感あるボーカルがさらに強調され、リスナーを幻想的な音の渦に包み込む。各トラックは、それぞれ異なる感情や風景を描き出し、まるで夢の断片を集めたかのような統一感がある。ポップさとシューゲイザーの実験的なサウンドが見事に融合し、90年代シューゲイザーシーンにおける重要な作品として、今なお愛され続けている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Heaven or Las Vegas by Cocteau Twins
同じくロビン・ガスリーが手掛けたドリームポップの名盤で、Lushの幻想的なサウンドが好きなリスナーに響く一枚。
Loveless by My Bloody Valentine
シューゲイザーの最高傑作として名高い作品で、Lushの分厚いギターサウンドや浮遊感が好きなリスナーにおすすめ。
Souvlaki by Slowdive
ドリームポップとシューゲイザーの名作で、メランコリックなメロディとアンビエントな雰囲気が楽しめる。
Nowhere by Ride
シューゲイザーの代表作で、Lushと同時代に活躍したバンド。疾走感と重厚なサウンドが特徴で、Lushのファンには必聴の一枚。
Gala by Lush
初期のEPを集めたコンピレーションで、Spooky以前の荒削りなサウンドが楽しめる。Lushの原点を知りたいリスナーにおすすめ。
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