Six Bells Chime by Crime & the City Solution(1986)楽曲解説

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

楽曲の概要

「Six Bells Chime」は、Crime & the City Solutionが1986年に発表した初のフル・アルバム『Room of Lights』の収録曲である。Simon Bonneyの低く切迫したヴォーカルを中心に、Rowland S. Howardのギター、Harry Howardのベース、Mick Harvey、Epic Soundtracksらが作る重い演奏が重なる。Bronwyn Adamsも曲作りに関わっている。

同作は、オーストラリア出身のBonneyを中心にロンドンで結成された時期のCrime & the City Solutionによる最後のアルバムとなった。「Six Bells Chime」はその編成を代表する曲のひとつであり、ゆっくりしたテンポの中で緊張を膨らませていくバンドの特徴がよく表れている。

さらに、この曲はWim Wenders監督の1987年の映画『ベルリン・天使の詩(Wings of Desire)』でバンド自身が演奏する場面に使われた。この映像によって曲を知ったリスナーも多く、Crime & the City Solutionの名前と強く結びついた一曲になっている。

歌詞の概要

「Six Bells Chime」の歌詞は、過去の恋愛を思い返しているような語り手の記憶を中心に進む。現在と過去が明確に区切られているわけではなく、場所、衣服、指輪、灰色の目、波止場といった断片的なイメージが次々と現れる。

特に繰り返されるのが「17歳」という年齢と「six bells」という言葉である。語り手は、ある人物が17歳だった時期を何度も思い返す。二人が若かった過去と現在との間には長い時間が流れているようだが、その記憶だけは現在にも残り続けている。

タイトルになっている「six bells」は、文字通り六つの鐘、あるいは六回鳴る鐘として読むことができる。しかし歌詞では、その音が特定の出来事や過去の時間を呼び戻す合図のように使われている。鐘が鳴るたびに、語り手の中で昔の場面が再び始まるような感覚がある。

興味深いのは、歌詞が単純な懐かしさには向かわないことだ。愛情の記憶だけでなく、拒絶、別れ、争いを思わせる言葉も混ざっている。語り手は過去を美しく保存しているのではなく、傷ついた部分まで抱えたまま思い返している。

そのため、この曲は「失った恋人を懐かしむ歌」とだけ説明すると足りない。愛した人物の若い姿を記憶し続けることと、二人の関係がもう同じ形では存在しないこと。その二つが同時に語られている曲として聞くことができる。

制作背景・時代背景

Crime & the City Solutionは、Simon Bonneyが1970年代後半のシドニーで始めたバンドを起点としている。その後いったん活動を停止したが、1980年代半ばにBonneyがイギリスへ移り、Mick HarveyやRowland S. Howardらとロンドン版のCrime & the City Solutionを結成した。

HarveyとHowardはともにThe Birthday Party周辺で活動していた人物である。Howardの弟Harry Howardがベース、Swell Mapsで活動したEpic Soundtracksがドラムを担当し、非常に個性的なメンバーが集まった。この時期には『The Dangling Man』『Just South of Heaven』といった作品を発表し、その流れから1986年の『Room of Lights』へ進んでいる。

「Six Bells Chime」が生まれた時期には、イギリスや西ベルリン周辺で、パンク以降の音楽がさまざまな方向へ広がっていた。Crime & the City Solutionもポストパンクに分類されることが多いが、音楽は速く鋭いパンクとはかなり違う。ブルースの重さ、暗いバラード、ノイズのようなギターを組み合わせ、ゆっくりした曲でも強い圧力を作っていた。

『Room of Lights』はロンドン編成による最後の録音となる。のちにBonneyはベルリンで別のメンバーとCrime & the City Solutionを続け、『Shine』などを制作するため、「Six Bells Chime」はバンドの初期と次の時期を分ける地点にもある。

曲はベルリンのHansa Tonstudioで録音され、FloodことMark Ellisがエンジニアリングに関わっている。Hansaは当時のベルリンのロックや実験的な音楽と深く結びついたスタジオであり、この曲にも楽器同士の距離を残した広い響きがある。

