
1. 歌詞の概要
“Our House” は、1970年にリリースされたクロスビー、スティルス、ナッシュ & ヤング(CSNY)のアルバム Déjà Vu に収録された楽曲で、グラハム・ナッシュが作詞・作曲を手掛けました。
この曲は、ナッシュとシンガーソングライターのジョニ・ミッチェルとの当時の幸せな生活を描いた、温かみのあるラブソングです。歌詞では、シンプルな日常の中にある幸福を讃えており、愛する人と過ごす穏やかな時間の大切さを伝えています。
メロディーはシンプルで覚えやすく、CSNYの美しいコーラスワークが際立つ曲です。リリース以来、多くの人に親しまれ、家族やパートナーとの幸せな時間を象徴する楽曲として愛され続けています。
2. 歌詞のバックグラウンド
この曲は、グラハム・ナッシュがジョニ・ミッチェルと暮らしていたロサンゼルスのローレル・キャニオンの家での一コマから生まれました。ある日、二人はカフェで朝食をとり、散歩をしてから、街で花を買い、新しく陶器の花瓶を購入しました。家に帰ると、ジョニ・ミッチェルは暖炉の前で絵を描き始め、それを見たナッシュが「何て素晴らしい日なんだ!」と感じ、その場でこの曲を書き上げたといいます。
このように、“Our House” は単なるラブソングではなく、ナッシュが実際に体験した幸せな瞬間を切り取った楽曲であり、そのリアリティがリスナーに伝わることで、多くの人にとって心温まる名曲となっています。
CSNYの中でも、政治的・社会的メッセージを持つ曲が多い中で、この曲は珍しく、個人的でロマンティックなテーマを持つ楽曲 であり、アルバム Déjà Vu の中でも特に穏やかな雰囲気を持つ作品です。
3. 歌詞の抜粋と和訳
以下に、“Our House” の印象的な歌詞を一部抜粋し、日本語訳とともに紹介します。
[Verse 1]
“I’ll light the fire, you put the flowers in the vase that you bought today”
(僕が暖炉に火を灯すから、君は今日買った花を花瓶に活けてね)
[Chorus]
“Our house is a very, very, very fine house”
(僕らの家は、とてもとても素敵な家)
“With two cats in the yard, life used to be so hard”
(庭には2匹の猫、昔は人生が大変だったけど)
“Now everything is easy ‘cause of you”
(でも今は君がいるから、すべてが楽になったんだ)
[Verse 2]
“Come to me now and rest your head for just five minutes, everything is done”
(こっちにおいで、たった5分でいいから、肩の力を抜いて休んで)
“Such a cozy room, the windows are illuminated by the evening sunshine through them”
(なんて居心地のいい部屋なんだろう、窓には夕陽が差し込んでいる)
※ 歌詞の引用元: Lyrics.com
4. 歌詞の考察
“Our House” の歌詞は非常にシンプルですが、そこに込められた感情は深いものがあります。特に、「家」という概念を通じて、日常の中にある幸福を描いている点がこの曲の最大の魅力です。
この曲が伝えたいメッセージは、豪華なものや特別な出来事がなくても、大切な人と一緒に過ごす日々が幸せである ということです。暖炉に火を灯し、花を飾り、猫と過ごす—そんな何気ない日常の中に、人生の豊かさがあることを表現しています。
また、「昔は人生が大変だったけど、今は君がいるからすべてが楽になった」というフレーズからは、ナッシュがジョニ・ミッチェルと過ごすことで得た安心感や幸福感が感じられます。恋愛の初期の情熱的なものではなく、長く続く愛の温かさが描かれている ことも、この曲が多くの人に愛される理由の一つです。
さらに、この楽曲のコーラス部分は特に印象的で、「Our house is a very, very, very fine house(僕らの家はとても素敵な家)」というフレーズが繰り返されることで、シンプルながらも温かい幸福感が強調されています。
5. この曲が好きな人におすすめの曲
“Our House” のような温かいフォークロックや、日常の幸福を歌った楽曲が好きな人には、以下の曲もおすすめです。
- “Teach Your Children” by Crosby, Stills, Nash & Young – 家族や世代間のつながりを描いた感動的な楽曲。
- “Fire and Rain” by James Taylor – 深い感情を持ったフォークバラード。
- “Homeward Bound” by Simon & Garfunkel – 家に帰ることの安心感を歌った名曲。
- “You’ve Got a Friend” by Carole King – 友情や支え合うことの大切さを描いた温かい楽曲。
- “Wild World” by Cat Stevens – 優しさと切なさが共存するフォークソング。
6. “Our House” の影響と評価
“Our House” は、リリースから50年以上経った現在でも多くの人に愛され続けている楽曲です。その理由の一つは、普遍的なテーマにあります。豪華なライフスタイルを歌った曲ではなく、誰もが共感できる「家庭の温かさ」や「愛する人と過ごす幸せな時間」をテーマにしている ため、世代を超えて多くの人々の心に響いています。
また、ジョニ・ミッチェルとの恋愛が反映されたこの曲は、当時のローレル・キャニオンの音楽シーンを象徴する楽曲 でもあります。1960年代後半から1970年代にかけて、ローレル・キャニオンには多くのフォークやロックアーティストが集い、音楽的な交流が盛んに行われていました。CSNYやジョニ・ミッチェル、ジャクソン・ブラウン、キャロル・キングなどがこの地域を拠点に活動し、“Our House” はその時代の温かく自由な精神を体現する一曲となっています。
“Our House” は、派手な演出や複雑なメッセージを持つ楽曲ではありませんが、「愛する人と共にいることが何よりの幸せ」 というシンプルで普遍的なメッセージを伝える名曲です。今もなお、多くのリスナーにとって「家庭の温かさ」や「幸せな日常」を思い出させてくれる、大切な一曲となっています。
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