The Official Ironmen Rally Song by Guided by Voices(1996)楽曲解説

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1. 歌詞の概要

The Official Ironmen Rally Song」は、アメリカのインディーロックバンド**Guided by Voices(GBV)**が1996年にリリースしたアルバム『Under the Bushes Under the Stars』に収録された楽曲です。この曲は、GBVの楽曲の中でも比較的プロダクションが整っており、より洗練されたロックサウンドを持つのが特徴です。

タイトルにある「Ironmen(鉄人)」は、特定の意味を持たない比喩的な表現と考えられていますが、「ラリーソング(応援歌)」という表現と合わせることで、何かに向かって戦う者たちへのアンセムのような意味を持たせている可能性があります。しかし、GBVの歌詞にはしばしば意味の解釈が曖昧なものが多く、この曲の具体的な意味についても様々な考察がなされています。

全体的に、社会や個人の葛藤をテーマにした歌詞と、パワフルなギターリフ、疾走感のあるメロディが組み合わさった、GBVらしいエネルギッシュな楽曲となっています。

2. 歌詞のバックグラウンド

Guided by Voicesは、1980年代後半から活動を続けるオハイオ州デイトン出身のインディーロックバンドで、ローファイ・ロックの代表的なバンドとして知られています。1996年のアルバム『Under the Bushes Under the Stars』は、彼らがローファイサウンドから少し脱却し、よりクリアなプロダクションを取り入れた作品であり、「The Official Ironmen Rally Song」もその流れを象徴する楽曲となっています。

この曲は、GBVのフロントマンである**ロバート・ポラード(Robert Pollard)**によって書かれたもので、彼の特徴的なシュールな歌詞と力強いメロディが融合した作品です。また、1996年にはシングルとしてもリリースされ、GBVの楽曲の中でも特に知名度の高いものの一つとなっています。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下に「The Official Ironmen Rally Song」の歌詞の一部を抜粋し、日本語訳を添えます。

原文:

Bitter fish in crude oil sea
You don’t have to bother me
You just have to join in on this song

和訳:

原油の海にいる苦い魚
君は俺に構う必要はない
ただこの歌に加わればいいんだ


原文:

Have you ever been all right?
I’ve been up all night
Have you ever been all right?

和訳:

君は今まで大丈夫だったことがあるか?
俺はずっと夜通し起きていた
君は今まで大丈夫だったことがあるか?


原文:

Some will say that I’m no good
Maybe I agree
Would you like to see me in the shade?

和訳:

俺はダメな奴だと言う人もいる
もしかしたら 俺もそう思う
俺が影の中にいるところを見たいか?


原文:

Stay as long as you can
Take a little right hand
Make a little space
And take a better look

和訳:

できるだけ長くここにいて
ちょっと右手を使って
少しスペースを作って
もっとよく見てみろ

歌詞の完全版は こちら で確認できます。

4. 歌詞の考察

「The Official Ironmen Rally Song」の歌詞は、社会や自己認識に対する皮肉と哲学的な思索が入り混じった内容となっています。タイトルの「Ironmen(鉄人)」は、強く生き抜く者たちを象徴しているように見えますが、歌詞の中ではその概念がはっきりと説明されることはありません。

「Bitter fish in crude oil sea(原油の海にいる苦い魚)」というラインは、汚染された世界や、苦境にいる人々の比喩とも取れます。また、「Have you ever been all right?(君は今まで大丈夫だったことがあるか?)」というリフレインは、人生の中で本当に安定した瞬間があったのか、という問いかけにも聞こえます。

さらに、「Some will say that I’m no good, maybe I agree(俺はダメな奴だと言う人もいる もしかしたら 俺もそう思う)」というラインは、自己否定と自己認識の間で揺れる心情を示唆しています。これは、GBVの楽曲に頻繁に登場するテーマのひとつであり、成功や社会的な価値観に対する懐疑的な視点が表れているように感じられます。

音楽的には、キャッチーなメロディとパワフルなギターリフが、歌詞の持つ皮肉や葛藤をダイナミックに表現しているのが特徴です。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • Game of Pricks” by Guided by Voices
    GBVの代表的なキャッチーなロックソング。

  • Cut Your Hair” by Pavement
    90年代インディーロックの名曲で、同じくアイロニカルな歌詞とポップなサウンドが特徴。
  • “Alex Chilton” by The Replacements
    GBVと同じく、ガレージロック的なエネルギーとポップセンスを持つ楽曲。

  • “Teen Age Riot” by Sonic Youth
    オルタナティブロックの名曲で、GBVと同じくアンダーグラウンドな雰囲気がある。

6. 「The Official Ironmen Rally Song」の影響と評価

「The Official Ironmen Rally Song」は、Guided by Voicesの楽曲の中でも特に知名度が高く、アルバム『Under the Bushes Under the Stars』を代表する曲のひとつとされています。1996年のリリース当時、GBVはすでにインディーロック界で確固たる地位を築いていましたが、本作はより広い層のリスナーにも受け入れられる作品となりました。

また、この楽曲はライブでも定番となっており、観客がコーラスをシンガロングすることでアンセム的な役割を果たす楽曲として機能しています。GBVの楽曲の中でも、特にポップな要素と哲学的な歌詞が融合した楽曲として、多くのリスナーに支持されています。

「The Official Ironmen Rally Song」は、社会に対するアイロニカルな視点と、パワフルなロックサウンドが融合したGuided by Voicesの代表的な楽曲であり、インディーロックの歴史に残る名曲です。

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