What I Like About You by The Romantics(1979)楽曲解説

 

1. 歌詞の概要

「What I Like About You」は、アメリカのパワーポップ・バンド The Romanticsザ・ロマンティックス)が1979年に発表したシングルであり、翌1980年にリリースされたデビュー・アルバム『The Romantics』にも収録された楽曲である。タイトルが示すように、この曲は語り手が恋人(あるいは気になる相手)に対して感じている魅力や愛しさを、テンポの良いロックンロールに乗せてストレートに伝えるラブソングである。

歌詞の内容は非常にシンプルで、複雑なメッセージや象徴的表現はほとんどない。むしろその飾り気のない率直さとリズム感が、この曲を長く愛される名曲へと押し上げた
「君のこんなところが好きなんだ」というフレーズが繰り返されることで、語り手の素朴な好意と、純粋な楽しさがリスナーにダイレクトに伝わる構成になっている。

2. 歌詞のバックグラウンド

The Romanticsは1977年にミシガン州デトロイトで結成され、ロックンロールとポップの中間を狙ったパワーポップ・サウンドで注目を集めた。セックス・ピストルズの登場によって世界的にパンク・ムーブメントが巻き起こった時期にありながら、彼らはその攻撃性ではなく、ビートルズキンクス、ブリティッシュ・インヴェイジョンに影響を受けた爽快でシンプルな音楽性で差別化を図った。

「What I Like About You」はバンド初期の代表曲であり、当時はビルボードチャートで最高49位という成績にとどまったものの、その後1980年代を通じてラジオやテレビCM、映画などで繰り返し使用され、アメリカの“パーティーアンセム”として国民的な定番曲へと昇華していった。

特にこの楽曲は、ドラマーのジミー・マリノスがリードボーカルを担当しており、ドラムとヴォーカルが一体となったパフォーマンスがエネルギッシュな印象を残している点も特徴的だ。

3. 歌詞の抜粋と和訳

What I like about you
君のこんなところが好きなんだ

You hold me tight
きみは僕をしっかり抱きしめてくれる

Tell me I’m the only one
僕が“たった一人”だって言ってくれる

このサビのフレーズは、恋人との親密なやりとりを率直に、そして嬉しげに語る構成になっている。深読みする必要はなく、ただその喜びを共有すればよい。

Keep on whisperin’ in my ear
耳元でささやき続けてくれよ

Tell me all the things that I wanna hear
僕が聞きたいことをぜんぶさ

このあたりでは、言葉にしてくれることの大切さがシンプルに歌われている。愛情は言葉でも確認したい――そんな素直な気持ちが込められている。

That’s what I like about you
それが、君の好きなところなんだ

このフレーズが曲の要であり、何度も繰り返されることで、愛の対象への肯定が強く印象づけられる

※引用元:Genius – What I Like About You

4. 歌詞の考察

「What I Like About You」は、分析や解釈を超えて“感じる”ことを重視した楽曲である。語り手は、相手に夢中になっていることを誇張するでもなく、恥じるでもなく、まっすぐに伝えている。
この無邪気さこそが、80年代初頭のパワーポップが持っていた**“純粋に楽しくて、少し懐かしい感覚”**を象徴している。

重要なのは、愛の対象を理想化するのではなく、ごく普通のスキンシップや会話、アイコンタクトのような“ありふれた親密さ”を好きな理由として挙げている点だ。これは、愛が特別なドラマのなかにあるのではなく、日常の中にこそあるという視点を提示している。

また、“耳元でささやく”“きつく抱きしめる”といった描写は、肉体的な接触を通じた感情の伝達を重視しており、身体性と感情の直結を、ポップロックの速度でストレートに表現している

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • Just What I Needed by The Cars
    恋人の存在に対する率直な感謝と驚きを描いたパワーポップの代表曲。
  • My Sharona by The Knack
    キャッチーなリフと情熱的な愛の告白が詰まった永遠のヒット曲。
  • I Want You to Want Me by Cheap Trick
    “相手に求められたい”という単純で切実な感情を軽快に歌ったポップロック。
  • 867-5309/Jenny by Tommy Tutone
    キャッチーなリフと電話番号というユニークなモチーフで恋の興奮を描く。
  • Back of My Hand by The Jags
    60年代風のポップセンスと英国的アイロニーが絶妙に融合した佳作。

6. “君の好きなところ”はすべて――シンプルな愛の爆発力

「What I Like About You」は、“ロックとはこうあるべき”という理屈をすべて取っ払った純粋な愛のエネルギーをパッケージングしたような楽曲である。
その内容は、文学的でも政治的でもない。ただ、「君のこういうところが好きなんだ」と叫ぶこと。そのシンプルな感情表現こそが、多くの人にとってのロックンロールの原点なのではないだろうか。

この曲は、時代を超えて多くの人に愛される理由を、難解な構成ではなく、**直感的な“気持ちよさ”と“率直さ”**で証明している。
音楽における“好き”のパワー、それはこんなにもストレートで、こんなにもポップで、そしてこんなにも胸を打つものなのだ。

恋をしたときの高揚感を、永遠に鳴り響くロックンロールに乗せて。
「What I Like About You」は、私たちの中の“最初の恋”を、いつでも思い出させてくれる。

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