イントロダクション
The Stone Roses(ストーン・ローゼズ)は、1980年代後半から90年代初頭のイギリス音楽シーンを象徴するバンドである。彼らはマンチェスターから登場し、いわゆる「マッドチェスター・ムーブメント」の中心に位置づけられた存在だ。
サイケデリックなギターとダンサブルなリズム、そしてキャッチーなメロディを融合させたその音楽は、90年代ブリットポップの源流ともなり、オアシスをはじめ多くの後続バンドに多大な影響を与えた。
バンドの背景と歴史
The Stone Rosesは1983年にイアン・ブラウン(Vo)とジョン・スクワイア(Gt)を中心に結成された。地元マンチェスターのクラブシーンで活動を重ねながら、次第に注目を集め、1989年に発表したセルフタイトル・アルバム『The Stone Roses』によって一躍時代の寵児となる。
その後、長期間の法廷闘争やレーベルとの軋轢を経て1994年にセカンドアルバム『Second Coming』を発表。しかし当時の期待値の高さに比べ、評価は賛否が分かれることとなった。1996年のレディング・フェスティバル出演を最後にバンドは解散。その後2012年には再結成を果たし、再びファンを熱狂させた。
音楽スタイルと影響
彼らの音楽は、サイケデリック・ロック、ジャングル・ビート、ファンク、ポップを絶妙に混ぜ合わせた独自のスタイルに特徴がある。ジョン・スクワイアの流麗でアートフルなギタープレイ、イアン・ブラウンの気だるくもカリスマ性のあるヴォーカル、そしてリズム隊(マニとレニ)のグルーヴが絶妙に絡み合う。
影響を受けたアーティストとしてはThe ByrdsやThe Jimi Hendrix Experienceが挙げられ、彼ら自身もまた、Oasis、Blur、The Verveなど後のUKロックの世代に決定的な影響を与えている。
代表曲の解説
アルバム冒頭を飾る代表曲で、ミニマルなベースリフからゆっくりと盛り上がる構成が印象的だ。欲望や憧れへの渇望をシンプルなフレーズで歌い上げることで、バンドの姿勢を象徴している。
軽快なギターリフとキャッチーなメロディが融合し、青春の高揚感を思わせる一曲。ライヴでの盛り上がりは格別であり、彼らのポップセンスを物語る。
9分以上に及ぶジャムセッションのようなグルーヴィーな楽曲。ファンクとロックを融合した実験的な一曲であり、マンチェスターのクラブカルチャーと密接に結びついている。
アルバムごとの進化
The Stone Roses (1989)
デビュー作にして金字塔。英国ロック史に残る傑作と評され、後のオルタナティヴ・ロックやブリットポップの指針となった。
Second Coming (1994)
ブルースやレッド・ツェッペリン的なハードロック要素を前面に押し出した作品。ギタリスト、ジョン・スクワイアのクリエイティビティが強く反映されているが、ファンの間では賛否両論が激しい。
影響を受けたアーティストと音楽
彼らは60年代のサイケデリック・ロック、ソウル、ファンクの要素を吸収していた。特にThe Byrdsの jangly なギターサウンドや、ファンク的リズムは彼らの音楽に強く刻まれている。
影響を与えたアーティストと音楽
The Stone Rosesが撒いた種は、90年代のブリットポップとして大きく開花する。Oasisはその最も典型的な後継者であり、Noel Gallagherは彼らを敬愛してやまなかった。他にもKasabianやThe Charlatansなど、多くのバンドが彼らの音楽的遺産を引き継いでいる。
オリジナル要素と逸話
彼らのアルバムジャケットにはジョン・スクワイア自身が手掛けたジャクソン・ポロック風のアートワークが使われており、音楽と美術が密接に結びついていた。また、ライヴでは「観客がステージに雪崩れ込む」熱狂的な光景も日常茶飯事で、当時のカリスマ性を象徴していた。
まとめ
The Stone Rosesは、わずか2枚のオリジナルアルバムしか残していないにもかかわらず、英国ロック史に燦然と輝く伝説的な存在である。彼らの音楽には、青春の高揚感と時代の空気が凝縮されており、今なお新たなリスナーを魅了し続けているのだ。
彼らの音を聴くと、マンチェスターの曇り空の下で熱狂する群衆の姿が浮かび上がってくるように思える。それこそがThe Stone Rosesの魔法なのだ。
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