そのベルリンとの関係をさらに強めたのが、Wim Wendersの『ベルリン・天使の詩』だった。映画にはCrime & the City Solutionが実際にステージで「Six Bells Chime」を演奏する場面が登場する。Nick Cave & The Bad Seedsも同じ映画に出演しており、当時ベルリンに集まっていたオーストラリア系ミュージシャンたちの空気まで画面に残されている。

歌詞の抜粋と和訳

“You’re seventeen at this time”

和訳:この時、君は17歳だ。

この言葉は曲の中で何度も現れる。過去形で淡々と思い出すのではなく、まるで記憶の場面が目の前に戻ってきたかのように「君は17歳だ」と歌うことが重要である。

記憶の中では、その人物は年を取らない。現実には年月が過ぎていても、語り手が思い返す相手は17歳の姿のまま残っている。「Six Bells Chime」は、この時間のずれを何度も繰り返すことで、過去から抜け出せない感覚を強めている。

サウンドと歌詞の考察

「Six Bells Chime」は、最初から勢いよく走り出す曲ではない。演奏は重く、テンポにも余裕があり、一音ずつ時間をかけて置かれていく。そのため、曲が前へ進むというより、大きな何かがゆっくり近づいてくるように聞こえる。

特に重要なのがRowland S. Howardのギターである。Howardはコードをきれいに鳴らして曲を支えるより、鋭い単音や濁った響きを演奏の隙間へ差し込む。音を長く残す場所も多く、ギターがメロディを説明するというより、曲の周囲に不穏な空気を作っている。

Howardのギターには、強く弾いた音が途中で崩れたり、金属がこすれるように響いたりする瞬間がある。一般的なロックのリードギターのように、歌の後ろで華やかなフレーズを弾くわけではない。むしろBonneyが言葉を発するたび、その言葉の後ろへ影を付けるような役割をしている。

この方法は歌詞によく合っている。歌詞に出てくるのは、順序立てて説明された思い出ではない。指輪、道路、波止場、若い恋人の姿などが突然現れては消える。ギターも同様に、一定の旋律を説明するより、記憶の断片のような音をその都度置いていく。

リズム隊も派手ではないが、曲の緊張を支えている。Harry Howardのベースは低い位置を太く動き、Epic Soundtracksのドラムは必要以上に細かな音を入れない。一打一打の間に余白があるため、次の音が来るまでの時間そのものが重く感じられる。

この余白によって、Simon Bonneyの声が非常に大きく聞こえる。Bonneyは滑らかに歌い上げるタイプのヴォーカリストではない。言葉を押し出したり、突然声を張ったり、少し崩した発音のまま次の言葉へ進んだりする。

その歌い方には、誰かに昔の出来事を説明しているというより、自分の記憶をその場でもう一度経験しているような切迫感がある。特に「17歳」という記憶を繰り返すたび、過去の一点だけが異常にはっきり残っているように聞こえる。

歌詞と演奏の関係で重要なのが「反復」である。鐘が繰り返し鳴るように、歌詞では同じ年齢や似た言葉が戻ってくる。演奏も同じように、一定のリズムや音型を完全には解決させず何度も続ける。

普通のポップソングなら、サビに入ることで緊張が解けたり、明確なメロディが答えを与えたりする。しかし「Six Bells Chime」では、曲が進んでも問題が解決した感じがほとんどない。むしろ繰り返すほど記憶が強くなっていく。

鐘というモチーフにも、この構造が合っている。鐘は鳴った瞬間だけで終わらず、音が空間に残る。最初の打撃が消えたあとにも響きが続き、そこへ次の鐘が重なる。「Six Bells Chime」のギターやヴォーカルにも、それに近い残り方がある。

曲の後半では、演奏とBonneyの声が次第に激しさを増す。最初にあった重い静けさが崩れ、ギターの音も声もさらに荒くなる。しかし、そこで爽快な解放が訪れるわけではない。音量が上がるほど、語り手が記憶の中へ深く入り込んでいくように聞こえる。

この点が「Six Bells Chime」の大きな特徴である。一般的なロックでは、静かな前半から激しい後半へ移ることで感情を解放することが多い。しかしこの曲では、激しさが解放ではなく執着を強める。演奏が大きくなるほど、過去から離れにくくなっていく。

