発売日: 2018年10月25日
ジャンル: ドリームポップ / シンセポップ / アンビエントソウル
「Salt」は、Mr Twin Sisterがさらなる音楽的な進化を遂げた3作目のアルバムであり、ジャンルを超えたサウンドと洗練された感性が光る作品だ。エレクトロ、アンビエントソウル、ドリームポップ、ジャズなど、多様な音楽要素を融合させたこのアルバムは、バンドの冒険的な姿勢と独自の美学を体現している。
アルバム全体に漂うムーディーで官能的なトーンは、Andrea Estellaの神秘的なボーカルによってさらに際立つ。歌詞は愛、孤独、自己表現、社会的なアイデンティティに焦点を当てており、親密でありながらも普遍的なテーマを扱っている。アルバムタイトル「Salt」には、シンプルでありながらも生命を支える重要な要素としての意味合いが込められており、楽曲にもその多層的なテーマが反映されている。
各トラック解説
1. Keep on Mixing
アルバムの幕開けを飾るダウンテンポなエレクトロトラック。深みのあるビートとAndreaの柔らかなボーカルが、リスナーを夢見心地の世界へと引き込む。歌詞は、混沌とする世界の中でバランスを保つことの難しさを描いている。
2. Buy to Return
ファンキーなベースラインとソウルフルなリズムが際立つ楽曲。消費主義社会への皮肉が込められた歌詞が、キャッチーなメロディに乗せて展開される。
3. Alien FM
タイトルが示す通り、異星的で不穏な雰囲気を持つトラック。ミニマルなビートとエコーの効いたボーカルが、孤独感や疎外感を象徴している。
4. Koh-I-Noor
エキゾチックなサウンドと幻想的なアレンジが特徴のトラック。宝石に例えられる愛や欲望が歌詞に描かれており、神秘的でドラマチックな雰囲気を醸し出している。
5. Tops and Bottoms
ディスコとジャズを融合させたトラックで、洗練されたサウンドが心地よい。歌詞では力関係やアイデンティティの問題を取り上げ、現代社会への鋭い洞察が込められている。
6. Diana
アルバムの中でも特に感情的な一曲。ピアノを主体としたシンプルなアレンジがAndreaのボーカルを引き立て、切ない歌詞がリスナーの心を揺さぶる。
7. Taste in Movies
軽快なリズムとリズミカルなギターが特徴のトラック。愛や個性をテーマにした歌詞が、Twin Sisterらしいユーモラスな視点で描かれている。
8. Set Me Free
アルバムのクライマックスを飾る壮大なトラック。解放感と希望をテーマにした歌詞が、高揚感のあるサウンドに乗せて届けられる。
アルバム総評
「Salt」は、Mr Twin Sisterがこれまでの音楽的旅路で得た経験を凝縮し、さらに未来へと進むための重要な一歩を示したアルバムだ。ムーディーでアンビエントなサウンド、ソウルフルなリズム、そしてAndrea Estellaの神秘的なボーカルが絶妙なバランスで融合している。歌詞には、現代社会や個人の感情に対する洞察が込められ、楽曲ごとに異なる物語が展開される。特に「Buy to Return」や「Diana」のような楽曲は、彼らの音楽的な多様性と深みを示しており、バンドの成熟を強く感じさせる。リスナーを異世界に誘うようなこの作品は、Mr Twin Sisterの真骨頂と言えるだろう。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Devotion by Beach House
幻想的で内省的なドリームポップの名盤。「Salt」と同様に美しい音響空間が楽しめる。
Honey by Robyn
洗練されたディスコとソウルが融合した作品で、「Tops and Bottoms」のようなファンキーな要素が好きな人におすすめ。
Psychic by Darkside
アンビエントとエレクトロニカの融合が特徴で、「Salt」の実験的なサウンドに共通する。
What’s Your Pleasure? by Jessie Ware
ムーディーで洗練されたディスコサウンドが魅力的で、Mr Twin Sisterのファンにぴったり。
A Seat at the Table by Solange
社会的テーマとソウルフルなアレンジが融合したアルバムで、「Salt」の内省的な歌詞に共鳴する作品。
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