発売日: 2019年10月25日
ジャンル: インディーロック、フォークロック、ガレージロック
Seekerは、Mikal Croninの4作目のスタジオアルバムであり、これまでのガレージロックやパワーポップから一歩進み、より成熟したフォークロックのエッセンスが取り入れられた作品である。アルバム全体には、内省的で穏やかなトーンと、クローニンが自然の中で見つけた静けさが反映されており、サウンド面でも過去の作品に比べてシンプルかつ落ち着いた印象が強い。この作品は、クローニンがカリフォルニアの山間の小屋にこもりながら制作したもので、孤独や再生のテーマが音楽に大きく影響を与えている。
プロデューサーには、Ty Segallとのコラボレーションでも知られるRob Schnapfを迎え、より緻密で多彩な音のアレンジが施されている。シングル「Show Me」や「Feel It All」など、ソウルフルでエモーショナルな楽曲が揃い、クローニンの歌声とともに心に残るメロディが印象的だ。Seekerは、クローニンの成長と変化を象徴する一枚であり、彼がアーティストとして次のステージに進んだことを感じさせる作品である。
トラックごとの解説
1. Shelter
アルバムの幕開けを飾る穏やかなトラックで、優しくも深いメロディが心に響く。自然や平穏を感じさせるサウンドが特徴で、アルバムのテーマである「癒し」や「再生」を予感させる。
2. Show Me
リードシングルで、クローニンのソウルフルなボーカルが際立つ一曲。内面の葛藤と求める気持ちが歌詞に込められており、リズミカルなビートが耳に残る。
3. Feel It All
フォークロックの要素が強い楽曲で、静かでありながら力強いボーカルが印象的。感情がゆっくりと高まっていく構成が、心に深い余韻を残す。
4. Fire
ダイナミックなギターリフが特徴のロックトラックで、エネルギッシュなサウンドがクローニンの情熱を表現している。火をテーマにしたリリックが印象的。
5. Sold
スローテンポでメランコリックなトラックで、喪失や悲しみがテーマ。シンプルなギターとクローニンの切ないボーカルが、曲の深い感情を際立たせている。
6. Show Me II
前半の「Show Me」の続編的なトラックで、エレクトリックギターとドラムが印象的に響く。テーマの深みがさらに増しており、クローニンの自己探求が感じられる。
7. Guardian Well
アップテンポでポップなサウンドが特徴の一曲。希望と信念を歌ったリリックが、明るいメロディと調和している。
8. Lost a Year
ややダークなトーンのバラードで、孤独感や過ぎ去った時間に対する後悔が歌われている。静けさの中に力強い感情が宿る楽曲。
9. Caravan
フォーク的なギタープレイが光る楽曲で、長い旅や探索がテーマとなっている。クローニンのシンプルで味わい深い歌唱が曲を一層引き立てている。
10. On the Shelf
アルバムの最後を飾るスローバラードで、静けさの中に深い感情が込められている。過去の自分と決別し、新たな一歩を踏み出す決意が感じられる。
アルバム総評
Seekerは、Mikal Croninがこれまでのサウンドからさらに一歩踏み出し、より内省的で成熟した音楽を届けているアルバムである。自然や静けさにインスパイアされたサウンドは、フォークロックとインディーロックが絶妙に融合し、クローニンの成長したアーティストとしての姿が垣間見える。感情を抑えた穏やかなトーンと、シンプルながらも洗練されたメロディが魅力的で、リスナーに深い癒しと共感を与える作品である。Seekerは、クローニンのキャリアの中で新たな一歩を踏み出した重要な作品として、今後の方向性を示す一枚と言えるだろう。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Salad Days by Mac DeMarco
穏やかで内省的な雰囲気が共通しており、メロディアスでリラックスしたサウンドが楽しめる。
To Be Still by Alela Diane
フォークロックの美しいメロディと内省的な歌詞が魅力で、Seekerの自然を感じさせるトーンに共鳴する。
Push the Sky Away by Nick Cave & The Bad Seeds
静かで深みのある楽曲が多く、内面的な探求をテーマにしたリリックが印象的。Seekerの内省的な側面に響く。
Sleeper by Ty Segall
タイ・セガールによるアコースティックで内省的なアルバムで、クローニンの穏やかなサウンドと親和性が高い。
Fear Fun by Father John Misty
フォークとインディーロックが融合した作品で、自然や人生観をテーマにしたリリックが楽しめる。Seekerの感情的な深さに共通する一枚。
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