- 発売日: 2007年3月5日
- ジャンル: ゴシックロック、ガレージロック、ポストパンクリバイバル
Strange Houseは、イギリスのバンドThe Horrorsのデビューアルバムであり、1970年代末のゴスロックやポストパンクに影響を受けたダークでエネルギッシュなサウンドが特徴的である。このアルバムでは、The CrampsやThe Birthday Partyなどの影響を感じさせるグリッチーで騒々しいギターリフと、Faristray Badwan(ファリス・バドワン)の不気味で妖艶なボーカルが組み合わさり、聴く者を非日常的で狂気じみた世界へと誘う。
アルバム全体を通して、陰鬱で緊張感のあるサウンドが貫かれており、ファズがかかったギターやディストーション、オルガンなどのエフェクトが怪しげな雰囲気を生み出している。The Horrorsは、デビュー作にして明確な美学を持ち、他とは一線を画す個性的な音楽性を確立した。
トラック解説
1. Jack the Ripper
アルバムの幕開けを飾るトラックで、狂気に満ちたボーカルと、重くうねるギターリフが特徴。シリアルキラーとして悪名高いジャック・ザ・リッパーを題材にしており、不穏で緊迫感のあるムードが漂う。
2. Count in Fives
The Horrorsの代表曲のひとつで、キャッチーなリフとエネルギッシュなリズムが印象的。カウントを5で繰り返す独特の歌詞が不安感を煽り、アルバムの中でも特に疾走感のある一曲。
3. Draw Japan
ノイズの効いたギターとエコーがかったボーカルが組み合わさり、怪しげな雰囲気を醸し出す。ファリスのボーカルが耳に残り、非現実的で幻想的なイメージが浮かぶ一曲。
4. Gloves
不気味で攻撃的なトラックで、ファズの効いたギターとファリスのボーカルが緊張感を生み出す。手袋に対する執着を描いた歌詞がサイコホラー的な印象を与え、The Horrorsのダークな美学が際立っている。
5. Excellent Choice
短くもエネルギッシュなナンバーで、爆発的なギターリフとスピーディーなリズムが特徴。シンプルな構成ながらも強烈なインパクトを残し、アルバムのテンポを加速させる。
6. Little Victories
疾走感があり、ポストパンクの要素が強く感じられるトラック。ギターとオルガンが絡み合い、不穏で緊迫感のある雰囲気を醸し出している。リズムがしっかりしており、ライブでの盛り上がりを想像させる。
7. Sheena Is a Parasite
パンクのエネルギーに満ちた曲で、シンプルなリフと激しいドラムが印象的。タイトルの通り、女性に対する攻撃的なテーマが描かれており、短いながらも衝撃的な一曲。
8. Thunderclaps
エコーの効いたギターとエレクトリックなオルガンが、幽霊屋敷のような怪しげな雰囲気を演出する。テンポはゆったりしているが、ミステリアスで引き込まれるような魅力がある。
9. Gil Sleeping
ダークでムーディーなトラックで、アルバムの中でも特にゴシック的な雰囲気が漂う。ペースが抑えられ、オルガンが幽玄なムードを醸し出し、不気味さが強調されている。
10. A Train Roars
アルバムの最後を締めくくるトラックで、ノイズがかったギターと混沌としたリズムが特徴的。終盤に向かって徐々にエネルギーが高まり、狂気的なフィナーレを迎える。
アルバム総評
Strange Houseは、The Horrorsが持つゴシックな世界観を強烈に打ち出したデビューアルバムであり、1970年代や80年代のポストパンク、ゴスロックの影響を大胆に取り入れた作品である。荒々しいギターリフとファリス・バドワンの狂気じみたボーカルが組み合わさり、不穏でダークなムードが全編にわたって貫かれている。このアルバムには、The Horrors独自のスタイルが確立されており、ホラーテーマをポップスに昇華する新しいアプローチが光っている。
Strange Houseは、ポストパンクやゴシックロックのファンにはもちろん、ダークでエネルギッシュなサウンドを求めるリスナーにおすすめの一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Primary Colours by The Horrors
The Horrorsの2枚目のアルバムで、より洗練されたサウンドとメロディが特徴。ダークな雰囲気を維持しつつも、サイケデリックな要素が加わっている。 - Psychocandy by The Jesus and Mary Chain
ノイズポップとゴシックロックが融合した名作。The Horrorsに影響を与えたであろう不穏でサイケデリックなサウンドが楽しめる。 - Unknown Pleasures by Joy Division
ポストパンクの代表作で、冷たく暗いムードがThe Horrorsのダークな美学と共通している。影響を感じられる一枚。 - The Firstborn Is Dead by Nick Cave and the Bad Seeds
ニック・ケイヴのダークで重厚なサウンドが楽しめるアルバム。ゴシックで神秘的な雰囲気が、Strange Houseと響き合う。 - Songs the Lord Taught Us by The Cramps
ガレージロックとホラーパンクの融合が魅力のアルバムで、The Horrorsが影響を受けた要素が詰まっている。狂気じみたサウンドが魅力。
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