発売日: 1969年2月5日
ジャンル: ブルースロック, サイケデリックロック
CreamのラストアルバムGoodbyeは、解散を前提として制作されたエモーショナルな作品で、バンドのラストツアーで収録されたライブ音源とスタジオ録音が収められた3枚目のアルバムである。このアルバムには、エリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーの3人が最後の輝きを放つ姿が詰まっており、彼らの強烈な個性と音楽的才能が凝縮されている。
ライブ録音とスタジオ録音が混在する構成は、Creamがブルースロックの枠を超えてサイケデリックな実験性や即興演奏を通じて新たな音楽スタイルを切り開いたことを示している。特にクラプトンのギターが鮮烈に響き渡り、ベイカーのダイナミックなドラム、ブルースのソウルフルなベースとボーカルが見事に融合して、彼らの「別れの作品」にふさわしい、エモーショナルな仕上がりとなっている。
曲ごとの解説
Disc 1: Live Recordings
1. I’m So Glad
アルバムの幕開けを飾るスキップ・ジェイムズのブルースクラシックのライブ版。Creamの解散ツアーのライブ音源として収録され、クラプトンのギターが圧巻のテクニックと情熱を見せつける。バンドの即興演奏が光る一曲で、彼らの持つブルースへの敬意と力強さが感じられる。
2. Politician
ライブパフォーマンスで収録されたこの曲は、ジャック・ブルースの低音ボーカルとクラプトンのブルージーなギターが際立つ。曲全体に不穏なムードが漂い、ジンジャー・ベイカーの重厚なドラムが楽曲を引き締めている。演奏に熱がこもり、別れを目前にしたバンドの気迫が伝わってくる。
Disc 2: Studio Recordings
3. Badge
アルバムを象徴する名曲で、クラプトンとジョージ・ハリスンが共作したことでも知られている。クラプトンのリードギターが美しいメロディを奏で、歌詞には人生の終わりや別れの切なさが漂う。独特のギターフィルとサビのキャッチーなメロディが印象的で、Creamのレパートリーの中でも特に人気が高い。
4. Doing That Scrapyard Thing
ジャック・ブルースが歌う一曲で、ブルースとサイケデリックロックの要素がミックスされている。ピアノとリズムが曲全体にユーモラスな雰囲気を添え、バンドが解散を前にしても新たな音楽スタイルを探求している様子がうかがえる。シンプルだが印象深いメロディが心に残る。
5. What a Bringdown
ジンジャー・ベイカーによる異色の楽曲で、エキゾチックで幻想的な雰囲気が漂う。サイケデリックなリズムと詩的な歌詞が特徴で、どこか謎めいた雰囲気が漂っている。Creamの最後を締めくくるにふさわしい、実験的で冒険心あふれる一曲である。
アルバム総評
Goodbyeは、Creamの解散を前にした最後の輝きを捉えた作品であり、彼らのサウンドがブルースロックとサイケデリックロックの融合であったことを象徴している。ライブトラックとスタジオトラックが織り交ぜられた構成により、バンドの多面的な魅力が際立ち、特に「Badge」や「Politician」といった楽曲で、彼らの個性が際立っている。別れのアルバムにして、彼らが残した音楽的な遺産と、Creamがロックの歴史に残した足跡を感じさせる一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Blind Faith by Blind Faith
エリック・クラプトンとジンジャー・ベイカーが新たに参加したスーパーグループによる作品。Creamファンには、クラプトンとベイカーのケミストリーが再び楽しめる一枚。
- Truth by Jeff Beck
ブルースとロックを融合したジェフ・ベックの名作で、Creamのブルースロック好きに響く内容。クリエイティブで力強い演奏が楽しめる。
- Layla and Other Assorted Love Songs by Derek and the Dominos
クラプトンのギターが冴え渡るロックの名盤。Creamのサウンドを受け継ぎつつ、より深いブルースの表現が感じられる作品。
- Electric Ladyland by The Jimi Hendrix Experience
サイケデリックでブルージーなサウンドがCreamの影響を受けた一枚。実験的なサウンドと濃厚なギターワークが楽しめる。
ロックのライブパフォーマンスの魅力を捉えた名盤。Creamのライブのダイナミズムと同様に、エネルギッシュで迫力ある演奏が満載。
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