発売日: 2019年4月5日
ジャンル: R&B、ポップ、オルタナティブR&B
成熟したサウンドと自由への憧れ—Khalidの進化を示す2ndアルバム
2019年、Khalidは2ndアルバムFree Spiritをリリースし、デビュー作American Teen（2017年）で確立したスタイルをさらに進化させた。本作では、シンセポップやオルタナティブロックの要素を取り入れ、より洗練されたプロダクションと深みのある歌詞が特徴的になっている。
デビュー作では10代の青春をテーマにしていたKhalidだが、本作では「自由」というテーマを軸に、大人へと成長していく中での悩みや葛藤が描かれている。特に、「Talk」「Better」「Saturday Nights」といった楽曲は、彼の洗練されたサウンドと感情豊かな歌声を存分に味わえる代表曲となった。
全曲レビュー
1. Intro
アルバムの幕開けを飾るアンビエントなインストゥルメンタル。Khalidの音楽がより空間的になっていることを予感させる。
2. Bad Luck
スローテンポのビートと柔らかいシンセが心地よいR&Bトラック。失恋の痛みを淡々と歌い上げる。
3. My Bad
軽やかなギターリフと、シンプルながらもクセになるメロディが魅力の楽曲。Khalidのさりげないフロウが際立つ。
4. Better
アルバムを代表するヒット曲。チルなビートとエモーショナルなボーカルが融合し、夜のドライブにぴったりな雰囲気を作り出している。
5. Talk
DisclosureがプロデュースしたダンサブルなR&Bナンバー。シンプルなビートながらも、キャッチーなフックが耳に残る。
6. Right Back
トロピカルな雰囲気のビートが心地よい、夏向けの一曲。リラックスしたムードが魅力。
7. Don’t Pretend (feat. SAFE)
ギター主体のアコースティックなR&Bトラック。切ない歌詞が印象的。
8. Paradise
シンセポップ風のアレンジが特徴的な楽曲。夢と現実の狭間を描くリリックが魅力。
9. Hundred
ミディアムテンポのR&Bチューン。日々の生活のストレスから解放されたいという願いが込められている。
10. Outta My Head (feat. John Mayer)
John Mayerがギターで参加した、ポップロックとR&Bの融合が際立つ楽曲。
11. Free Spirit
アルバムのタイトル曲。Khalidの自由への憧れと、人生の旅路を象徴する楽曲。
12. Twenty One
大人へと成長していく過程での葛藤を描いた楽曲。Khalidのリリックの成熟が感じられる。
13. Bluffin’
ファンクの影響を感じさせる楽曲。リラックスしたムードの中に切なさが漂う。
14. Self
Khalidの内省的な一面が色濃く表れた楽曲。ミニマルなビートと叙情的な歌詞が魅力。
15. Alive
ピアノを基調としたバラード。自分自身の存在について深く考えるKhalidの姿が描かれる。
16. Heaven
静かで幻想的なサウンドのエンディングトラック。自由への憧れと、現実とのギャップを繊細に表現する。
総評
Free Spiritは、Khalidの音楽的な成長を示すアルバムであり、彼の洗練されたR&Bサウンドが際立つ作品となっている。デビュー作のような青春の無邪気さよりも、大人への移行期における葛藤や内省的なテーマが中心となっており、楽曲の雰囲気もより落ち着いたものへと変化している。
「Talk」「Better」「Saturday Nights」といった楽曲は、彼のメロディセンスの高さを証明するものであり、アルバム全体を通しても統一感がある。一方で、John Mayerとのコラボや、エレクトロポップ風の楽曲も含まれており、Khalidの音楽的な幅広さも感じられる。
アルバムタイトルが示すように、本作は「自由」を求める旅のような作品であり、リスナーをゆったりとした音の波に乗せるような感覚を与える。
おすすめアルバム
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Frank Ocean – Blonde (2016)
アンビエントR&Bと内省的なリリックの融合が共通。 -
Daniel Caesar – Case Study 01 (2019)
ミニマルなR&Bとジャズの影響を受けたサウンドが似ている。 -
The Weeknd – After Hours (2020)
エレクトロポップとR&Bのクロスオーバーが本作と近い。 -
Brent Faiyaz – Fuck the World (2020)
チルでエモーショナルなR&Bのスタイルが本作と共鳴する。
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