発売日: 1971年2月10日
ジャンル: ソフトロック、フォーク、シンガーソングライター
『Tapestry』は、Carole Kingのキャリアにおける金字塔ともいえる作品であり、1970年代を代表するアルバムの一つである。Kingはもともと作詞作曲家として活躍し、多くのヒット曲を提供していたが、このアルバムで自身のパフォーマーとしての才能を世界に知らしめた。プロデューサーはLou Adlerが担当し、シンプルながらも情感豊かなアレンジと、Kingの心に響く歌声が絶妙に組み合わされている。
アルバムには、「It’s Too Late」や「You’ve Got a Friend」といった世界的なヒット曲が含まれており、フォークやソフトロックの要素を基調とした音楽性が特徴だ。歌詞のテーマは愛、失恋、自立、そして人生のさまざまな局面に触れており、リスナーに普遍的な共感を呼び起こす内容となっている。1972年のグラミー賞で主要4部門を受賞したこのアルバムは、今なお多くのリスナーに愛され続けている。
トラック解説
1. I Feel the Earth Move
アルバムの幕開けを飾る、アップテンポでソウルフルなナンバー。ピアノの力強いリズムが楽曲を引っ張り、Kingのエネルギッシュな歌声が印象的だ。愛の情熱を象徴する歌詞とグルーヴ感のあるサウンドが融合した一曲で、聴く者の心を掴む。
2. So Far Away
優しいピアノと切ない歌声が心に染み入るバラード。遠く離れた愛する人を思う歌詞が特徴で、孤独感と同時に希望が感じられる。Kingの歌詞はシンプルながらも普遍的なテーマを持ち、誰もが共感できる内容だ。
3. It’s Too Late
アルバムを代表する楽曲であり、大ヒットを記録したナンバー。愛の終わりを淡々と受け入れる歌詞が大人の視点で描かれている。軽快なピアノとジャズの要素を取り入れたアレンジが楽曲の深みを増しており、リスナーに強い印象を与える。
4. Home Again
郷愁を感じさせる美しいバラード。ピアノと弦楽器のシンプルな伴奏がKingの歌声を引き立てている。愛する場所や人への思いを歌った歌詞が印象的で、心温まる楽曲だ。
5. Beautiful
自己肯定と自立をテーマにした前向きな楽曲。「自分自身の美しさを信じること」というメッセージが込められており、元気を与えるナンバーだ。軽快なメロディーと明るい歌声が一体となっている。
6. Way Over Yonder
ゴスペルの要素を取り入れたスローなバラード。Kingの深みのある歌声と、希望に満ちた歌詞が心に響く。ピアノとサックスの伴奏が楽曲に豊かな表情を加えている。
7. You’ve Got a Friend
James Taylorによっても歌われた名曲で、友情の大切さをテーマにした歌詞が特徴だ。Kingのバージョンでは、ピアノの優しい伴奏と歌声が、楽曲全体に親密な雰囲気を与えている。シンプルながらも非常に感動的な一曲。
8. Where You Lead
愛する人のためにどこまでもついていくというテーマを持つ軽快な楽曲。明るいメロディーと力強い歌声が、リスナーに元気を与える。のちにテレビドラマ「ギルモア・ガールズ」のテーマ曲としても採用された。
9. Will You Love Me Tomorrow?
The Shirellesのヒット曲として知られる楽曲を、Kingが自身のアレンジでセルフカバー。オリジナルとは異なり、ピアノと歌声を中心にしたシンプルなアレンジが楽曲に深い感情を与えている。
10. Smackwater Jack
アップテンポでユーモラスなストーリーソング。ブルースとフォークが融合した楽曲で、アルバムの中でも異色の一曲だ。エネルギッシュな演奏が際立っている。
11. Tapestry
アルバムタイトル曲であり、人生の複雑さと美しさを象徴する内容が歌われている。神秘的な歌詞と静かなメロディーが心に残る一曲で、Kingの詩的な才能が光る。
12. (You Make Me Feel Like) A Natural Woman
Aretha Franklinのために書かれた名曲を、King自身が歌ったセルフカバー。女性としての自信と喜びが表現された歌詞と、力強い歌声が感動的だ。
アルバム総評
『Tapestry』は、Carole Kingのシンガーソングライターとしての才能を余すところなく発揮したアルバムであり、そのシンプルで普遍的なメッセージは、時代を超えて多くのリスナーに愛されている。愛、友情、人生の苦楽といったテーマが詩的に表現されており、リスナーに深い感動を与える。特に「It’s Too Late」や「You’ve Got a Friend」といった楽曲は、Kingの卓越した作曲能力と人間性を象徴するものと言えるだろう。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Sweet Baby James by James Taylor
Kingと親交が深いTaylorの名盤。フォークとアコースティックサウンドが共通点で、心温まる雰囲気を楽しめる。
Blue by Joni Mitchell
内省的で感情豊かな歌詞とメロディーが特徴。Kingの繊細な音楽が好きな人にはぴったり。
Court and Spark by Joni Mitchell
ジャズの要素を取り入れたMitchellの名作。Kingの音楽と共通する洗練された雰囲気が魅力的。
Rumours by Fleetwood Mac
ポップでキャッチーなメロディーと人間関係のドラマを描いた歌詞が特徴。『Tapestry』のリスナーにも共感を呼ぶ内容。
After the Gold Rush by Neil Young
フォークと内省的な歌詞が融合したアルバム。Kingの音楽に共鳴するような深みがある作品。
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