発売日: 1980年6月30日
ジャンル: ロック、ポップロック、ディスコロック
Queenの8作目となるアルバム『The Game』は、1980年代に向けたバンドの新たな挑戦を示す作品だ。これまでの華麗なロックオペラのスタイルから一転し、ポップロックやディスコ、ファンクといった新しい要素を大胆に取り入れている。本作は、アナログシンセサイザーを初めて使用した点でも特筆される。これによりサウンドがより洗練され、ダンサブルな要素が加わった。
このアルバムには、Queen初の全米No.1ヒット曲「Another One Bites the Dust」と、爽やかな「Crazy Little Thing Called Love」が収録されており、彼らの商業的成功をさらに確立した作品である。プロデュースはメンバー自身とラインホルト・マックによるもので、シンプルながらもスタイリッシュなアプローチが光る。
『The Game』は、ロックバンドとしてのアイデンティティを保ちながらも、新しい音楽のトレンドに適応し、成功を収めたアルバムだ。多様なジャンルが融合した本作は、まさに「ゲーム」に勝利したQueenの自信が感じられる。
トラックごとの解説
1. Play the Game
アルバムの幕開けを飾るこのバラードは、フレディ・マーキュリーの感情豊かなボーカルが際立つ一曲だ。シンセサイザーを使用した壮大なイントロが印象的で、愛をテーマにした普遍的な歌詞が心に響く。
2. Dragon Attack
ブライアン・メイ作曲のファンクロック調のナンバー。重厚なベースラインとギターリフがリードするクールなトラックで、ジャムセッションのような即興感が楽しい。ライブでも盛り上がる楽曲の一つ。
3. Another One Bites the Dust
ジョン・ディーコンが生み出したディスコファンクの傑作。ベースラインが曲の核となり、ミニマルな構成が際立つ。歌詞はシンプルだが、挑発的で力強い。全米No.1を記録したこの曲は、Queenの新境地を切り開いた。
4. Need Your Loving Tonight
ジョン・ディーコン作曲のキャッチーなポップロックナンバー。軽快なリズムと甘いメロディが印象的で、歌詞は恋愛の高揚感を描いている。アルバムの中で最も親しみやすい一曲。
5. Crazy Little Thing Called Love
フレディ・マーキュリーが作詞作曲した50年代風のロカビリー調の楽曲。アコースティックギターをメインにしたシンプルなアレンジが魅力で、エルヴィス・プレスリーへのオマージュを感じさせる。全米No.1ヒットとなった。
6. Rock It (Prime Jive)
ロジャー・テイラーが手がけたロックンロールナンバー。静かなイントロから一気に加速する展開がスリリングで、パワフルなドラムとエネルギッシュなボーカルが耳に残る。
7. Don’t Try Suicide
フレディ・マーキュリーが手がけた異色のトラック。軽快なテンポとシリアスなテーマの対比がユニークで、曲全体にブラックユーモアが漂う。ギターとベースの絡みが秀逸。
8. Sail Away Sweet Sister
ブライアン・メイがボーカルを担当したバラード曲。メロディの美しさと叙情的な歌詞が際立つ。アルバムの中で隠れた名曲ともいえる存在で、切ない余韻を残す。
9. Coming Soon
ロジャー・テイラーが作詞作曲した軽快なロックナンバー。ポップで明るいサウンドが特徴で、アルバム全体のバランスを整える重要な役割を果たしている。
10. Save Me
アルバムのラストを飾るこのバラードは、ブライアン・メイによる楽曲で、失恋の痛みを歌った感動的な作品。壮大なアレンジとフレディのエモーショナルな歌声が見事にマッチしており、アルバムの締めくくりにふさわしい。
アルバム総評
『The Game』は、Queenが1980年代に向けて新たな音楽的方向性を切り開いた作品である。ポップで洗練された楽曲から、ディスコやファンクの要素まで、多彩なサウンドが詰め込まれている。アルバム全体のまとまりが良く、どの曲も個性が際立っている。このアルバムは、Queenが進化を恐れず、挑戦を続けるバンドであることを証明している。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Let’s Dance by David Bowie
ディスコロックとファンクの融合が特徴で、『The Game』のポップな側面に共通点がある。
Off the Wall by Michael Jackson
ディスコとファンクが融合したエネルギッシュな楽曲が楽しめる。特に「Another One Bites the Dust」が好きな人にはおすすめ。
Abbey Road by The Beatles
ポップとロックの絶妙なバランスが感じられるアルバムで、Queenの音楽性と共鳴する部分が多い。
Tusk by Fleetwood Mac
多様なジャンルが交錯する作品で、実験的なサウンドが『The Game』に通じる。
Goodbye Yellow Brick Road by Elton John
ジャンルを越えた楽曲の豊富さとポップな感覚が共通しており、アルバム全体を楽しめる。
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