アルバムレビュー:5ive by Five

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

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発売日: 1998年6月22日
ジャンル: ポップ、ダンス・ポップ、ティーン・ポップ


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概要

『5ive』は、イギリスのボーイバンドFiveが1998年に発表したデビュー・アルバムであり、ポップとラップを融合した攻撃的なサウンドとエッジーなビジュアルで、当時のティーン・ポップの潮流に一石を投じた作品である。

バックストリート・ボーイズNSYNCといったアメリカのボーイバンドがロマンティックで洗練されたイメージを打ち出していた中、Fiveは“悪ガキ”路線を押し出し、英国らしいユーモアとアティチュードを加味したアプローチで差別化を図った。

Simon Cowell(後の『X Factor』審査員)によって発掘された彼らは、当時のBMG UKからの強力なプッシュを受けてデビュー。デビュー作『5ive』は、UKチャートで初登場1位を獲得し、全英でプラチナ認定を達成したほか、欧州やアジア諸国でも人気を博し、ボーイバンド黄金期の一翼を担った。

本作は、The MatrixやDenniz Popといったヒットメイカーたちによるプロダクションに支えられ、ファンキーなビート、ヒップホップ調のラップ、甘いコーラスが交錯する多彩な楽曲構成を特徴としている。ティーンエイジャー向けのキャッチーさを残しつつ、どこか反抗的な空気を孕んでいたことが、五人の個性と重なり、独自の魅力を放っていたのである。


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全曲レビュー

Slam Dunk (Da Funk)

Fiveの名刺代わりとも言えるデビュー・シングル。
スネアの効いたヒップホップ調のビートに、ファンク・サウンドを注入した挑発的な一曲で、彼らの“攻め”のスタンスを明確に提示した。
「Bring the funk back!」という決め台詞が印象的で、ライヴでも定番化した。

When the Lights Go Out

R&Bテイストが強いセクシーなナンバー。
甘くメロウなコーラスと、ラップが交錯する構成が秀逸で、アメリカ市場でも一定の成功を収めた。
ナイトクラブ的な雰囲気の中に、10代の切ない恋愛模様が描かれているのが魅力。

Everybody Get Up

Queenの「We Will Rock You」を引用したリズムが特徴的な、骨太のパーティー・トラック。
ロックとヒップホップの融合という点で、当時としては斬新なアプローチであり、五人のラップの掛け合いが冴える。
歌詞はほとんど煽り文句に近く、まさに“みんなで騒げ”というタイトルにふさわしい。

Got the Feelin’

五人それぞれの声質を生かしたダンス・ナンバー。
特にハーモニーのまとまりがよく、プロデュースの緻密さが際立つ。
サマーソング的な軽快さとポップ感が融合し、彼らの中では最も“王道”に近いポップ曲といえる。

It’s the Things You Do

アメリカ市場を意識したようなソフトなポップ・チューン。
やや平坦な展開ながらも、リズムのノリが良く、当時のティーンに刺さる恋愛感情が素直に表現されている。

Human (The Five Remix)

Human Leagueの名曲をリミックスし、オリジナルのエレポップ感にラップを加えるという大胆な再構築。
リミックスというよりもリイマジネーションに近く、彼らの解釈力を試した一曲である。

Until the Time Is Through

バラード枠で、エモーショナルなヴォーカルが際立つ。
ティーン層の“泣き曲”として定着し、ライブでの定番曲となった。
ストリングスのアレンジが美しく、アルバム中でも異彩を放っている。

Don’t You Want It

アグレッシブなラップが前面に出た、やや実験的な一曲。
“恋の駆け引き”をテーマにしながら、ビートはあくまでダンサブルに仕上げられている。
グループのエッジーな側面を象徴する曲でもある。

Shake

ダンス・フロアに直結したハウス・ビートを基調にしたパーティー・トラック。
この時代のUKポップらしいハイブリッドなサウンドが楽しめる。

Cold Sweat

やや暗めのトーンで始まるR&Bナンバー。
感情の高まりとともにビートも変化していく構成が印象的で、アルバム後半にドラマ性を与えている。

Straight Up Funk

アルバムのクロージングにふさわしい、Fiveの美学を凝縮したような一曲。
歌詞は「偽物はすぐにバレる、本物のファンクを聴け」とでも言いたげで、セルフブランディングが強く出ている。


総評

『5ive』は、ボーイバンド黄金期にあって、唯一無二の“反抗的”スタイルを貫いたデビュー作である。

清潔感や整合性ではなく、“ノイジーで元気がよくて少しやんちゃ”という英国的ポップ像を打ち出したことが、このアルバムを特別なものにした。

音楽的には、ヒップホップやR&B、ファンク、さらにはクラブミュージックの要素までを取り入れ、あくまで「聴いて楽しむ」というよりは「動いて騒ぐ」ことを前提に構築されている。

一方で、『Until the Time Is Through』のようなバラードでのエモーショナルな側面も見せており、単なる一発屋で終わらない実力をも証明している。

この作品の魅力は、ポップに隠された“自己表現の意志”であり、音楽的な完成度と同時に、当時の10代の“自分らしさを模索する葛藤”が鮮やかに刻まれている。

Fiveは、ボーイバンドの中でも特に“エンタメのプロダクト”としての精度が高く、その中で彼ら自身がしっかりと存在感を刻んでいた。
このアルバムは、時代を象徴するポップ・アーカイブであり、今なお再評価の余地がある作品なのだ。


おすすめアルバム(5枚)

  • Backstreet BoysMillennium
     同時期のアメリカ発ボーイバンドによる大ヒット作。Fiveとの音楽的な差異が比較対象としても面白い。

  • NSYNCNo Strings Attached
     ダンス・ポップの極致を極めた名盤で、Fiveのスタイルとの対比が鮮明。

  • Blue『All Rise』
     同じくUKボーイバンドとして後年登場し、よりソウルフルな方向性を打ち出したグループ。

  • Take That『Everything Changes』
     UKポップにおける王道ともいえる存在。Fiveの“アンチ・ヒーロー”的ポジションが見えてくる。

  • 3T『Brotherhood
     マイケル・ジャクソンの甥たちによるR&B寄りのボーイバンド作品。FiveのR&B志向を別の角度から見るのに適している。

8. ファンや評論家の反応

リリース当初、Fiveは“チャラくて軽い”という批判も受けたが、それはむしろ彼らが意図したスタイルでもあった。
UKではデビュー・アルバムとしては異例のセールスを記録し、ティーン・マガジンを中心にカリスマ的な人気を博した。

米国では『When the Lights Go Out』がヒットチャート入りを果たすなど、英ボーイバンドとしては珍しい成功を収めたことも特筆に値する。
近年では、90年代・00年代リバイバルの文脈で再評価が進み、当時を知るファン層からは「青春の象徴」として語られている。

音楽的にも「単なるアイドルではなく、プロダクションの水準が高い」という評価が増えており、懐古とともに音楽的再評価も進んでいる。

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