Bronwyn Adamsが関わった歌詞には、時間を説明するための抽象的な言葉より、具体的な物や場所が多く出てくる。銀の指輪、灰色の目、波止場といった細部によって、過去の場面が断片的に見えてくる。それがBonneyの演劇的な歌唱によって、単なる回想ではなく現在起きている出来事のようになる。

『ベルリン・天使の詩』での演奏場面が印象的なのも、この曲の性質と関係している。暗いライブ会場でバンドが演奏し、その場にいる人々と映画の登場人物が同じ音を聞いている。録音だけでも強い曲だが、演奏する人間の身体が見えることで、Bonneyの声やHowardのギターが持つ切迫感がさらに分かりやすくなる。

「Six Bells Chime」は、きれいなメロディによって過去を懐かしむ曲ではない。記憶が何度も現在へ侵入してくる感覚を、重いリズム、空白の多い演奏、鋭いギター、そしてBonneyの追い詰められた声によって作っている。

鐘は時間を知らせる音でもある。しかし、この曲で鐘が鳴るたびに時間が先へ進むというより、逆に過去へ戻されるように感じられる。その逆向きの時間感覚が、「Six Bells Chime」という曲を単なる暗いポストパンク以上のものにしている。

この曲が好きな人におすすめの曲 5曲

「The Dangling Man」 by Crime & the City Solution

同じロンドン期を代表する曲。低く重い演奏の上でBonneyの声が徐々に切迫していく。「Six Bells Chime」と同じく、速さではなく音の間とヴォーカルの圧力によって緊張を作る。

「Hey Sinkiller」 by Crime & the City Solution

『Room of Lights』収録曲。「Six Bells Chime」より前へ進む勢いが強いが、荒いギターとBonneyの劇的なヴォーカルという基本的な組み合わせは共通する。同じ編成の幅を知るうえでも分かりやすい。

「From Her to Eternity」 by Nick Cave & The Bad Seeds

反復する低音と突然噴き出すようなヴォーカルによって緊張を高める曲。『ベルリン・天使の詩』にも演奏場面が登場し、「Six Bells Chime」と同時代のベルリン周辺の空気を別の角度から聞ける。

「Shivers」 by The Boys Next Door

Rowland S. Howardが書いた初期の代表曲。「Six Bells Chime」よりメロディがはっきりしているが、恋愛を甘い感情だけで描かず、美しさと不安を同じ場所に置くHoward周辺の音楽感覚につながっている。

「Marry Me (Lie! Lie!)」 by These Immortal Souls

Crime & the City Solutionのロンドン編成解散後、Rowland S. HowardとHarry Howard、Epic Soundtracksらが組んだThese Immortal Soulsの曲。鋭いギターと不安定なリズムから、「Six Bells Chime」の先に進んだ音を聞くことができる。

まとめ

「Six Bells Chime」は、過去を思い出すことの美しさよりも、その記憶から逃れられない感覚を強く描いた曲である。17歳だった人物、指輪、波止場、鐘といった断片が繰り返し現れ、語り手の現在と遠い過去が次第に混ざっていく。

サウンドでは、Rowland S. Howardの鋭く空間を切るギター、低くゆっくり進むリズム、Simon Bonneyの切迫した声が中心になる。曲が激しくなっても緊張は解決されず、むしろ記憶への執着が強くなる。この「盛り上がるほど苦しくなる」という作りが、曲の独特な重さにつながっている。

1986年の『Room of Lights』はCrime & the City Solutionのロンドン編成にとって最後の作品となった。「Six Bells Chime」はそのメンバーの個性が特に強く噛み合った曲であり、『ベルリン・天使の詩』での演奏も含め、1980年代のオーストラリア、ロンドン、ベルリンのポストパンクが交差した瞬間を残している。

参照元

  • Mute「Crime & the City Solution – Announce Two Reissues + Acoustic Tour」
  • Crime & the City Solution Official Bandcamp「Room of Lights」
  • Apple Music「Room of Lights – Crime & the City Solution」
  • From The Archives「Crime and the City Solution – Discography」
  • Wim Wenders『Wings of Desire』

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