発売日: 2017年11月17日
ジャンル: プログレッシブロック、サイケデリックロック
オーストラリアのサイケデリックロックバンドKing Gizzard & the Lizard Wizardによる「Polygondwanaland」は、バンドの創造性と実験的な精神が色濃く反映されたアルバムである。この作品は2017年にリリースされた5作のうちの4枚目で、プログレッシブロック、ポリリズム、変拍子、複雑な楽曲構成が際立っている。また、このアルバムは「フリーアルバム」としてリリースされ、バンドがファイルを無料で公開し、リスナーが自由にダウンロード・制作・販売できる形をとったことも話題を呼んだ。
「Polygondwanaland」のテーマには、失われた大陸や神話的な世界観が含まれており、サウンドもダークで神秘的な雰囲気を漂わせる。プログレッシブロックの複雑な構成と、サイケデリックロックの浮遊感が絶妙に融合し、アルバム全体が一つの壮大な物語のように展開する。繰り返されるリフや多重レイヤーのサウンドがリスナーを夢幻的な世界へと誘い、King Gizzardならではの独創的な音楽体験を提供している。
各曲解説
1. Crumbling Castle
10分を超える大作である「Crumbling Castle」は、アルバムの幕開けにふさわしい壮大な楽曲。繰り返されるギターリフとポリリズムが特徴的で、複雑なリズムとメロディが絡み合う。ディストピア的なテーマが神秘的なサウンドで表現され、リスナーを幻想的な城の中へと誘うような一曲だ。
2. Polygondwanaland
タイトル曲の「Polygondwanaland」は、神秘的なリフとゆったりとしたテンポが印象的。浮遊感のあるサウンドスケープが広がり、異世界を旅するような感覚が味わえる。複雑なリズムと変拍子が融合し、実験的な要素が強調されている。
3. The Castle in the Air
ダークで幻想的なイントロが特徴の「The Castle in the Air」は、静かに流れるメロディが美しい。曲の後半で盛り上がりを見せ、重厚なサウンドが織りなすダイナミックな展開が楽しめる。
4. Deserted Dunes Welcome Weary Feet
アップテンポなリズムと、サイケデリックなギターリフが特徴の一曲。リフが繰り返されることで、トランス感と緊張感が高まる。旅の途中で訪れる砂漠の風景が思い浮かぶような、エキゾチックな雰囲気が漂う。
5. Inner Cell
「Inner Cell」は、柔らかなメロディと軽やかなリズムが特徴で、アルバムの中でやや穏やかなムードを醸し出す。反復されるメロディが心地よく、リラックスした感覚が味わえる。
6. Loyalty
アルバムのテーマに沿ったミステリアスな一曲で、陰鬱な雰囲気が漂う。ゆったりとしたテンポと重厚なギターリフが、不安と期待を織り交ぜた独特のムードを生み出している。
7. Horology
「時間」をテーマにしたこの曲は、リズムの変化が巧みに取り入れられ、構成が非常に凝っている。浮遊感のあるサウンドと繰り返しのリズムが重なり、プログレッシブロックの影響が色濃く感じられる。
8. Tetrachromacy
幻想的なリフと独特のメロディが印象的な「Tetrachromacy」は、サイケデリックでありながらどこか荘厳さを感じさせる一曲。構成が複雑で、メロディが次第に変化していく様子が興味深い。
9. Searching…
短いインストゥルメンタルで、アルバムの中で次の楽曲への架け橋のような役割を果たしている。静かなギターと控えめなビートが印象的で、ミステリアスな余韻を残す。
10. The Fourth Colour
アルバムのクライマックスを飾る「The Fourth Colour」は、エネルギッシュでスリリングなサウンドが特徴。リズムの変化が多彩で、サイケデリックとプログレッシブロックが見事に融合している。スリリングな展開が続き、アルバムを壮大に締めくくる。
アルバム総評
「Polygondwanaland」は、King Gizzard & the Lizard Wizardの音楽的野心が詰まったプログレッシブロックの傑作であり、バンドの実験精神が存分に発揮されている。複雑なリズムやポリリズム、変拍子を駆使し、アルバム全体が壮大な物語のように展開される。テーマとして描かれた神秘的な世界観や、失われた大陸を彷彿とさせるサウンドスケープが魅力的で、リスナーを幻想的な音の旅へと誘う。King Gizzard & the Lizard Wizardのファンのみならず、プログレッシブロックやサイケデリックロックを愛するリスナーにとっても、必聴の作品といえるだろう。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Magma by Magma
プログレッシブで複雑なリズム構成が特徴の一枚。幻想的でエネルギッシュなサウンドが「Polygondwanaland」に通じる。
Animals by Pink Floyd
ディストピア的なテーマと複雑なサウンド構成が共通しており、重厚で深い音楽体験を求めるリスナーにおすすめ。
In the Court of the Crimson King by King Crimson
プログレッシブロックの名盤で、緻密な構成とサイケデリックな要素が「Polygondwanaland」と響き合う。
Lateralus by Tool
変拍子やポリリズムがふんだんに使われた作品で、神秘的な雰囲気と複雑なリズムがKing Gizzardファンにも新鮮に感じられる。
Flying Microtonal Banana by King Gizzard & the Lizard Wizard
実験的で異国情緒あふれるサウンドが特徴の作品で、複雑なリズムとサイケデリックな音響が共通している。
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