アルバムレビュー:It Ain’t Easy by Three Dog Night

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 1970年3月31日
ジャンル: ロック、ブルーアイド・ソウル、フォークロック


概要

『It Ain’t Easy』は、Three Dog Nightが1970年にリリースした3作目のスタジオ・アルバムであり、彼らのカバー主体のスタイルが最も大胆かつ統一感ある形で結実した名作である。
本作では、ランディ・ニューマン、エルトン・ジョン、ローラ・ニーロといった新鋭のソングライターの作品を取り上げつつ、それぞれの楽曲をバンドならではの表現力で完全に“自分たちのもの”へと昇華している。

タイトルが示す通り、“人生は決してイージーではない”という主題がアルバム全体に漂い、歌詞、曲調、ボーカルの表情のすべてが、その重みと哀しみ、そして時折の希望を伝えてくる。
3人のリードシンガーそれぞれが楽曲によって異なる役割を担い、物語を語るような構成となっており、声そのものが“演出”となっているのが大きな特徴である。

アメリカン・ルーツ音楽とソウルの融合を試みつつ、ポップスとしての強度も維持するこの作品は、Three Dog Nightというバンドの表現者としての成熟を印象づけるアルバムであり、70年代初頭のアメリカン・ロックの奥深さを体現している。


全曲レビュー

1. Woman

ギターの刻みとともに始まるヘヴィでグルーヴィなオープニング。
荒々しいリズムとブルースロック的なボーカルが印象的で、チャック・ネグロンの熱唱が心に残る。
サザンロックに通じる“土臭さ”を持つ佳曲。

2. Cowboy

西部劇的な情景と哀愁を帯びた旋律が交差する、フォーク色の強いバラード。
“カウボーイ”の孤独と矛盾を歌いながら、アメリカの男性像を再定義するような深みを感じさせる。

3. It Ain’t Easy

ロニー・ホーキンスやデヴィッド・ボウイもカバーしたロン・デイヴィスの楽曲。
タイトルに込められた“人生の厳しさ”を、淡々と、しかし情熱的に歌い上げる。
ギターのバッキングとヴォーカルの抑制された力感が絶妙。

4. Out in the Country

ポール・ウィリアムズとロジャー・ニコルズの共作による穏やかで美しいミッドテンポ・ナンバー。
自然回帰への憧れと都会の喧騒からの脱出というテーマが、1970年の空気を映し出す。
「郊外への逃避」を歌ったこの曲は、のちのエコロジー・ポップ的要素の先駆けでもある。

5. Good Time Livin’

ゴスペル・ソウル風の祝祭感あふれるロック・ナンバー。
ホーンとコーラスが加わることで、圧倒的な高揚感を生み出しており、ライブ映えするアレンジも見事。

6. Rock & Roll Widow

リズミカルでファンキーな楽曲。
軽快なグルーヴの裏で、ロック・ミュージシャンの妻の孤独というユニークなテーマが描かれる。
詞と曲のギャップが逆説的な深みを生む好例。

7. Mama Told Me (Not to Come)

ランディ・ニューマン作のナンバーをコミカルかつファンキーに再構築した代表曲。
“お母さんに止められた”という皮肉と諧謔に満ちた歌詞が、ネグロンの軽妙な歌唱と完璧に合致し、全米1位を記録。
オルガンとリズムセクションの絡みもクセになる。

8. Your Song

エルトン・ジョンのバラードを繊細にカバー。
原曲よりもややソウル寄りのアレンジが施されており、コリー・ウェルズの抑制された歌声が新たな魅力を引き出している。

9. Good Feeling 1957

短いフォーク調の曲で、1950年代を回想するノスタルジックな内容。
シンプルながら、アルバムの“過去を見つめる視点”を補強する重要なピース。


総評

『It Ain’t Easy』は、Three Dog Nightが“カバーという表現形式”を深化させ、自らの声で1970年のアメリカを語り切った傑作である。
タイトルが象徴するように、楽曲の多くは困難、孤独、選択といった人生の“分かれ道”を描いており、それを複数の声=視点で演じることによって、リスナーに多層的な物語を体験させてくれる。

また、選曲の巧みさは本作でも冴えわたり、ニューマン、エルトン・ジョン、ポール・ウィリアムズといった“ソングライターの時代”を象徴する作家たちを見事に再解釈してみせた。
それは単なる演奏力や歌唱力ではなく、“誰かの人生を借りて、聴く者の人生を照らす”というアーティストとしての意志に基づいている。

キャッチーさと誠実さ、社会性と個人性、ロックの衝動とソウルのぬくもり――それらすべてが、9曲という小編成の中に見事に詰め込まれた一枚。
Three Dog Nightを代表するアルバムのひとつとして、再評価されるべき作品である。


おすすめアルバム(5枚)

  1. Elton John – Tumbleweed Connection (1970)
    アメリカーナとフォークロックの融合。『Your Song』とのつながりあり。
  2. Randy Newman – 12 Songs (1970)
    原曲を提供した“皮肉と誠実さ”の作家による傑作。『Mama Told Me…』の源流。
  3. The BandStage Fright (1970)
    カントリー、ロック、ソウルのハイブリッド。本作の空気感と親和性が高い。
  4. Leon Russell – Leon Russell (1970)
    ゴスペル、ロック、ソウルを横断するアレンジとボーカルの魔術師。Three Dog Nightの解釈精神と通じる。
  5. Delaney & Bonnie & Friends – On Tour with Eric Clapton (1970)
    ルーツとソウルの交差点。『Good Time Livin’』的グルーヴと重なる祝祭感。

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