発売日: 2022年9月9日
ジャンル: ハードロック / ヘヴィメタル
Patient Number 9は、オジー・オズボーンが2022年にリリースした13作目のスタジオアルバムで、彼の不屈の音楽的精神を体現する一作である。本作は、オジーの健康問題や世界的なパンデミックといった逆境を乗り越えて制作され、彼のキャリアにおける新たな章を示している。アルバムには、ジェフ・ベック、エリック・クラプトン、トニー・アイオミ、ザック・ワイルドといったレジェンドたちがゲスト参加し、音楽的多様性と重厚感が加わっている。
アンドリュー・ワットがプロデュースを担当し、現代的なサウンドとクラシックなヘヴィメタルの融合が見事に実現されている。歌詞は、死や孤独、自己探求といったテーマを掘り下げながらも、オジー特有のユーモアや反骨精神が随所に感じられる。75歳にしても衰えを知らないオジーのクリエイティビティが、リスナーに強烈なインパクトを与える作品だ。
各曲解説
1 Patient Number 9
ジェフ・ベックが参加したタイトル曲で、アルバムの中でも特に壮大でドラマチックな一曲。歌詞は、精神的な苦悩や隔離をテーマにしており、オジーのボーカルがその感情を生々しく伝える。ベックのギターソロは美しくも激しく、楽曲に幻想的な雰囲気を加えている。7分を超える大作だが、その長さを感じさせない力強さがある。
2 Immortal
マイク・マクレディ（パール・ジャム）がギターで参加したアップテンポな楽曲。力強いリフとキャッチーなメロディが特徴で、オジーの不屈の精神が歌詞に込められている。疾走感のあるサウンドが爽快で、アルバムの中でもひときわエネルギッシュだ。
3 Parasite
ザック・ワイルドがギターを担当する、クラシックなオジースタイルのハードロックナンバー。ザックらしい重厚なリフと、オジーの力強いボーカルが融合しており、オールドファンにはたまらない一曲だ。歌詞は依存や裏切りをテーマにしており、ダークでヘヴィな雰囲気を持つ。
4 No Escape from Now
ブラック・サバスのギタリスト、トニー・アイオミとのコラボレーションによる一曲。ダークで陰鬱な雰囲気が漂い、ブラック・サバス時代を彷彿とさせる壮大な楽曲だ。リフは重くゆったりとしており、オジーのボーカルがその上で神秘的な響きを放つ。メタルファンには必聴のトラックである。
5 One of Those Days
エリック・クラプトンが参加した異色の楽曲。ブルースロックの要素が強く、クラプトンの滑らかなギタープレイが印象的だ。歌詞は人生の厳しさや葛藤を描いており、メランコリックなトーンが楽曲全体に漂っている。
6 A Thousand Shades
ジェフ・ベックが再び参加したエモーショナルな楽曲。悲しみや喪失感をテーマにしており、オジーのボーカルが深い感情を伝える。ベックのギターソロは、この曲に静かな力強さを加えている。叙情的なメロディが印象的な一曲だ。
7 Mr. Darkness
ストーリーテリング形式の歌詞が特徴的な楽曲。オジーが“闇”に語りかけるような構成で、神秘的かつドラマチックな雰囲気が漂う。ザック・ワイルドのギターリフが楽曲を支え、重厚なサウンドを生み出している。
8 Nothing Feels Right
ザック・ワイルドがリードギターを担当したバラード曲で、アルバムの中でも特に感傷的な一曲。歌詞は孤独や喪失をテーマにしており、オジーの歌声がその感情をストレートに伝えている。ザックのギターソロは美しく、曲の感動をさらに深めている。
9 Evil Shuffle
グルーヴ感のあるリフとリズムが特徴のハードロックナンバー。ザック・ワイルドがギターで参加しており、曲全体にエッジの効いた攻撃的なサウンドを加えている。オジーのユーモアが感じられる歌詞も魅力的だ。
10 Degradation Rules
再びトニー・アイオミが参加し、ブルージーなハーモニカのイントロが印象的な楽曲。ブラック・サバス時代のヘヴィでスモーキーな雰囲気を受け継いでおり、懐かしさと新鮮さが共存している。アイオミのギターワークは圧巻だ。
11 Dead and Gone
重厚なリフとダークな歌詞が特徴的な一曲。オジーのボーカルは哀愁を帯びており、曲全体に漂う不穏なムードが印象的だ。サウンドの緻密さが際立つ楽曲である。
12 God Only Knows
アルバムの終盤に収録された感動的なバラード曲。歌詞は人間の弱さや希望について語っており、オジーの柔らかな歌声が響く。ドラマチックなアレンジが、曲の感動をさらに引き立てている。
13 Darkside Blues
短いブルース調のインストゥルメンタルで、アルバムを静かに締めくくる。サイケデリックな雰囲気が漂い、深い余韻を残す一曲だ。
アルバム総評
Patient Number 9は、オジー・オズボーンの不屈の精神と音楽的進化を示したアルバムである。ゲストミュージシャンたちの存在が作品に多様性と奥行きを与え、オジー自身のボーカルパフォーマンスも健在であることが確認できる。クラシックなヘヴィメタルと現代的なサウンドが融合した本作は、オジーのキャリアを総括しつつ新たな挑戦も感じさせる内容となっている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Ordinary Man by Ozzy Osbourne
前作で、オジーの叙情的な一面が光る。ゲストアーティストとの共演も多彩で本作と共通点が多い。
Heaven and Hell by Black Sabbath
オジー脱退後のブラック・サバスだが、トニー・アイオミのギターが楽しめる壮大なメタルアルバム。
13 by Black Sabbath
ブラック・サバスのリユニオンアルバムで、オジーのボーカルとアイオミのギターが再び融合した名作。
Rising by Rainbow
壮大なメロディとダークなテーマが特徴で、オジーのファンにもおすすめできる一作。
Fear of the Dark by Iron Maiden
ドラマチックでヘヴィな展開が特徴のアルバム。メタルの叙情性を楽しめる。
コメント