発売日: 2017年10月6日
ジャンル: インディー・ポップ, ドリームポップ, サイケデリック・ポップ
Cultsの3作目となるアルバムOfferingは、彼らのサウンドに新しい方向性をもたらした作品だ。過去の作品と比べると、より明るく、前向きなエネルギーが感じられる本作では、シンセサイザーを強調した80年代風のポップサウンドと、彼らのトレードマークであるドリーミーでサイケデリックな雰囲気が見事に融合している。
このアルバムでは、メンバーのマデリン・フォルクスとブライアン・オブリビオンが新たなインスピレーションを探り、Cultsにとっての新境地を切り開いた。歌詞は内省的で哲学的なテーマを含みながらも、楽曲全体にはポジティブなエネルギーが溢れている。彼らが試みたシンセポップの要素が、Cultsのサウンドに新鮮な広がりを与え、より洗練されたアルバムへと仕上がっている。
曲ごとの解説
1. Offering
アルバムのタイトル曲であり、イントロから印象的なシンセと明るいリズムが特徴的。歌詞には再生や癒しのテーマが込められ、前向きなメッセージが感じられる。マデリン・フォルクスの柔らかいボーカルが、曲に穏やかさと温かみを与えている。
2. I Took Your Picture
80年代風のシンセとリズムがポップな一曲で、軽快なビートが心地よい。愛の記憶や懐かしい思い出をテーマにしており、キャッチーなメロディが頭に残る。明るさとノスタルジーが同居するCultsらしいサウンドだ。
3. With My Eyes Closed
ドリーミーで幻想的な雰囲気が漂う曲で、内なる感情に焦点を当てた歌詞が印象的。フォルクスの透き通るようなボーカルが、シンプルながらも豊かなメロディに調和し、心地よい浮遊感を生み出している。
4. Recovery
スローテンポでじっくりと展開されるこの曲は、癒しや自己再生のテーマを扱っている。ギターとシンセのレイヤーが深みを増し、フォルクスのボーカルが聴く者に安心感を与える。希望の光を探し求めるようなトラック。
5. Right Words
軽やかでテンポの良いリズムが特徴で、自己表現や言葉の重要性がテーマ。シンセのメロディが生き生きと響き、Cultsの音楽に新鮮な風を吹き込んでいる。ポップな要素が強調され、アルバムの中でも特にキャッチーな一曲。
6. Good Religion
宗教や信仰の持つ力に対する探求がテーマとなっている一曲で、少しダークな雰囲気が漂う。重厚なベースラインとシンセのコントラストが印象的で、リスナーに問いかけるような深い歌詞が特徴。
7. Natural State
ミッドテンポのナンバーで、自然や本来の自分に戻ることの大切さを歌っている。穏やかでリラックスしたサウンドが心地よく、フォルクスのボーカルが優しく響く。アルバム全体に流れる癒しのテーマが表現されている。
8. Nothing Is Written
内省的で哲学的なテーマを扱った一曲で、運命や未来への不確実性が歌われている。リズムが軽快でありながらも、歌詞には深みがあり、Cultsの音楽的な成長がうかがえる。
9. Talk in Circles
キャッチーなメロディとリズムが特徴的で、恋愛における繰り返しや堂々巡りをテーマにしている。サビのフレーズが頭に残りやすく、軽快なビートがポップな印象を与える。
10. Clear from Far Away
遠くから物事を見つめるような視点を歌ったこの曲は、距離感と理解の重要性をテーマにしている。穏やかなメロディが心地よく、リスナーに安心感を与える。
11. Gilded Lily
アルバムの中でも特にメランコリックなトラックで、偽りや過剰装飾に対する批判がテーマ。静かで美しいメロディが、フォルクスの切ないボーカルを引き立てる。
12. No Hope
最後を締めくくるダークでシリアスな曲。タイトル通り、希望を失った感情が表現され、アルバム全体を通してのテーマに反して、終末的な余韻を残す。
アルバム総評
Offeringは、Cultsが従来のダークでノスタルジックな要素に、シンセポップを加えた新しいアプローチを試みた作品である。前作の影響も感じさせつつ、より明るいエネルギーとポジティブなテーマが表現され、Cultsの成長と進化がよく分かるアルバムだ。特に80年代風のシンセサウンドが際立ち、彼らの音楽に新鮮さとポップさをもたらしている。聴き手に癒しと希望を提供しながら、深く考えさせる一枚であり、Cultsの音楽的な未来を感じさせる。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
シンセサウンドとドリーミーなポップの融合が魅力的なアルバム。Cultsのファンにも響く幻想的なサウンドスケープが楽しめる。
メランコリックで浮遊感のあるサウンドが特徴的で、Cultsの幻想的な雰囲気に共通する一枚。
ノスタルジックでドリーミーなポップサウンドが魅力のアルバムで、Cultsのファンには特におすすめ。
80年代風のインディーポップサウンドが特徴で、Cultsのシンセサウンドと相性が良い。メランコリックで心地よい一枚。
シンセポップの魅力が詰まったアルバムで、Cultsの新たなアプローチに共通するポップでエネルギッシュなサウンドが楽しめる。
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