発売日: 1968年10月
ジャンル: ハードロック / サイケデリックロック
Steppenwolfのセカンドアルバム「Steppenwolf The Second」は、彼らのデビュー作に続く作品であり、ハードロックとサイケデリックロックをさらに深化させた内容となっている。このアルバムは、彼らの代表曲「Magic Carpet Ride」を収録し、バンドがより実験的で多彩なサウンドを追求したことが感じられる。荒々しいエネルギーと大胆なギターリフが引き続き主軸にありながらも、ブルース、サイケデリック、フォークの要素が随所に見られる。リリース当時、ロックシーンにおいてSteppenwolfが確固たる地位を築くこととなった一枚である。
各曲ごとの解説:
1. Faster Than the Speed of Life
アルバムの幕開けを飾る「Faster Than the Speed of Life」は、スピーディーでエネルギッシュなロックナンバー。ギターリフが前面に出た攻撃的なサウンドが特徴で、ジョン・ケイの強烈なボーカルが曲全体を引っ張る。力強い演奏がアルバムのスタートにふさわしいテンションを提供している。
2. Tighten Up Your Wig
「Tighten Up Your Wig」は、ブルースの影響が色濃く出たトラック。歪んだギターとブラスセクションが絡み合い、ファンキーでグルーヴィーなリズムが展開される。ワイルドな歌詞とラフなサウンドが、バンドの自由奔放なスタイルを象徴している。
3. None of Your Doing
「None of Your Doing」は、メロディアスなギターとドラムのリズムが特徴的な楽曲。重厚なリフと、ややミステリアスな雰囲気を持った歌詞が、サイケデリックなエッセンスを加えている。ジョン・ケイのボーカルは深みがあり、力強く響く。
4. Spiritual Fantasy
「Spiritual Fantasy」は、アコースティックギターを主体としたフォーク的な楽曲で、バンドのサイケデリックな側面が際立つ一曲。優しく繊細なアレンジが施されており、アルバムの中でも異色のトラック。ジョン・ケイのボーカルも穏やかで、夢のような幻想的な雰囲気が漂う。
5. Don’t Step on the Grass, Sam
「Don’t Step on the Grass, Sam」は、マリファナの合法化をテーマにした反体制的な楽曲で、ユーモラスかつ批判的な歌詞が特徴。サイケデリックなギターリフと重厚なビートが曲を彩り、社会への不満を表現している。アルバムの中でもメッセージ性の強いトラックだ。
6. 28
「28」は、ブルージーなギターワークが印象的なミッドテンポのナンバー。歌詞は個人的な葛藤や感情を描いており、ギターのサウンドがその感情を巧みに表現している。バンドのハードロックらしさと、ブルースの融合が見事に実現している一曲だ。
7. Magic Carpet Ride
このアルバムのハイライトであり、Steppenwolfの最も有名な曲の一つ「Magic Carpet Ride」。サイケデリックロックの名曲で、幻想的な歌詞と躍動感あふれるギターリフが特徴的。曲全体にわたって浮遊感のあるサウンドが繰り広げられ、ロックとサイケデリックの融合が見事に達成されている。後に多くの映画やメディアで使用され、バンドの代表作として広く知られている。
8. Disappointment Number (Unknown)
「Disappointment Number (Unknown)」は、ミステリアスで憂鬱な雰囲気を持つ楽曲。静かなイントロから徐々にビルドアップしていく構成がドラマティックで、感情的なボーカルとリフレインされるギターメロディが印象的だ。
9. Lost and Found by Trial and Error
「Lost and Found by Trial and Error」は、ジャズやブルースの影響が感じられるトラックで、複雑なリズムパターンが展開される。サイケデリックな要素とブルースの融合が巧妙で、バンドの音楽的多様性を示している。
10. Hodge, Podge, Strained Through a Leslie
この曲は、インストゥルメンタルのジャムセッション的な楽曲で、サイケデリックなサウンドが主軸にある。シンセサイザーやギターが即興的に絡み合い、実験的な雰囲気が漂うトラックだ。
11. Resurrection
「Resurrection」は、スローなテンポで進行する重厚なロックバラード。感情的な歌詞と壮大なギターワークが特徴で、深みのある演奏がリスナーを引き込む。アルバムの後半にふさわしいドラマティックな楽曲だ。
12. Reflections
アルバムのラストを飾る「Reflections」は、穏やかで美しいサウンドスケープを持つバラード。静かに始まり、感情的に高まる展開が見事で、アルバム全体をまとめるようなフィナーレとなっている。ジョン・ケイの歌声が特に優しく、印象的な余韻を残す。
アルバム総評:
「Steppenwolf The Second」は、バンドがデビュー作で見せたロックの荒々しさに加えて、サイケデリックな要素やブルース、フォークを取り入れ、より多彩で深みのあるサウンドを展開している。特に「Magic Carpet Ride」はアルバムのハイライトであり、バンドの代表曲として後世に語り継がれるだろう。このアルバムは、ハードロックのパイオニアとしてのSteppenwolfの立ち位置を確固たるものにした作品である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Surrealistic Pillow by Jefferson Airplane
サイケデリックロックの名盤で、幻想的なサウンドが「Magic Carpet Ride」に通じる。1960年代後半のロックシーンを象徴する一枚。 - Disraeli Gears by Cream
ブルースロックとサイケデリックの融合が特徴のアルバム。Steppenwolfのギターワークと共通点が多い。 - Electric Ladyland by The Jimi Hendrix Experience
ジミ・ヘンドリックスの代表作で、ギターサウンドの革新性が光る。Steppenwolfのサイケデリックな要素を楽しめるファンに最適。 - Anthem of the Sun by Grateful Dead
実験的なサウンドとサイケデリックな要素が詰まったアルバムで、Steppenwolfの自由な音作りに通じる部分が多い。 - In-A-Gadda-Da-Vida by Iron Butterfly
ヘヴィなリフとサイケデリックな雰囲気が融合した作品で、Steppenwolfのファンにおすすめのアルバム。
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