発売日: 1981年2月17日
ジャンル: ロカビリー / ロックンロール
1981年にリリースされたStray CatsのセルフタイトルデビューアルバムStray Catsは、1980年代にロカビリー・リバイバルを引き起こした象徴的な作品だ。ニューヨーク出身のブライアン・セッツァー（ギター・ボーカル）、リー・ロッカー（ベース）、スリム・ジム・ファントム（ドラム）の3人組が繰り広げるサウンドは、50年代のロカビリーとモダンなロックのエネルギーを融合させたもの。彼らはイギリスで先にブレイクし、同国のプロデューサー、デイヴ・エドモンズの協力を得てこのアルバムを制作した。
このアルバムには、クラシックなロカビリーのエッセンスと、当時のポストパンクのエネルギーが絶妙にミックスされている。スタンドアップベースのスラップ奏法、シンプルながらも力強いドラム、セッツァーの卓越したギターワークとカリスマ的なボーカルが相まって、古さと新しさが共存する唯一無二のサウンドが生まれた。
トラック解説
1. Runaway Boys
アルバムの幕開けを飾るこの楽曲は、疾走感溢れるリズムとキャッチーなメロディが特徴。少年の冒険心や反抗心を歌った歌詞と、スリリングなギターワークが聴き手を一気に引き込む。
2. Fishnet Stockings
ロカビリーのセクシーな一面を描いた楽曲。セッツァーのギターソロが際立ち、アップテンポなビートがダンスフロアを熱狂させる一曲。
3. Ubangi Stomp
クラシックなロカビリーカバー曲で、バンドのルーツへの敬意が込められている。スラップベースとエネルギッシュなドラムが楽曲を支えており、彼らの演奏力が存分に発揮されている。
4. Jeanie, Jeanie, Jeanie
軽快なロックンロールナンバーで、明るいメロディとノスタルジックな雰囲気が漂う。50年代ロカビリーへのオマージュが感じられる楽曲。
5. Storm the Embassy
アルバム中でも異色の楽曲で、政治的なテーマを取り扱っている。緊張感のある歌詞と攻撃的なギターワークが際立つ。
6. Rock This Town
Stray Catsを代表する楽曲の一つで、アルバムのハイライト。エネルギッシュなロカビリーサウンドと、夜の街での高揚感を描いた歌詞が融合した傑作だ。セッツァーのギターソロは圧巻。
7. Rumble in Brighton
ブライトンの暴動をテーマにしたこの楽曲は、物語性のある歌詞とスリリングなサウンドが魅力。ベースとドラムのコンビネーションが抜群で、アルバムの中でも特にダイナミックな一曲。
8. Stray Cat Strut
アルバムを象徴するもう一つの代表曲で、ジャジーな要素が加わったロカビリーの名曲。セッツァーのメロウなボーカルと独特のギターワークが光り、都会の孤独感を表現した歌詞も印象的だ。
9. Crawl Up and Die
荒々しいエネルギーが詰まった楽曲で、シンプルなリズムと挑発的なボーカルが特徴的。ライブでの盛り上がりを想像させる一曲。
10. Double Talkin’ Baby
古典的なロカビリーサウンドを現代風にアレンジした楽曲。軽快なリズムと遊び心のあるギターソロが楽しい。
11. My One Desire
アルバムの中で比較的落ち着いた楽曲で、感傷的なメロディが印象的。バンドの柔軟な表現力を示している。
12. Wild Saxophone
タイトル通りサックスが活躍する楽曲で、ロカビリーとジャズの融合がユニーク。最後を飾るにふさわしいエネルギッシュな一曲。
アルバム総評
Stray Catsは、50年代ロカビリーのエッセンスを80年代に蘇らせた名作であり、当時の音楽シーンに鮮烈な印象を残した。スタンドアップベースのスラップ音、セッツァーのギターテクニック、そして独特のファッションスタイルが組み合わさり、音楽だけでなくカルチャーとしても大きなインパクトを与えた。特に「Rock This Town」や「Stray Cat Strut」は、今なお多くの人々に愛されるロカビリーのクラシックだ。
このアルバムは、単なるノスタルジーにとどまらず、新鮮でエネルギッシュなサウンドとして、時代を超えて聴き継がれる価値を持っている。ロカビリー好きだけでなく、ロックファン全般にとっても必聴の一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Built for Speed by Stray Cats
アメリカでリリースされた編集盤で、本作と次作からの楽曲が収録されており、Stray Catsの代表作として知られる。
Elvis Presley by Elvis Presley
ロカビリーの元祖ともいえるアルバム。Stray Catsのルーツが感じられる名盤。
Rum, Sodomy & the Lash by The Pogues
ロカビリーではないが、伝統音楽を現代風にアレンジした点で共通点がある。エネルギッシュなパフォーマンスも魅力。
Grease (Soundtrack)
50年代のロカビリーとロックンロールを集めたサウンドトラック。Stray Cats好きにはたまらない。
Rant N’ Rave with the Stray Cats by Stray Cats
Stray Catsの3作目で、さらにパワフルなロカビリーサウンドが楽しめる。名曲「(She’s) Sexy + 17」も収録。
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