発売日: 2011年9月9日
ジャンル: ポップ、フォーク、アコースティック
+ (Plus)は、Ed Sheeranのメジャーデビューアルバムで、彼のシンガーソングライターとしてのキャリアを本格的にスタートさせた作品である。このアルバムは、彼の素朴で温かみのある歌声と、シンプルなギターサウンドが特徴で、リリース直後からリスナーに深い印象を与えた。アルバム全体を通じて、恋愛や喪失、若者特有の葛藤といった普遍的なテーマが描かれており、Sheeranの繊細な歌詞とメロディがリスナーの心に強く響く。
プロデューサーにはJake Gosling、Charlie Hugall、Noah Shebib(40)といった音楽業界の第一線で活躍する人物が参加しており、アコースティックなサウンドをベースにしながらも、ポップやフォーク、ヒップホップの要素が絶妙に融合されている。+は、彼の持つ才能と音楽的なセンスが詰め込まれたアルバムであり、シンガーソングライターとしての評価を確立するきっかけとなった。
トラックごとの解説
1. The A Team
アルバムのリードシングルで、リリース後すぐに大きな反響を呼んだ代表曲。薬物依存に苦しむ若者をテーマにし、甘く切ないメロディと社会的なメッセージが込められている。シンプルなギターの音色が、Sheeranの心に染みるボーカルを引き立てている。
2. Drunk
失恋後の心情を描いた楽曲で、軽快なギターリフとポップなビートが特徴。アルコールを通して失恋の痛みを紛らわせようとする主人公の姿が描かれており、ほろ苦いユーモアが混じった歌詞が印象的。
3. U.N.I.
別れた恋人への想いをラップ調で語る楽曲。テンポの良いリズムとシンプルなメロディが心地よく、Sheeranのライムのセンスが光っている。大学生活の恋愛をテーマに、リアルな感情が描かれている。
4. Grade 8
ポップでエネルギッシュな一曲で、恋愛の高揚感と興奮がテーマ。グルーヴ感のあるリズムと軽快なギターワークが楽曲に活気を与えており、アルバムの中でも明るい雰囲気が楽しめるトラック。
5. Wake Me Up
アコースティックギターとピアノによるシンプルなバラードで、恋人への深い愛情と感謝が描かれている。穏やかでメランコリックなサウンドが、Sheeranの繊細な歌詞を引き立てており、リスナーに安らぎを与える一曲。
6. Small Bump
10代のカップルが経験する命の尊さとその喪失をテーマにしたバラードで、Sheeranの深い感情が込められている。シンプルなアレンジが歌詞のメッセージを強調し、聴く者に感動を与える。
7. This
柔らかいギターメロディが心地よいラブソングで、恋人との静かな時間が描かれている。静かで落ち着いたアレンジが、温かく親密な雰囲気を作り出し、愛の美しさが表現されている。
8. The City
ロンドンでの生活と孤独をテーマにした楽曲で、アコースティックなサウンドと都会的なビートが融合している。Sheeranの歌詞には、都市生活の孤独や不安が込められており、彼のパーソナルな一面が見られる。
9. Lego House
アルバムのもう一つの代表曲で、関係の再構築をテーマにした切ないラブソング。優しいギターのメロディが、恋愛における傷と再生を象徴し、感情豊かなSheeranのボーカルが魅力的。
10. You Need Me, I Don’t Need You
自己主張の強いアップテンポな曲で、Sheeranが音楽業界での自己確立を目指す姿勢が描かれている。ラップとギターを組み合わせたスタイルが斬新で、彼のエネルギッシュなパフォーマンスが際立つ一曲。
11. Kiss Me
甘いバラードで、恋人への情熱と親密さを描いている。シンプルなアコースティックギターと優しい歌詞が、恋愛におけるピュアな一面を強調している。
12. Give Me Love
アルバムのフィナーレを飾るエモーショナルなバラードで、恋愛の喪失と渇望がテーマ。Sheeranのボーカルが徐々に高まり、感情が爆発するようなサビが印象的で、ライブでも人気の一曲。
デラックスエディションボーナストラック
13. Autumn Leaves
季節の移ろいと恋愛を重ね合わせたバラードで、しっとりとしたメロディが心地よい。静かなアレンジが詩的な歌詞を引き立てている。
14. Little Bird
かわいらしい愛の歌で、恋人への思いを「小鳥」に例えたメタファーが印象的。軽快なメロディが心を和ませる。
15. Gold Rush
都会の速いペースと、それに飲み込まれる若者の姿を描いた楽曲で、エネルギッシュなビートが特徴。Sheeranの視点から、社会に対するリアルな思いが語られている。
16. Sunburn
切ない失恋の後悔と痛みを歌ったバラードで、シンプルながらも深い感情がこもっている。ピアノとアコースティックギターが絶妙に調和し、感情が伝わる一曲。
アルバム総評
+ (Plus)は、Ed Sheeranが音楽業界においてシンガーソングライターとしての地位を確立したアルバムであり、恋愛や失恋、自己探求といった普遍的なテーマが心に響く作品である。シンプルなアコースティックサウンドと、詩的でリアルな歌詞が魅力で、Sheeranの柔らかくも力強いボーカルがアルバム全体を通して光っている。
彼の音楽は一見シンプルだが、どの曲も感情豊かでリスナーに強い共感を与える。+は、彼がデビュー時から持つ才能を存分に発揮した作品であり、リスナーにとっても彼の原点を知ることができる重要な一枚である。このアルバムは、今後のSheeranの音楽キャリアを支える土台となり、世界中で愛される作品として高く評価されている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Divide by Ed Sheeran
アコースティックな魅力にポップなエッセンスを加えた彼のアルバムで、+のファンにとっても親しみやすい一枚。
Hozier by Hozier
フォークとブルースが融合したサウンドと、深い歌詞が魅力の作品で、感情豊かな表現が好きなリスナーにおすすめ。
Handwritten by Shawn Mendes
アコースティックを基調とした温かみのあるサウンドと、シンプルで誠実な歌詞が特徴で、Sheeranの初期のスタイルに似ている。
Unorthodox Jukebox by Bruno Mars
ポップとソウルが融合した作品で、シンプルな楽器構成と感情的な歌詞が楽しめる一枚。
x (Multiply) by Ed Sheeran
Sheeranの2枚目のアルバムで、+の流れを継承しつつも、より洗練されたサウンドと深みが加わっている作品。
コメント