アルバムレビュー：Some of My Best Jokes Are Friends by George Clinton

アルバムレビュー

2025.03.17

発売日: 1985年**
ジャンル: ファンク、Pファンク、エレクトロファンク

時代の変化に挑んだ80年代Pファンク—George Clintonの新たな実験作
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総評
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時代の変化に挑んだ80年代Pファンク—George Clintonの新たな実験作

1985年にリリースされたSome of My Best Jokes Are Friendsは、George Clintonのソロ3作目にあたるアルバムであり、80年代中期におけるPファンクの進化と変化を象徴する作品となった。

前作You Shouldn’t-Nuf Bit Fish（1983年）では、シンセサイザーとエレクトロファンクの要素を強め、Pファンクの新たな方向性を探ったが、本作ではさらにニューウェーブやポップファンクの要素を加え、より洗練されたプロダクションを展開している。当時、PrinceがPurple Rain（1984年）でファンクとポップの融合を成功させ、ZappやCameoもエレクトロファンクの領域を広げていた。Clintonはそれらの流れを意識しながら、自身のPファンク・サウンドを再構築しようと試みたアルバムと言える。

全曲レビュー

1. Double Oh-Oh

アルバムの幕開けを飾るエレクトロファンク・トラック。ダンサブルなビートとシンセベースが特徴で、80年代のクラブシーンを意識したサウンドになっている。タイトルは「007（ダブルオーセブン）」をもじったもので、遊び心のあるスパイ映画的なムードが漂う。

2. Bullet Proof

エレクトロファンクとニューウェーブの要素を融合させた楽曲。鋭いシンセリフとリズムセクションが強調され、当時のダンスミュージックに通じるアレンジが施されている。政治的な比喩を含む歌詞が特徴的。

3. Pleasures of Exhaustion (Do It ’Til You Drop)

ミッドテンポのグルーヴィーなナンバー。タイトルが示す通り、「疲れ果てるまでやり続ける」ことをテーマにしており、パーティー文化と消費社会への風刺を感じさせる。ベースラインが特徴的で、リズムが徐々に変化する構成が面白い。

4. Bodyguard

ファンクとポップのバランスが取れた楽曲で、シンプルながらも印象的なフックを持つ。クラブ向けのプロダクションが際立ち、PrinceやCameoの影響を感じさせるサウンドになっている。

5. Bang Bang

リズミカルなパーカッションと、Pファンクらしいコール＆レスポンスが楽しいナンバー。タイトル通り、ガンショットを模したサウンドエフェクトが特徴的で、ファンクの遊び心が詰まった一曲。

6. Thrashin’

アルバムの中で最もロック色が強い楽曲。ファンクとハードロックを融合させ、ギターリフが前面に押し出されたサウンドになっている。当時流行していたクロスオーバー・スタイルを取り入れた試みで、後のファンクメタルの流れにも繋がる。

7. Some of My Best Jokes Are Friends

アルバムのタイトル曲であり、最もPファンクらしいトラックの一つ。スローなグルーヴとサイケデリックなコーラスが特徴で、Parliament時代のサウンドを彷彿とさせる。政治的なテーマを含む歌詞があり、80年代の社会情勢に対するClintonの視点が反映されている。

8. Spot Lite

アルバムのラストを飾る、シンセポップ風の楽曲。ファンクの要素を持ちつつも、よりメロディックで軽快なサウンドが印象的。80年代中盤のR&Bやシンセファンクの流れを意識したスタイルになっている。

総評

Some of My Best Jokes Are Friendsは、80年代の音楽シーンに適応しようとしたPファンクの新たな試みを象徴する作品である。エレクトロファンクやニューウェーブ、ポップの要素を加えることで、従来のPファンクとは異なる方向性を打ち出しており、George Clintonが時代の変化に柔軟に対応しようとしていたことが分かる。

しかし、過去のPファンクの壮大な世界観やコンセプトの明確さに比べると、ややまとまりに欠ける部分もある。とはいえ、ファンクの枠を超えて、ポップやロックとの融合を試みた点は評価に値し、80年代の音楽シーンのトレンドを反映した作品として興味深い。

また、本作で試みたサウンドは、後のGファンクやヒップホップのビートに影響を与え、Clintonの音楽がどのように進化し続けたかを知る上で重要な作品である。